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52話
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「じゃぁ俺たちは戻るけど、2人はあと3日はゆっくり休むように。3日後にもう一度様子を見に来るからその時の状態次第で判断する」
「2人ともゆっくり休んでちゃんと話し合うんだよ」
ヒロさんとコウちゃんに言われて俺はこくりと頷いた。でもさっきから大我の顔がすっごく険しんだよね。
何かあったのかな?
「兄貴ちょっと」
どうしたのかな?って考えてたらヒロさん連れて2人で出て行っちゃった。
「何かあったのかな?」
ポツリと呟いたら
「きっと大ちゃんにしかわからないことがあったんだよ。だからゆいちゃんは心配しないの」
コウちゃんが頭を撫でてくれた。
「うん、そうだといんだけど…」
頷きながらも少し心配だった。大我があの顔をするときは必ず何かが起きるときだから…。どちらかといえば悪い方。悪い方なんだけど、最悪な事態を防ぐことができるんだから大我ってすごいなって思う。なんでわかるのかがわかんないんだけどさ。
「コウ、このまま病院に行くぞ」
大我と戻ってきたヒロさんがそんなことを言うもんだから俺もコウちゃんもビックリ。
「もしかして…劉と一緒?」
コウちゃんが不安げに聞いてる。その言葉に大我がこくりと頷いた。俺にはそれの意味が分からない。だから3人を見守るしかなかった。
「またかぁ…ちゃんと気を付けてたんだけどなぁ。わかった行こうひろくん」
コウちゃんはガックリと肩を落としヒロさんと一緒に帰って行った。で、俺は意味が分からないまま大我と一緒に部屋の中に戻ってソファに座った。
俺がちゃんとした理由を知ったのはコウちゃんが入院してからだった。大我って昔から不思議な力発揮してたんだな。
「ゆい、何かしたいことはあるか?ずっと寝っぱなしだったし…」
フラッといなくなったなぁ~と思ったらコーヒーの入ったカップを2つ持って戻ってきた。
「ん~、これと言って特にないけど、大我とはもっとちゃんと話した方がいいなって思う」
うん、そう、これはずっと思ってた。だって大我は俺の知らないところで色々とやってくから俺は全部なにも知らないままなんだ。
「まぁ、約束したしな。今度はなにが知りたい?」
小さく笑いながら聞けば答えるといってくれた。
「大我はどこまで俺のことを考えてるんだ?それこそ将来のことも含めて…」
こんなこと聞くとお前はどうなんだって聞かれそうだけど、それでも知りたかったんだ。
「ん?そこまで深くは考えてない。それこそ中学の時は高校の状況が気になって兄貴に聞いたりしてたけど、今は特には考えてない」
それって、俺との将来のことは考えてないってことなんだろうか?
「こら、変なことを考えるな」
「むーっ、だって…」
俺の考えてることなんてわかってるぞと言わんばかりに鼻をつままれた。
「自分よがりに考えてないってだけだ。中学や1年の時みたいに、自分の感情を隠して押し殺して、自棄になってる唯斗を守る為だけに、自分勝手に行動してるわけじゃなくて、これから先の未来は唯斗とゆっくり話をして一緒に考えて決めていこうって思ってるってこと」
小さく笑いながら言われた言葉に驚いたけど嬉しかった。
「それって…これからも俺は大我の傍にいてもいいってこと?大我に甘えまくってもいいってこと?」
だからついそんなことを聞いちゃった。
「あぁ、俺に甘えるのも傍にいるのも聖唯斗ただ一人が許された行為だ。それに俺の嫁はゆいだろ?」
なんて言われて急に恥ずかしくなった。そうだった。この男、自分の両親の前でそんなことを平気で言ってのけたんだった。それどころかヒロさんやコウちゃんまでも一緒に…。
「うーっ」
恥ずかしいやら悔しいやらで唸っていたら
「ゆいはこれからどうしたい?それこそ将来にことも含めて」
反対に聞かれて言葉に困った。だって…俺も深くは考えてなかったんだ。今まで色々とあって自分のことなんて考えるの後回しだったから…
「うー、考えてない。決まってない。でも…でも、俺は大我の愛情がなくなったら死ぬ。間違いなく廃人になる!」
これだけは断言できる。だって、それだけ俺は神尾大我の愛情に溺れてきたんだ。大我の優しさがなかったら不安でしょうがないんだ。こんな俺にしたのは間違いなくこの男自身だ。
「廃人になられるのは困るな。でも、俺はお前を守るためだったら、お前の意見なんて聞かずに動く男だ。それでも唯斗はこれからもずっと俺の傍にいるか?いてくれるのか?」
急に真面目なことを聞かれて驚いた。でも…
「正直に言って、俺の意見を聞かずに勝手に決めていかれるのは腹が立ったし、ふざけるなって思った。でも、俺にはそんな自分勝手に俺の意見など聞かずに俺のことを守って甘やかしてくれる神尾大我が必要なんだ。それこそ、俺は大我の子が欲しい!!!」
グッと握り拳を作ってハッキリと言い切った。うん。これは嘘じゃない。俺は大我との子供が欲しんだ!!!2人で育てていきたいんだ!!!
