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パーティー会場に参戦
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さすが、音楽業界でもトップを誇るメディファクト。働いている人も来賓の人たちも見た目がおしゃれな人たちが多い。モデルさんもいるし、テレビで見かけたような歌手や芸能人がいっぱいだ。そんな美女たちの間を潜り抜ける。なぜなら、私の目標物がその多分美女たちが織り成す円形状の輪の中心にいるはずだ。
西洋人のようなタッパとその大きい肩幅が、このキラキラと輝く人たちが埋め尽くす会場でさえも一際生える。一目で高級生地とわかるオーダーメイドのスーツが、その光沢と彼の人並みはずれた容貌と風格に相俟って、一際異彩を放っていた。しかも、その麗しい見た目が美女たちから、顔一つ以上、ポッコリと浮輪のように出ている。
まあ私にとっては、悪魔にしかみえないんですけど……。
取り巻きの女性たちも案の定レベルが高い。みんなモデルのような体型でスタイルもいいし、可愛い系だったり、美人系だったりする。
みんな、私が通るのを見るとあからさまにムッとした顔をされる。
ーーもうね、その目線、怖いですって。
異物が美女軍団の輪に侵入したのに気がついて、その集団を作った本人が声をあげる。
「あ……」
日本人離れした彫りの深い顔立ちの長身の男がその長い睫毛をパチパチさせながら、こちらを見てくる。
完全に気がついたようだ。
その眼光鋭い。
そんな顔するんなら忘れんなよーとか思う。こちらに歩いてきそうな雰囲気だったため、思い切り手を横に振り、首もブンブンと横にふって否定する。これ以上の接近はいろいろ周りの視線が痛いからよして欲しいと願う。
あちらもその様子に気がついて、「あっ」とか言ってまた違う方向に顔を背けた。
そうしたら、そちらの方向に構えていた美女その一が、
「あら、蓮司様はあんなチンケな女にご興味ありませんでなくて?」と言いながら、輪の中に侵入してくる私を完全に無視するような素振りだ。
ーーはあ、チンケだなんて、久しぶりにきいたね。語録が増えてしまう。
はっきりいって、此の手の女性たちに蔑まされるのは慣れている。
高校時代の女友達は手厳しかった。
「なんとかは、もうちょっと痩せれば、よくなるよ」
「なんとかは、顔がもうちょっと小顔だったらね」
「鼻がもっとすっとしてればね~、もったいない」
「もっと女子力つけたほうがいいよ」
いや、痩せろまではわかるけど、顔の形とか、鼻の形はすでに整形の域ですから……もったいないってちょっと……無理がないかい?
自分のことながら笑いそうになってしまう。
しかも、女子力ってなに?
昔だったら、きっとお針子とか持っていて、いきなり裁縫で腕自慢とか??
いや、実はお裁縫得意だわ。でも、絶対に今必要とされる女子力って、きっと綺麗に爪が整えられているとか、ちょっと古いけど、レースのハンカチがそっと出てきたり、またはセクシーな下着とかが、女子力に直結しているような気がする。
けっして、漬物がつけるのが超上手とかでないはず。
ああ、もっと昔に生まれたら、実は私、女子力高めだったかも。
どちらかというと婆力(ババリョク)の方がかなり高めかもしれない。
考えていたら、あ、やばいかも。美女その三ぐらいの取り巻きが、蓮司会長の腕に手をかけている。蓮司会長が明ら様に嫌な顔を見せる。
ああ、まずいっしょ。そんなことして……案の定、蓮司会長にバシッと手を振り払われている。
そんなことよりこっちの要件を先に言う。思いっきり手を挙げ、手の中にある携帯を見せ口パクで説明する。
『電源入れろ!!!』
蓮司会長は、美女たちに埋もれていながら、『わかった』とこれまた、口パクをする。
はぁーー、任務終了。
思わず、その美女たちからの妬みの視線で殺されそうだ。
さっさとその輪から外れる。
これでお給料もらえるなんて……幸せなのか罠なのかわからんな……と思いながら会場を出た。
まあ今日はこのまま仕事場まで地下鉄で戻るか……と思っていたら、ホテルの出口を出る瞬間、黒塗りのベントレーが一台すっと美代の前に現れる。一台で何千万もするものらしい。金持ちの金の使い方が本当にわからん。
いきなり正装の男が話しかける。
「土屋美代様ですか?」
「ほふぇ? あ、そう……です」
いきなり、白手袋を嵌めたドアマンに話しかけられて、変な声が出てしまった。
すると横からいきなり、その黒塗りの最高級車の後部座席のドアが開けられる。
「蓮司会長から連絡がありました。これでご自宅まで送られるようにご指示がございました」
