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君だけを選びたい・・・
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君だけを選びたい・・・
他の誰でもなく君だけを・・・
世の中には五万というほどいい女は居ると思う。でもそんな中でも俺の目に留まった一人の女性が居る。特別美人でも可愛いわけでもない。ごく普通な感じ。仕草が可愛いと思うときもある。そんな彼女を好きになったのはバイト先である。でも俺には告白する勇気がなかった。
いつもの日常。変わらぬ学生生活。
俺は呼び出された時間に指定の場所にいく。待っているのは見知らぬ生徒。
「あの。好きです。付き合ってください。」
これで何度目だろう。告白をされたのは・・・・
「ごめん。好きな人いるから・・・」
その度に俺は断ってきた。だって俺の中には彼女・・・沢口多恵さんがいたから・・・・。
だからずっと断ってきたのだ。これからもずっと断っていくつもりだ。もちろん俺自身が告白するかどうかは別だけど・・・。
「なぁ~。聡。お前ってさぁ彼女つくんねぇの?」
帰る準備をしていた俺に親友の秋葉が聞いてくる。
「は?何で?」
俺はカバンの中に荷物を仕舞いながら聞き返した。
「ん?だってさぁ。此間から告白されてんのにずっと断ってるじゃん」
あぁ。そのこと。
「だって俺・・・・好きな子いるもん」
そう。だから断ってきたわけだし。
「嘘!!マジ?」
そこまで驚くかな?
「マジ。大マジ。そういうお前は?」
俺は反対に聞き返してみる。
「うえぇ~。お・・・俺は・・・その・・・」
何を慌ててんだか・・・。
「噂は知ってるぜ?付き合いだしたんだろ?」
俺は秋葉のほうを見る。秋葉は真っ赤になって頭を掻いている。
「なんだ・・・。知ってたのか・・・」
当たり前だって。
「あんだけ派手に噂になれば誰でも耳にするだろ?」
校内中電撃が走ったように広がったんだから。
「あれは予想外だったんだよ」
秋葉はそういっているが本当はどうだか。なんせ秋葉の相手は学校内一のアイドルだ。牽制するつもりだったんじゃないかと思う。
「ふ~ん。まぁ~いいや。俺は帰るけど?バイトの時間あるし」
俺はカバンを持ち聞いてみる。
「あ・・・。俺も帰る」
秋葉も慌ててカバンを持ち立ち上がる。
「あれ?彼女は?」
俺は不思議に思い聞いてみる。
「あぁ。今日は部活で遅くなるっていうから一旦帰ろうかなって」
「あっそ。ご馳走様」
勝手にしてくれ。
「妬くな。妬くな。ってかお前だって断んなきゃいいだろ?」
こいつ人の話聞いてなかったのか?
「だから好きな子はいるっていったろ?」
だから断ってんだよ。
「そういやぁそういってたっけ。告らねぇの?」
告白か・・・。
「ん~。わかんね。まだ先かも」
そこまで考えてないんだよな。
「ふ~ん。そうなんだ」
そうなんだよな・・・。
「取り敢えず帰る。バイトの時間に遅れる」
俺たちは教室を後した。
「じゃぁな。聡」
「おう。また明日な」
俺たちは駅の近くで別れた。そして俺はそのままバイト先へと向かった。
「おはようございま~す」
俺はそう挨拶をして中に入る。
「おはよう」
「あっ。おはよう」
俺を見かけた先輩たちが挨拶をしてくれる。俺は急いでロッカーに向かい学校の制服からバイト先の制服に着替える。そしてフロアーに出て行く。俺と入れ替わりにパートさんたちが帰っていく。俺がフロアーに行くと店は結構混んでいた。
「牧野くん。ボケッとしてないでこれ運んでくれる?」
店の様子を見ていた俺に先輩からそんな声が飛んでくる。
「あ・・・。はい。すんません」
俺は慌てて言われた料理をお客様の方に運んでいく。
「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ」
テーブルに置きそう告げ今まで使っていたテーブルの上にある食器を片付け戻っていく。
そんなのの繰り返しだ。時にはレジだってやるけど殆どがフロアーでお客様の注文を受けて料理を運んで食器を片付けてってしている。
「牧野くん休憩いいよ」
時間も気にせずにフロアーの中で動いていたら不意にそう声を掛けられた。
「へ?・・あ・・・はい。」
俺は返事をしてトレーを元の位置に戻し時計を見て時間を確認するとロッカールームの方に戻っていく。
「ほら。加奈子はこないだ付き合い始めたんだよね」
そんな声が聞こえる。あぁ。女子が休憩しているのか。
「多恵は?どうなの?」
その言葉に俺の耳は釘付けになる。
「私なんてダメダメだよ。彼氏いないもん」
その言葉にホッとする自分がいる。その言葉は本当のようで彼氏がいる様子はまったく持ってない。
「あ・・・。牧野くんだ」
そう言われ俺は今話をしていた連中の輪の中に混ざっていく。
「何?何の話?」
俺はそう聞いてみる。
「うん。加奈子の恋の悩み相談」
増田さんがそういう。
「そういえば牧野くん彼女いるの?」
沢口さんにそう聞かれた。
「いや。いないけど。沢口さんは?」
俺はそう聞き返した。
「いやだなぁ~。いないよぉ。全然できないんだぁ」
彼女はそう言って笑った。
「作る気がなかったりして」
加奈子さんがそう言っている。
「そんなことないですよぉ。私だってほしいですよ彼氏」
沢口さんはそう答えている。チャンスがあるのなら俺が告白してもいいのだろうか?
