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11話
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「俺には俺の目的があって、この場所に来た。その目的の一つが来栖颯哉に会うこと。まぁ、予定外なこともあったけどな」
少し苦笑しながら言われる。
「予定外なこと?」
俺の知らない所で何かあったんだろうか?
「そう、まさか恋人でもないお前を抱くことになるとは思わなかった」
その言葉に、あっ、って思った。
「すみません。ご迷惑おかけして…」
俺はそう謝るしかできなかった。
「あれは仕方ないだろ。お前自身も予想してなかった発情だったみたいだからな」
先輩はポンポンって頭を叩くように撫でてくれる。
「でも、先輩。なんで俺に会うのが目的なんですか?」
その理由がわからない。だって、高校の時だってそんな接点もなく、ただ、俺が走ってる先輩を眺めてるだけだったわけだし、中学の時の記憶は俺にはないし、俺と先輩になにがあったのかわからない。
「お前の笑顔を見るため。さっきも言っただろ?俺はお前の笑顔で救われたって…だから…もう一度、お前の笑顔を見たかった…まぁ、ちょっとした約束もしたしな」
なんて含み笑いをしていう。
「えっ?約束?俺なんか先輩と約束してたんですか?」
俺の言葉にコクりと小さく頷く。が、俺には全然その記憶はない。
「どぉしよう…思い出せない…」
何度考えても、思い出そうとしても、中学の頃の、あの頃の記憶が全然思い出せない。ただ、あの場所で楽しい思い出があったとしか思い出せないのだ。
「ムリに思い出さなくていい。ショックで失くした記憶なら尚更な。それに、その約束はほぼ叶ってるようなもんだしな」
小さく笑いながら俺の頭を撫でていくその手はまだ、少しだけ震えていた。
「あの…ムリに話さなくてもいいですよ?…誰にだって話したくないことって、あるし…俺は無神経で聞いちゃったけど…」
ムリに話さなくてもって、思って言えば
「大丈夫だ。後は、ただ単純に傍にいたかっただけだ。傍にいればお前の笑顔が見れるかなって思ってな。女装してるから、俺だとはわからないだろうって思ってたんだけどな」
ばれたのは予定外だったと呟く先輩。本当に俺が立華さんを先輩だと見抜いたのが予定外だったらしい。
「どうして…どうして、そこまでして俺に会いに来てくれたんですか?俺、本当に中学の頃の記憶はないし、高校の時だって、ただ見てるだけだったのに…」
そう、俺はこれが不思議だった。ただ、笑顔が見たいってそれだけの理由でここまでするのが不思議だったのだ。
「会いたかったから。それだけで理由になるだろ?」
なんて、小さく笑いながら言われて嬉しさと恥ずかしさで俺は俯いた。
か、顔があつい。赤くなってるかも…
「真っ赤。自分は好きだって平気で言ってのけるくせに俺が会いたかったって言うだけでこれかよお前」
少しだけ楽しげに笑う先輩の手が俺の頭をそっと撫でていく。
「だ、だって、俺は…俺は会いたくても会えない人だって思ってたんです。だから好きだと言う気持ちも言うつもりはなくて…でも、立華さんに会って立華さんに先輩の面影を見たらダメでした。俺…男の先輩も女装してる先輩もどっちも好きになちゃったみたいで…でも…」
これって本人に対して遠回しに告白してるようなものじゃないだろうか?
「そこまで言うくせに本当に告白はするつもりないんだなお前」
少しだけ先輩の呆れた声。俺は小さく頷いた。
告白をして断られるのが怖い
「ねぇ、颯哉くん」
急に立華さんの話し方で声をかけられてビックリして先輩を見たら
「ねぇ、颯哉くん、私を颯哉くんの彼女にしてくれますか?」
なんて、素敵なにっこり笑顔で言われて俺は固まった。
それはもう、見事に固まったのだった。
先輩、その笑顔は反則です。
綺麗すぎて見惚れちゃいました。
後、意味がわからなすぎて頭の中フリーズしちゃいました。
どうしよう…嬉しい…かも…
少し苦笑しながら言われる。
「予定外なこと?」
俺の知らない所で何かあったんだろうか?