車の運転手である老齢の紳士、伊勢崎さんはにっこりと微笑んだ。もし、この高級車と伊勢崎さんを見たことがなかったら、もちろん断っていただろう。
そう、私、20歳の女子力がかなり低いチンケな女。なぜか大豪邸で“忘れ物お届け係”をやっております。
西洋人のようなタッパとその大きい肩幅が、このキラキラと輝く人たちが埋め尽くす会場でさえも一際生える。一目で高級生地とわかるオーダーメイドのスーツが、その光沢と彼の人並みはずれた容貌と風格に相俟って、一際異彩を放っていた。しかも、その麗しい見た目が美女たちから、顔一つ以上、ポッコリと浮輪のように出ている。
まあ私にとっては、悪魔にしかみえないんですけど……。
取り巻きの女性たちも案の定レベルが高い。みんなモデルのような体型でスタイルもいいし、可愛い系だったり、美人系だったりする。
みんな、私が通るのを見るとあからさまにムッとした顔をされる。
ーーもうね、その目線、怖いですって。
異物が美女軍団の輪に侵入したのに気がついて、その集団を作った本人が声をあげる。
「あ……」
日本人離れした彫りの深い顔立ちの長身の男がその長い睫毛をパチパチさせながら、こちらを見てくる。
完全に気がついたようだ。
その眼光鋭い。
そんな顔するんなら忘れんなよーとか思う。こちらに歩いてきそうな雰囲気だったため、思い切り手を横に振り、首もブンブンと横にふって否定する。これ以上の接近はいろいろ周りの視線が痛いからよして欲しいと願う。
あちらもその様子に気がついて、「あっ」とか言ってまた違う方向に顔を背けた。
そうしたら、そちらの方向に構えていた美女その一が、
「あら、蓮司様はあんなチンケな女にご興味ありませんでなくて?」と言いながら、輪の中に侵入してくる私を完全に無視するような素振りだ。
ーーはあ、チンケだなんて、久しぶりにきいたね。語録が増えてしまう。
はっきりいって、此の手の女性たちに蔑まされるのは慣れている。
高校時代の女友達は手厳しかった。
「なんとかは、もうちょっと痩せれば、よくなるよ」
「なんとかは、顔がもうちょっと小顔だったらね」
「鼻がもっとすっとしてればね~、もったいない」
「もっと女子力つけたほうがいいよ」
いや、痩せろまではわかるけど、顔の形とか、鼻の形はすでに整形の域ですから……もったいないってちょっと……無理がないかい?
自分のことながら笑いそうになってしまう。
しかも、女子力ってなに?
昔だったら、きっとお針子とか持っていて、いきなり裁縫で腕自慢とか??
いや、実はお裁縫得意だわ。でも、絶対に今必要とされる女子力って、きっと綺麗に爪が整えられているとか、ちょっと古いけど、レースのハンカチがそっと出てきたり、またはセクシーな下着とかが、女子力に直結しているような気がする。
けっして、漬物がつけるのが超上手とかでないはず。
ああ、もっと昔に生まれたら、実は私、女子力高めだったかも。
どちらかというと婆力(ババリョク)の方がかなり高めかもしれない。
考えていたら、あ、やばいかも。美女その三ぐらいの取り巻きが、蓮司会長の腕に手をかけている。蓮司会長が明ら様に嫌な顔を見せる。
ああ、まずいっしょ。そんなことして……案の定、蓮司会長にバシッと手を振り払われている。
そんなことよりこっちの要件を先に言う。思いっきり手を挙げ、手の中にある携帯を見せ口パクで説明する。
『電源入れろ!!!』
蓮司会長は、美女たちに埋もれていながら、『わかった』とこれまた、口パクをする。
はぁーー、任務終了。
思わず、その美女たちからの妬みの視線で殺されそうだ。
さっさとその輪から外れる。
これでお給料もらえるなんて……幸せなのか罠なのかわからんな……と思いながら会場を出た。
まあ今日はこのまま仕事場まで地下鉄で戻るか……と思っていたら、ホテルの出口を出る瞬間、黒塗りのベントレーが一台すっと美代の前に現れる。一台で何千万もするものらしい。金持ちの金の使い方が本当にわからん。
いきなり正装の男が話しかける。
「土屋美代様ですか?」
「ほふぇ? あ、そう……です」
いきなり、白手袋を嵌めたドアマンに話しかけられて、変な声が出てしまった。
すると横からいきなり、その黒塗りの最高級車の後部座席のドアが開けられる。
「蓮司会長から連絡がありました。これでご自宅まで送られるようにご指示がございました」
車の運転手である老齢の紳士、伊勢崎さんはにっこりと微笑んだ。もし、この高級車と伊勢崎さんを見たことがなかったら、もちろん断っていただろう。
そう、私、20歳の女子力がかなり低いチンケな女。なぜか大豪邸で“忘れ物お届け係”をやっております。
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