でも・・・俺は自分に自信がない。
何の取り柄もないしカッコだってよくないし・・・頭だってよくない。
そんな俺が彼女にアタックしてもいいのだろうかと思う。
「牧野くんは作らないの?」
増田さんが聞いてくる。俺は
「好きな子はいますよ?でもまだ告白してないですね」
そう答えた。
「へぇ~・・っと時間だ。先行くね」
「あ・・・私もだ・・・」
そう言って加奈子さんと増田さんは先に戻っていった。残されたのは俺と沢口さんの二人っきり。
「あ・・・あのさ・・・バイト終わったら少し時間くれないかな?」
俺はダメもとで聞いてみた。
「うん。いいよ。今日は誰も約束してないから。っと・・・ごめんね。私も時間だ」
彼女はそう返事をして持ち場に戻っていってしまった。
おし!!!男、牧野聡、今夜こそ決めて見せるぜ!!!
俺は誰にも見つからないようにガッツポーズを作った。
俺は休憩時間が終わるとフロアーに戻った。これからまた混みだす時間帯だ。取り敢えず意識はそっちに集中させよう。
今夜も色んなお客さんが来て色んな注文をして食事をして帰っていく。
俺は出される料理をお客さんの方に運び、新たに注文を受けたり食器を片付けたりそんなののを繰り返していた。
「牧野くん。時間だよ」
不意に誰かが俺に教えてくれる。
「へ?あ・・・はい。ありがとうございます」
俺は手に持っていた食器を厨房の方に行き片付けロッカーの方へと戻っていく。今日は時間が着てることに気が付かなかった。俺はタイムカードを押すとロッカーに行き着替え始める。
「あ~!!!!そういえば・・・」
着替え始めて気が付いた。沢口さんと約束をしていたことに・・・・。
俺は急いで着替えると荷物を持ち店の外に飛び出した。
「あれ?・・・いない・・・」
待ちくたびれて帰っちゃったかのな?もしそうなら悪いことしたよな・・・・。
俺は溜め息をつき店の方に視線を戻すとフロアーにまだ彼女に姿があるのに気付いた。
「まだいる。よかった・・・」
俺はホッと息を吐いた。よかった。本当によかった。まだチャンスはある。
俺は自販機でコーヒーを買い彼女が出てくるのを待った。ついでに彼女のためにココアを買って・・・。
「ごめんね?待った?」
5分後に彼女は慌てて出てきた。そう言って笑う彼女が可愛いと思う。
「大丈夫。どっか行こうか?それとも家まで送ろうか?」
俺は一応聞いてみる。
「え~っと・・・。話あるんだよね?じゃぁ公園いこっか。」
彼女はそう言ってくる。そうだった・・・。俺ってばバカじゃん。
「そうだね。じゃぁいこうか。あっ・・・。これココア。温まると思って」
俺はさっき買ったココアの缶を彼女に渡す。
「ありがとう」
沢口さんは少し照れたようにそれを受け取ってくれた。
俺たちは何気ない会話をしながら公園まで来ていた。そこは遅い時間の割にはカップルが多かった。
「結構人がいるんだ」
彼女はそういう。
「そうだね」
俺はそう答えた。俺たちは無言のままベンチに座った。
がんばれ俺!!!今こそ勇気を出すんだ!!!!
