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真相
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「あのさ…結局あいつってあの子のことが原因でずっと俺のこと逆恨みしてたってこと?」
病院から帰って来て、自分の部屋に戻って来て二人分のコーヒーを淹れてるときに、やっぱり俺の部屋についてきた梅村が聞いてきた。
「裕美子ちゃん…桐渓が彼女に告白した時に好きなタイプは梅村みたいな可愛い感じの子が好きだと言った」
「むーっ!可愛いってなんだよ!」
俺の言葉に怒りだす。
「あの頃はお前メチャ可愛かっただろうが。今もあんまり変わらねぇけど。お前と桐渓は正反対だ。お前は可愛い。あいつはカッコいい。あいつは自分がカッコいいと言われ続けてるから告白すれば必ず付き合えると自負してたんだろうな」
幼い頃から梅村は女の子並みに可愛くて、桐渓は男子の中で群を抜いてカッコいいタイプだった。大半の女子は桐渓がカッコいいから付き合いたいと思っていたのを知ってる。が、そんな女子の中でも男子に一番人気があった裕美子ちゃんはカッコいいタイプではなく、可愛い子の方が好きだった。
桐渓は幼い頃から変にプライドが高く、自分より劣る梅村の方が好きだと言われ許せなかったんだろう。
そこから始まった陰湿なイジメ。
物を奪い、隠し、少しずつ梅村を壊していった。
石を投げたり、陰湿な暴力。
あの頃の俺は梅村とよく一緒にいた。親友として、梅村のことは好きだったし、近所に住んでいたということもあり、一緒に遊んだりもしていた。
だからこそ、桐渓の悪質な行動にも気付いてたし、陰から梅村を助けてもいた。
俺が傍にいて、梅村を庇ってたから、桐渓の攻撃を受けて身体に傷が出来ていた。
梅村の両親も梅村の変化に気付き、梅村を守ろうとしたその矢先に最悪な事件が起きた。
桐渓が梅村を階段から突き落としたんだ。それだけじゃなく、あいつは刃物を一緒に上から落とした。階段から落ちただけでも大怪我をするのに、その上、刃物まで落とせば怪我どころじゃなくなる。
俺は身体が勝手に動いた。梅村を助けるために、梅村を庇って一緒に落ちた。そして、上から落ちてくる刃物が梅村に刺さらないようにしたんだ。
結果として、梅村は完全に壊れ、記憶を失った。そして俺は大怪我をして入院。
子供にしては悪質すぎるイジメ。ただ、幼すぎる故に犯罪者として扱いが出来ず、梅村の両親が桐渓を県外へ追放するという条件で大事にはしなかった。
ただ、もし、万が一にも同じことをまたした時は今度こそ情けはかけないと桐渓の両親へ忠告もしたし、誓約書も書かせた。
が、あいつは桐渓は同じことをしてしまったのだ。
そして、もう一人の被害者は裕美子ちゃんだ。彼女の一言で起こってしまった悲劇。
彼女は両親と一緒に泣きながら梅村の両親と俺の家族に謝った。俺の家族も、梅村の両親もそんな彼女と両親には何も言わなかった。誰もこんなことになるなんて予想できなかったんだからな。
彼女もあの事件以来、責任を感じ転校していった。その後、彼女の親友伝いに聞いた話、転校していった先で元気にやってるそうだ。
「お前がどこまで覚えてるかは、知らないが完全に彼女にフラれたのが原因での逆恨みだ。理不尽すぎるだろ、転校してきて何もやってないのにこんな事件が起きてるんだからな」
梅村の前にカップを置いてやれば
「…ごめん…俺…またケガさせた…」
自分の膝に顔を埋める。
さて、どうしたものか。
こうなった梅村を慰めるのが大変なんだよ…。
俺が梅村を庇ってできた傷はいくつか傷跡として身体に残っている。それを思い出したからこそ梅村は沈み込んでるんだ。
