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不安

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「なんでだよぉ」
梅村が部屋の隅っこで座って呟く。

「今度はどうした?」
梅村の後ろに座って抱きしめながら聞いてみる。

梅村は首を振るだけで答えない。


思いを口にすればそれが消えてしまうと思ってるのか


思い出し始めてる記憶が邪魔をしているのか


言葉に出すと言うことを拒んでいる。

「なぁ梅村、ちゃんと言わないと俺たちはわからねぇし、助けてやれねぇよ」

梅村自身がどうして欲しいのか言わない限り俺たちは動けない。

桐渓がいつ動き出すかもわからない、だからこそ梅村が不安なのかもしれないが…。

「…菊池…」
小さく呼ばれる名。
「ん?」
同じように小さく返事をすれば、

「…俺は怖い…また…菊池のことを…忘れるのが…怖い…」
俺にしか聞こえない声で紡がれた言葉。
「大丈夫だ。二度と忘れさせねぇよ。お前の記憶に刻み込んでやる」
二度も同じことをしてたまるか。

俺の言葉に小さく頷く梅村を安心させるように何度も撫でてやった。




「やっぱ梅ちゃんには甘々だよねぇ~。委員長はさぁ」
なんて、鍋谷が言っていたが聞こえなかったことにしておいてやる。


梅村に甘い自覚はあるからな。


Fin

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