「あの・・・あのさ・・・」
俺は途中まで言いかけてやめてしまう。
「ん?何?気になるよ」
彼女が笑う。この笑顔がずっと俺のものになればいいのに・・・。
「もし・・・もしチャンスがあるのなら・・・俺と付き合ってくれないかな?」
俺は精一杯の勇気を振り絞って伝える。
「あのさ・・・もし・・・チャンスがあるのなら付き合ってくれる?」
彼女からの返事はそれだった。
俺たちはお互いの顔を見合わせ噴出した。
「同じこと思ってたんだ」
俺は呟く。
「うん。そうだね」
彼女が俺の肩に頭を乗せてくる。俺はそんな彼女を抱き寄せ
「俺さ・・・ずっと沢口さんが好きだった。もちろん今でも好きなんだ」
伝える。
「うん。私もね。好きだったんだよ」
彼女はそう言ってジッと俺を見上げてくる。その顔が可愛いと思う。
本当。沢口さんはちょっとした仕草がすごく可愛い。
俺はそんな彼女の額にキスをして
「名前・・・呼んでもいい?」
聞いてみる。彼女は赤くなりながら
「いいよ」
答えてくれる。俺は彼女を抱きしめる腕に少しだけ力を込め
「多恵が好きなんだ」
もう一度好きだと伝えた。
「私もね。聡くんが好きです」
彼女はそう言って俺の頬にキスをしてきた。俺が驚き見ると
「ふふ。仕返し」
彼女はそう言って笑った。俺はそんな彼女にそっとキスをした。触れるだけのキス。彼女の初めてのキス。
「うわぁ・・・ごめん・・・なんか急すぎだね。何やってんだろ俺・・・」
俺ははたと気が付いていう。多恵はクスクス笑い
「聡くんの意外な一面が見れて嬉しいけど?それにいやじゃないから・・・」
言う顔は少し赤くなっていた。俺は頭を掻き
「家まで送ろうか?あんまり遅いと親が心配するだろ?」
聞く。本当はまだ帰りたくないけど。
「うん。明日も送ってくれる?」
多恵がそんなことを聞いてくるから俺は
「バイトがなくても迎えに来るよ」
そう伝えた。そしたら彼女は嬉しそうに笑った。
あぁ。やっぱりこんな仕草が可愛い。好きになってよかった。
君だけを選びたい・・・・・
ほかの誰かじゃなくて君だけを・・・・
Fin
他の誰でもなく君だけを・・・
世の中には五万というほどいい女は居ると思う。でもそんな中でも俺の目に留まった一人の女性が居る。特別美人でも可愛いわけでもない。ごく普通な感じ。仕草が可愛いと思うときもある。そんな彼女を好きになったのはバイト先である。でも俺には告白する勇気がなかった。
いつもの日常。変わらぬ学生生活。
俺は呼び出された時間に指定の場所にいく。待っているのは見知らぬ生徒。
「あの。好きです。付き合ってください。」
これで何度目だろう。告白をされたのは・・・・
「ごめん。好きな人いるから・・・」
その度に俺は断ってきた。だって俺の中には彼女・・・沢口多恵さんがいたから・・・・。
だからずっと断ってきたのだ。これからもずっと断っていくつもりだ。もちろん俺自身が告白するかどうかは別だけど・・・。
「なぁ~。聡。お前ってさぁ彼女つくんねぇの?」
帰る準備をしていた俺に親友の秋葉が聞いてくる。
「は?何で?」
俺はカバンの中に荷物を仕舞いながら聞き返した。
「ん?だってさぁ。此間から告白されてんのにずっと断ってるじゃん」
あぁ。そのこと。
「だって俺・・・・好きな子いるもん」
そう。だから断ってきたわけだし。
「嘘!!マジ?」
そこまで驚くかな?
「マジ。大マジ。そういうお前は?」
俺は反対に聞き返してみる。
「うえぇ~。お・・・俺は・・・その・・・」
何を慌ててんだか・・・。
「噂は知ってるぜ?付き合いだしたんだろ?」
俺は秋葉のほうを見る。秋葉は真っ赤になって頭を掻いている。
「なんだ・・・。知ってたのか・・・」
当たり前だって。
「あんだけ派手に噂になれば誰でも耳にするだろ?」
校内中電撃が走ったように広がったんだから。
「あれは予想外だったんだよ」
秋葉はそういっているが本当はどうだか。なんせ秋葉の相手は学校内一のアイドルだ。牽制するつもりだったんじゃないかと思う。
「ふ~ん。まぁ~いいや。俺は帰るけど?バイトの時間あるし」
俺はカバンを持ち聞いてみる。
「あ・・・。俺も帰る」
秋葉も慌ててカバンを持ち立ち上がる。
「あれ?彼女は?」
俺は不思議に思い聞いてみる。
「あぁ。今日は部活で遅くなるっていうから一旦帰ろうかなって」
「あっそ。ご馳走様」
勝手にしてくれ。
「妬くな。妬くな。ってかお前だって断んなきゃいいだろ?」
こいつ人の話聞いてなかったのか?
