人はそれを愛と呼び、彼は迷惑だと叫ぶ。

記憶の中の面影

体育の授業中、ふと隣を見れば菊池がジッとこっちを見ていた。

「なんだよ？」
気になって聞いてみれば
「イヤ、さっき怠そうにしてたから大丈夫かなって思ってよ」
言われた言葉に驚いた。

「なんでわかんだよぉ」
信じられなくて呟けば
「お前はよく体調が悪い時に胸元を掴むだろ。その後で大きく息を吐くからな」
それは確かにさっき自分がやった行動だった。

「干渉するなよぉ…」
本当はそんなこと思ってなしけどつい言ってしまった。

「体調が悪い時は大人しく見学してろ」
そう言ってクシャリと頭を撫でて行ってしまう。


逆光でその顔は見えないけれど、そんな菊池を見て頭の中に浮かんだ面影。


ちゃんと思い出せないけれど、どこかで同じようなことを言われたような気がする。


あれは誰でいつの記憶だろうか？


俺は考えるのをやめて菊池に言われたとおり見学することに決めた。


Fin