俺が自分の意志でこいつを守って来てたんだが、その理由もちゃんと思い出してくれるのかが謎だな…
Fin
病院から帰って来て、自分の部屋に戻って来て二人分のコーヒーを淹れてるときに、やっぱり俺の部屋についてきた梅村が聞いてきた。
「裕美子ちゃん…桐渓が彼女に告白した時に好きなタイプは梅村みたいな可愛い感じの子が好きだと言った」
「むーっ!可愛いってなんだよ!」
俺の言葉に怒りだす。
「あの頃はお前メチャ可愛かっただろうが。今もあんまり変わらねぇけど。お前と桐渓は正反対だ。お前は可愛い。あいつはカッコいい。あいつは自分がカッコいいと言われ続けてるから告白すれば必ず付き合えると自負してたんだろうな」
幼い頃から梅村は女の子並みに可愛くて、桐渓は男子の中で群を抜いてカッコいいタイプだった。大半の女子は桐渓がカッコいいから付き合いたいと思っていたのを知ってる。が、そんな女子の中でも男子に一番人気があった裕美子ちゃんはカッコいいタイプではなく、可愛い子の方が好きだった。
桐渓は幼い頃から変にプライドが高く、自分より劣る梅村の方が好きだと言われ許せなかったんだろう。
そこから始まった陰湿なイジメ。
物を奪い、隠し、少しずつ梅村を壊していった。
石を投げたり、陰湿な暴力。
あの頃の俺は梅村とよく一緒にいた。親友として、梅村のことは好きだったし、近所に住んでいたということもあり、一緒に遊んだりもしていた。
だからこそ、桐渓の悪質な行動にも気付いてたし、陰から梅村を助けてもいた。
俺が傍にいて、梅村を庇ってたから、桐渓の攻撃を受けて身体に傷が出来ていた。
梅村の両親も梅村の変化に気付き、梅村を守ろうとしたその矢先に最悪な事件が起きた。
桐渓が梅村を階段から突き落としたんだ。それだけじゃなく、あいつは刃物を一緒に上から落とした。階段から落ちただけでも大怪我をするのに、その上、刃物まで落とせば怪我どころじゃなくなる。
俺は身体が勝手に動いた。梅村を助けるために、梅村を庇って一緒に落ちた。そして、上から落ちてくる刃物が梅村に刺さらないようにしたんだ。
結果として、梅村は完全に壊れ、記憶を失った。そして俺は大怪我をして入院。
子供にしては悪質すぎるイジメ。ただ、幼すぎる故に犯罪者として扱いが出来ず、梅村の両親が桐渓を県外へ追放するという条件で大事にはしなかった。
ただ、もし、万が一にも同じことをまたした時は今度こそ情けはかけないと桐渓の両親へ忠告もしたし、誓約書も書かせた。
が、あいつは桐渓は同じことをしてしまったのだ。
そして、もう一人の被害者は裕美子ちゃんだ。彼女の一言で起こってしまった悲劇。
彼女は両親と一緒に泣きながら梅村の両親と俺の家族に謝った。俺の家族も、梅村の両親もそんな彼女と両親には何も言わなかった。誰もこんなことになるなんて予想できなかったんだからな。
彼女もあの事件以来、責任を感じ転校していった。その後、彼女の親友伝いに聞いた話、転校していった先で元気にやってるそうだ。
「お前がどこまで覚えてるかは、知らないが完全に彼女にフラれたのが原因での逆恨みだ。理不尽すぎるだろ、転校してきて何もやってないのにこんな事件が起きてるんだからな」
梅村の前にカップを置いてやれば
「…ごめん…俺…またケガさせた…」
自分の膝に顔を埋める。
さて、どうしたものか。
こうなった梅村を慰めるのが大変なんだよ…。
俺が梅村を庇ってできた傷はいくつか傷跡として身体に残っている。それを思い出したからこそ梅村は沈み込んでるんだ。
俺が自分の意志でこいつを守って来てたんだが、その理由もちゃんと思い出してくれるのかが謎だな…
Fin
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