「だから好きな子はいるっていったろ?」
だから断ってんだよ。
「そういやぁそういってたっけ。告らねぇの?」
告白か・・・。
「ん~。わかんね。まだ先かも」
そこまで考えてないんだよな。
「ふ~ん。そうなんだ」
そうなんだよな・・・。
「取り敢えず帰る。バイトの時間に遅れる」
俺たちは教室を後した。
「じゃぁな。聡」
「おう。また明日な」
俺たちは駅の近くで別れた。そして俺はそのままバイト先へと向かった。
「おはようございま~す」
俺はそう挨拶をして中に入る。
「おはよう」
「あっ。おはよう」
俺を見かけた先輩たちが挨拶をしてくれる。俺は急いでロッカーに向かい学校の制服からバイト先の制服に着替える。そしてフロアーに出て行く。俺と入れ替わりにパートさんたちが帰っていく。俺がフロアーに行くと店は結構混んでいた。
「牧野くん。ボケッとしてないでこれ運んでくれる?」
店の様子を見ていた俺に先輩からそんな声が飛んでくる。
「あ・・・。はい。すんません」
俺は慌てて言われた料理をお客様の方に運んでいく。
「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ」
テーブルに置きそう告げ今まで使っていたテーブルの上にある食器を片付け戻っていく。
そんなのの繰り返しだ。時にはレジだってやるけど殆どがフロアーでお客様の注文を受けて料理を運んで食器を片付けてってしている。
「牧野くん休憩いいよ」
時間も気にせずにフロアーの中で動いていたら不意にそう声を掛けられた。
「へ?・・あ・・・はい。」
俺は返事をしてトレーを元の位置に戻し時計を見て時間を確認するとロッカールームの方に戻っていく。
「ほら。加奈子はこないだ付き合い始めたんだよね」
そんな声が聞こえる。あぁ。女子が休憩しているのか。
「多恵は?どうなの?」
その言葉に俺の耳は釘付けになる。
「私なんてダメダメだよ。彼氏いないもん」
その言葉にホッとする自分がいる。その言葉は本当のようで彼氏がいる様子はまったく持ってない。
「あ・・・。牧野くんだ」
そう言われ俺は今話をしていた連中の輪の中に混ざっていく。
「何?何の話?」
俺はそう聞いてみる。
「うん。加奈子の恋の悩み相談」
増田さんがそういう。
「そういえば牧野くん彼女いるの?」
沢口さんにそう聞かれた。
「いや。いないけど。沢口さんは?」
俺はそう聞き返した。
「いやだなぁ~。いないよぉ。全然できないんだぁ」
彼女はそう言って笑った。
「作る気がなかったりして」
加奈子さんがそう言っている。
「そんなことないですよぉ。私だってほしいですよ彼氏」
沢口さんはそう答えている。チャンスがあるのなら俺が告白してもいいのだろうか?
でも・・・俺は自分に自信がない。
何の取り柄もないしカッコだってよくないし・・・頭だってよくない。
そんな俺が彼女にアタックしてもいいのだろうかと思う。
「牧野くんは作らないの?」
増田さんが聞いてくる。俺は
「好きな子はいますよ?でもまだ告白してないですね」
そう答えた。
「へぇ~・・っと時間だ。先行くね」
「あ・・・私もだ・・・」
そう言って加奈子さんと増田さんは先に戻っていった。残されたのは俺と沢口さんの二人っきり。
「あ・・・あのさ・・・バイト終わったら少し時間くれないかな?」
俺はダメもとで聞いてみた。
「うん。いいよ。今日は誰も約束してないから。っと・・・ごめんね。私も時間だ」
彼女はそう返事をして持ち場に戻っていってしまった。
おし!!!男、牧野聡、今夜こそ決めて見せるぜ!!!