「ぶっ、あははは。そこまで力説しなくても…もしかして神谷とコウちゃんの妊娠や愁先輩の妊娠で自分もって思ったのか?」
力説した俺に大我が爆笑を始めた。
「う…うん。少し羨ましいなって…でも、大我はそれを許さないだろ?」
恥ずかしくて真っ赤になりながら答えれば
「そうだな。俺は今のゆいには学生を満喫してもらいたい。それだけは俺も譲れない。だから卒業するまで我慢してほしい。まだまだ唯斗には学生として楽しんでほしんだ」
優しく頭を撫でながら言われた言葉に小さく頷く。その言葉の意味も理由も俺にはわかるから。
それは俺が養護施設で育ったのが原因。両親や里親に捨てられたのが原因だから…。だから大我は頑なに俺に学生の今を楽しめという。今でしか経験できないことをしろと…。大我が言葉にしなくても態度でわかるんだ。それだけこの男は俺を守り甘やかしてきたから…。
「2人ともゆっくり休んでちゃんと話し合うんだよ」
ヒロさんとコウちゃんに言われて俺はこくりと頷いた。でもさっきから大我の顔がすっごく険しんだよね。
何かあったのかな?
「兄貴ちょっと」
どうしたのかな?って考えてたらヒロさん連れて2人で出て行っちゃった。
「何かあったのかな?」
ポツリと呟いたら
「きっと大ちゃんにしかわからないことがあったんだよ。だからゆいちゃんは心配しないの」
コウちゃんが頭を撫でてくれた。
「うん、そうだといんだけど…」
頷きながらも少し心配だった。大我があの顔をするときは必ず何かが起きるときだから…。どちらかといえば悪い方。悪い方なんだけど、最悪な事態を防ぐことができるんだから大我ってすごいなって思う。なんでわかるのかがわかんないんだけどさ。
「コウ、このまま病院に行くぞ」
大我と戻ってきたヒロさんがそんなことを言うもんだから俺もコウちゃんもビックリ。
「もしかして…劉と一緒?」
コウちゃんが不安げに聞いてる。その言葉に大我がこくりと頷いた。俺にはそれの意味が分からない。だから3人を見守るしかなかった。
「またかぁ…ちゃんと気を付けてたんだけどなぁ。わかった行こうひろくん」
コウちゃんはガックリと肩を落としヒロさんと一緒に帰って行った。で、俺は意味が分からないまま大我と一緒に部屋の中に戻ってソファに座った。
俺がちゃんとした理由を知ったのはコウちゃんが入院してからだった。大我って昔から不思議な力発揮してたんだな。
「ゆい、何かしたいことはあるか?ずっと寝っぱなしだったし…」
フラッといなくなったなぁ~と思ったらコーヒーの入ったカップを2つ持って戻ってきた。
「ん~、これと言って特にないけど、大我とはもっとちゃんと話した方がいいなって思う」
うん、そう、これはずっと思ってた。だって大我は俺の知らないところで色々とやってくから俺は全部なにも知らないままなんだ。
「まぁ、約束したしな。今度はなにが知りたい?」
小さく笑いながら聞けば答えるといってくれた。
「大我はどこまで俺のことを考えてるんだ?それこそ将来のことも含めて…」
こんなこと聞くとお前はどうなんだって聞かれそうだけど、それでも知りたかったんだ。
「ん?そこまで深くは考えてない。それこそ中学の時は高校の状況が気になって兄貴に聞いたりしてたけど、今は特には考えてない」
それって、俺との将来のことは考えてないってことなんだろうか?
