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好き?嫌い?
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「き…菊池は…その…」
梅村が何かを言いにくそうに聞いてくる。
今度は何を考えこんでるんだこいつは?
「なにが聞きたいんだお前は?」
だから言えるようにしてやる。
「菊池は…俺に本気にさせろって言うけど…お前は俺のこと…どう思ってるんだよ」
何かを決心したのか俺の方をジッと見て聞いてくる。
「お前はどう思う?」
だからわざとそんな風に聞いてみた。卑怯だとわかってる。でもこの男がどういう風に思ってるのかが知りたかったんだ。
俺の言葉に梅村は黙り込んでしまう。
「記憶を取り戻した梅村は今の俺を見てどう思う?」
あの頃と今の俺とじゃ違うだろう。だからこそ梅村の目から見て俺はどう思ってるのかが知りたいと思った。
「…嫌い…じゃないとは思ってると思う…でも…本心は…わからない…」
ポツリポツリと梅村自身の答えを出してくる。
「じゃぁ、お前は何とも思ってない相手に俺があんなことをするヤツだと思ってるのか?」
こいつの中で俺はどんだけ酷い男なんだ?
「違う!そうじゃないけど…お情けで俺に付き合ってるって可能性もあるだろ?」
自分で言っておきながら、自分の言葉に傷付いてやがる。
まったくこいつは…。
「嫌いじゃねぇし、好きだ。お前が公開告白でした返事は嘘じゃねぇよ」
こいつ、覚えてねぇのか?と疑いたくなる。
「覚えてるけど…人のこと喜ばしといて落ち込ませたのは菊池じゃないか」
なんて言われた。そういえばそうだったな。
「まぁ愛してるなんてのは大袈裟だが、俺はあの頃と変わらずお前が好きだ」
こいつが聞かないから俺も答えないだけで、俺もあの頃からこいつが好きだという気持ちは変わってはいない。
あの頃と変わってるのは自分の欲が酷くなったぐらいか。
「じゃぁ…本気にさせろって…どういう…」
梅村が言いかけて黙ってしまう。
「そのまんまだろ?俺がお前以外、よそ見しないように惚れさせろってことだ」
俯いた梅村の頬を撫でて上を向かせれば薄っすらと瞳に膜が張ってる。
「俺がよそ見してお前以外のヤツに手ぇ出されたくないなら俺を本気にさせろってことだ。出来るだろ?」
親指で唇を撫でれば
「なんでだよ!なんで俺以外のヤツ見るんだよ!!!」
そう怒鳴った。
「だったら俺をちゃんと捕まえてろ。じゃねぇとよそ見しちまうぞ」
俺がそう言いながら頬に唇を寄せれば
「なんでだよぉ」
なんて小さな声で呟く。くすりと小さく笑い俺は今度は梅村の唇にキスをした。
「なんでだよぉ」
そう言いながら梅村は真っ赤になりながら俺の胸に顔を埋めた。
「恋愛初心者には刺激的だったか」
なんて笑いながらその身体を抱きしめれば
「クソッ!」
とか言いながらポカポカと俺の胸を叩き始める。
俺はそんな梅村の手を掴み少しだけ強引に口付けた。ポロリと一滴、梅村の閉じられた瞳から流れ落ちる。
「俺はお前が好きだ」
俺は自分の腕の中に隠すように梅村を抱きしめ、今度は真面目に自分の気持ちを告げた。
「っ、ぅん。俺も好きだ」
俺の背に腕を回し同じように告げてくる。
梅村が安心できるまで俺はそのまま抱きしめていた。
Fin
梅村が何かを言いにくそうに聞いてくる。
今度は何を考えこんでるんだこいつは?
「なにが聞きたいんだお前は?」
だから言えるようにしてやる。
「菊池は…俺に本気にさせろって言うけど…お前は俺のこと…どう思ってるんだよ」
何かを決心したのか俺の方をジッと見て聞いてくる。
「お前はどう思う?」
だからわざとそんな風に聞いてみた。卑怯だとわかってる。でもこの男がどういう風に思ってるのかが知りたかったんだ。
俺の言葉に梅村は黙り込んでしまう。
「記憶を取り戻した梅村は今の俺を見てどう思う?」
あの頃と今の俺とじゃ違うだろう。だからこそ梅村の目から見て俺はどう思ってるのかが知りたいと思った。
「…嫌い…じゃないとは思ってると思う…でも…本心は…わからない…」
ポツリポツリと梅村自身の答えを出してくる。
「じゃぁ、お前は何とも思ってない相手に俺があんなことをするヤツだと思ってるのか?」
こいつの中で俺はどんだけ酷い男なんだ?
「違う!そうじゃないけど…お情けで俺に付き合ってるって可能性もあるだろ?」
自分で言っておきながら、自分の言葉に傷付いてやがる。
まったくこいつは…。
「嫌いじゃねぇし、好きだ。お前が公開告白でした返事は嘘じゃねぇよ」
こいつ、覚えてねぇのか?と疑いたくなる。
「覚えてるけど…人のこと喜ばしといて落ち込ませたのは菊池じゃないか」
なんて言われた。そういえばそうだったな。
「まぁ愛してるなんてのは大袈裟だが、俺はあの頃と変わらずお前が好きだ」
こいつが聞かないから俺も答えないだけで、俺もあの頃からこいつが好きだという気持ちは変わってはいない。
あの頃と変わってるのは自分の欲が酷くなったぐらいか。
「じゃぁ…本気にさせろって…どういう…」
梅村が言いかけて黙ってしまう。
「そのまんまだろ?俺がお前以外、よそ見しないように惚れさせろってことだ」
俯いた梅村の頬を撫でて上を向かせれば薄っすらと瞳に膜が張ってる。
「俺がよそ見してお前以外のヤツに手ぇ出されたくないなら俺を本気にさせろってことだ。出来るだろ?」
親指で唇を撫でれば
「なんでだよ!なんで俺以外のヤツ見るんだよ!!!」
そう怒鳴った。
「だったら俺をちゃんと捕まえてろ。じゃねぇとよそ見しちまうぞ」
俺がそう言いながら頬に唇を寄せれば
「なんでだよぉ」
なんて小さな声で呟く。くすりと小さく笑い俺は今度は梅村の唇にキスをした。
「なんでだよぉ」
そう言いながら梅村は真っ赤になりながら俺の胸に顔を埋めた。
「恋愛初心者には刺激的だったか」
なんて笑いながらその身体を抱きしめれば
「クソッ!」
とか言いながらポカポカと俺の胸を叩き始める。
俺はそんな梅村の手を掴み少しだけ強引に口付けた。ポロリと一滴、梅村の閉じられた瞳から流れ落ちる。
「俺はお前が好きだ」
俺は自分の腕の中に隠すように梅村を抱きしめ、今度は真面目に自分の気持ちを告げた。
「っ、ぅん。俺も好きだ」
俺の背に腕を回し同じように告げてくる。
梅村が安心できるまで俺はそのまま抱きしめていた。
Fin
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