俺は誰にも見つからないようにガッツポーズを作った。
俺は休憩時間が終わるとフロアーに戻った。これからまた混みだす時間帯だ。取り敢えず意識はそっちに集中させよう。
今夜も色んなお客さんが来て色んな注文をして食事をして帰っていく。
俺は出される料理をお客さんの方に運び、新たに注文を受けたり食器を片付けたりそんなののを繰り返していた。
「牧野くん。時間だよ」
不意に誰かが俺に教えてくれる。
「へ?あ・・・はい。ありがとうございます」
俺は手に持っていた食器を厨房の方に行き片付けロッカーの方へと戻っていく。今日は時間が着てることに気が付かなかった。俺はタイムカードを押すとロッカーに行き着替え始める。
「あ~!!!!そういえば・・・」
着替え始めて気が付いた。沢口さんと約束をしていたことに・・・・。
俺は急いで着替えると荷物を持ち店の外に飛び出した。
「あれ?・・・いない・・・」
待ちくたびれて帰っちゃったかのな?もしそうなら悪いことしたよな・・・・。
俺は溜め息をつき店の方に視線を戻すとフロアーにまだ彼女に姿があるのに気付いた。
「まだいる。よかった・・・」
俺はホッと息を吐いた。よかった。本当によかった。まだチャンスはある。
俺は自販機でコーヒーを買い彼女が出てくるのを待った。ついでに彼女のためにココアを買って・・・。
「ごめんね?待った?」
5分後に彼女は慌てて出てきた。そう言って笑う彼女が可愛いと思う。
「大丈夫。どっか行こうか?それとも家まで送ろうか?」
俺は一応聞いてみる。
「え~っと・・・。話あるんだよね?じゃぁ公園いこっか。」
彼女はそう言ってくる。そうだった・・・。俺ってばバカじゃん。
「そうだね。じゃぁいこうか。あっ・・・。これココア。温まると思って」
俺はさっき買ったココアの缶を彼女に渡す。
「ありがとう」
沢口さんは少し照れたようにそれを受け取ってくれた。
俺たちは何気ない会話をしながら公園まで来ていた。そこは遅い時間の割にはカップルが多かった。
「結構人がいるんだ」
彼女はそういう。
「そうだね」
俺はそう答えた。俺たちは無言のままベンチに座った。
がんばれ俺!!!今こそ勇気を出すんだ!!!!
「あの・・・あのさ・・・」
俺は途中まで言いかけてやめてしまう。
「ん?何?気になるよ」
彼女が笑う。この笑顔がずっと俺のものになればいいのに・・・。
「もし・・・もしチャンスがあるのなら・・・俺と付き合ってくれないかな?」
俺は精一杯の勇気を振り絞って伝える。
「あのさ・・・もし・・・チャンスがあるのなら付き合ってくれる?」
彼女からの返事はそれだった。
俺たちはお互いの顔を見合わせ噴出した。
「同じこと思ってたんだ」
俺は呟く。
「うん。そうだね」
彼女が俺の肩に頭を乗せてくる。俺はそんな彼女を抱き寄せ
「俺さ・・・ずっと沢口さんが好きだった。もちろん今でも好きなんだ」
伝える。
「うん。私もね。好きだったんだよ」
彼女はそう言ってジッと俺を見上げてくる。その顔が可愛いと思う。
本当。沢口さんはちょっとした仕草がすごく可愛い。
俺はそんな彼女の額にキスをして
「名前・・・呼んでもいい?」
聞いてみる。彼女は赤くなりながら
「いいよ」
答えてくれる。俺は彼女を抱きしめる腕に少しだけ力を込め
「多恵が好きなんだ」
もう一度好きだと伝えた。
「私もね。聡くんが好きです」
彼女はそう言って俺の頬にキスをしてきた。俺が驚き見ると
「ふふ。仕返し」
彼女はそう言って笑った。俺はそんな彼女にそっとキスをした。触れるだけのキス。彼女の初めてのキス。
「うわぁ・・・ごめん・・・なんか急すぎだね。何やってんだろ俺・・・」
俺ははたと気が付いていう。多恵はクスクス笑い
「聡くんの意外な一面が見れて嬉しいけど?それにいやじゃないから・・・」
言う顔は少し赤くなっていた。俺は頭を掻き
「家まで送ろうか?あんまり遅いと親が心配するだろ?」
聞く。本当はまだ帰りたくないけど。
「うん。明日も送ってくれる?」
多恵がそんなことを聞いてくるから俺は
「バイトがなくても迎えに来るよ」
そう伝えた。そしたら彼女は嬉しそうに笑った。
あぁ。やっぱりこんな仕草が可愛い。好きになってよかった。
君だけを選びたい・・・・・
ほかの誰かじゃなくて君だけを・・・・
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