「そう、まさか恋人でもないお前を抱くことになるとは思わなかった」
その言葉に、あっ、って思った。
「すみません。ご迷惑おかけして…」
俺はそう謝るしかできなかった。
「あれは仕方ないだろ。お前自身も予想してなかった発情だったみたいだからな」
先輩はポンポンって頭を叩くように撫でてくれる。
「でも、先輩。なんで俺に会うのが目的なんですか?」
その理由がわからない。だって、高校の時だってそんな接点もなく、ただ、俺が走ってる先輩を眺めてるだけだったわけだし、中学の時の記憶は俺にはないし、俺と先輩になにがあったのかわからない。
「お前の笑顔を見るため。さっきも言っただろ?俺はお前の笑顔で救われたって…だから…もう一度、お前の笑顔を見たかった…まぁ、ちょっとした約束もしたしな」
なんて含み笑いをしていう。
「えっ?約束?俺なんか先輩と約束してたんですか?」
俺の言葉にコクりと小さく頷く。が、俺には全然その記憶はない。
「どぉしよう…思い出せない…」
何度考えても、思い出そうとしても、中学の頃の、あの頃の記憶が全然思い出せない。ただ、あの場所で楽しい思い出があったとしか思い出せないのだ。
「ムリに思い出さなくていい。ショックで失くした記憶なら尚更な。それに、その約束はほぼ叶ってるようなもんだしな」
小さく笑いながら俺の頭を撫でていくその手はまだ、少しだけ震えていた。
「あの…ムリに話さなくてもいいですよ?…誰にだって話したくないことって、あるし…俺は無神経で聞いちゃったけど…」
ムリに話さなくてもって、思って言えば
「大丈夫だ。後は、ただ単純に傍にいたかっただけだ。傍にいればお前の笑顔が見れるかなって思ってな。女装してるから、俺だとはわからないだろうって思ってたんだけどな」
ばれたのは予定外だったと呟く先輩。本当に俺が立華さんを先輩だと見抜いたのが予定外だったらしい。
「どうして…どうして、そこまでして俺に会いに来てくれたんですか?俺、本当に中学の頃の記憶はないし、高校の時だって、ただ見てるだけだったのに…」
そう、俺はこれが不思議だった。ただ、笑顔が見たいってそれだけの理由でここまでするのが不思議だったのだ。
「会いたかったから。それだけで理由になるだろ?」
なんて、小さく笑いながら言われて嬉しさと恥ずかしさで俺は俯いた。
か、顔があつい。赤くなってるかも…
「真っ赤。自分は好きだって平気で言ってのけるくせに俺が会いたかったって言うだけでこれかよお前」
少しだけ楽しげに笑う先輩の手が俺の頭をそっと撫でていく。
「だ、だって、俺は…俺は会いたくても会えない人だって思ってたんです。だから好きだと言う気持ちも言うつもりはなくて…でも、立華さんに会って立華さんに先輩の面影を見たらダメでした。俺…男の先輩も女装してる先輩もどっちも好きになちゃったみたいで…でも…」
これって本人に対して遠回しに告白してるようなものじゃないだろうか?
「そこまで言うくせに本当に告白はするつもりないんだなお前」
少しだけ先輩の呆れた声。俺は小さく頷いた。
告白をして断られるのが怖い
「ねぇ、颯哉くん」
急に立華さんの話し方で声をかけられてビックリして先輩を見たら
「ねぇ、颯哉くん、私を颯哉くんの彼女にしてくれますか?」
なんて、素敵なにっこり笑顔で言われて俺は固まった。
それはもう、見事に固まったのだった。
先輩、その笑顔は反則です。
綺麗すぎて見惚れちゃいました。
後、意味がわからなすぎて頭の中フリーズしちゃいました。
どうしよう…嬉しい…かも…
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