「こら、変なことを考えるな」
「むーっ、だって…」
俺の考えてることなんてわかってるぞと言わんばかりに鼻をつままれた。
「自分よがりに考えてないってだけだ。中学や1年の時みたいに、自分の感情を隠して押し殺して、自棄になってる唯斗を守る為だけに、自分勝手に行動してるわけじゃなくて、これから先の未来は唯斗とゆっくり話をして一緒に考えて決めていこうって思ってるってこと」
小さく笑いながら言われた言葉に驚いたけど嬉しかった。
「それって…これからも俺は大我の傍にいてもいいってこと?大我に甘えまくってもいいってこと?」
だからついそんなことを聞いちゃった。
「あぁ、俺に甘えるのも傍にいるのも聖唯斗ただ一人が許された行為だ。それに俺の嫁はゆいだろ?」
なんて言われて急に恥ずかしくなった。そうだった。この男、自分の両親の前でそんなことを平気で言ってのけたんだった。それどころかヒロさんやコウちゃんまでも一緒に…。
「うーっ」
恥ずかしいやら悔しいやらで唸っていたら
「ゆいはこれからどうしたい?それこそ将来にことも含めて」
反対に聞かれて言葉に困った。だって…俺も深くは考えてなかったんだ。今まで色々とあって自分のことなんて考えるの後回しだったから…
「うー、考えてない。決まってない。でも…でも、俺は大我の愛情がなくなったら死ぬ。間違いなく廃人になる!」
これだけは断言できる。だって、それだけ俺は神尾大我の愛情に溺れてきたんだ。大我の優しさがなかったら不安でしょうがないんだ。こんな俺にしたのは間違いなくこの男自身だ。
「廃人になられるのは困るな。でも、俺はお前を守るためだったら、お前の意見なんて聞かずに動く男だ。それでも唯斗はこれからもずっと俺の傍にいるか?いてくれるのか?」
急に真面目なことを聞かれて驚いた。でも…
「正直に言って、俺の意見を聞かずに勝手に決めていかれるのは腹が立ったし、ふざけるなって思った。でも、俺にはそんな自分勝手に俺の意見など聞かずに俺のことを守って甘やかしてくれる神尾大我が必要なんだ。それこそ、俺は大我の子が欲しい!!!」
グッと握り拳を作ってハッキリと言い切った。うん。これは嘘じゃない。俺は大我との子供が欲しんだ!!!2人で育てていきたいんだ!!!
「ぶっ、あははは。そこまで力説しなくても…もしかして神谷とコウちゃんの妊娠や愁先輩の妊娠で自分もって思ったのか?」
力説した俺に大我が爆笑を始めた。
「う…うん。少し羨ましいなって…でも、大我はそれを許さないだろ?」
恥ずかしくて真っ赤になりながら答えれば
「そうだな。俺は今のゆいには学生を満喫してもらいたい。それだけは俺も譲れない。だから卒業するまで我慢してほしい。まだまだ唯斗には学生として楽しんでほしんだ」
優しく頭を撫でながら言われた言葉に小さく頷く。その言葉の意味も理由も俺にはわかるから。
それは俺が養護施設で育ったのが原因。両親や里親に捨てられたのが原因だから…。だから大我は頑なに俺に学生の今を楽しめという。今でしか経験できないことをしろと…。大我が言葉にしなくても態度でわかるんだ。それだけこの男は俺を守り甘やかしてきたから…。
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