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逆ハーレム編 最終章  夫4人を持つ身分になりました。

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 ちょっと大人になったカナの視点で送ります。

 怒涛の一年が忍の登場からすぎました。
 私も二〇歳になり、なんとなく大人になったような気がします。

 もちろん、忍からは毎日しつこいくらいの性教育が繰り返されています。

 もう身体ははっきりいって、自分でもいいますが、淫乱です。
 でも、あれほど、犯すわよ、挿れるわよ、と言われながらも、忍とは最後の一線を超えていませんでした。
 奇跡です。
 そして、忍に私は、多夫一婦になるべきだと言ってきました。

 そんな淫乱なことは出来ないと言いましたが、忍は、「そんな常識、捨てないと、ここは僕たちだけの世界だよ」と甘くキスをされました。

 そして、自分の心を素直に受け入れなよっとなんども忍に言われました。
 でも、そう言う忍だって、「でも、絶対にそのうちの夫の一人は自分で、他のやつらを蹴散らす」と物騒なことを言っています。

 それから、いろいろなことが起きました。

 ケヴィンとのデートは最初、なぜだか、王都からはずれた避暑地にあるとてもすてきな宿泊所に連れて行かれ、すてきなデートコースだと思いきや、おもいっきり部屋にとじこめられ、悶絶するようなキスをされました。

 でも、意外だったのが、ケヴィンが童貞だったということです。
 いまでも、思い出すと顔が赤くなってしまいますが、ケヴィンはまず優しくわたしの洋服を脱がしました。寝台の上の二人はもちろん、お互いに肌が触れるたびに震えあがるような快感と緊張でなんだかとても恥ずかしかったのを覚えています。

 青黒髪のあいだから、ケヴィンが潤った目と切ない表情を浮かべて、
「あなたを愛している。僕の初めての人になってほしい」と言われた時は、こちらの胸が張り裂けそうでした。

 寝台の上でお互いの身体が芯から蕩けるまで、抱きしめ口付けをしあいました。
 あの日のことは忘れらません。

 フェリスとは、最初の怒涛のファーストキスとディープキス以来、あまり身体の接触は考えてみるとありませんでした。でも、甘い言葉を巧みにつかってアプローチをしてきていたのですが、あまりにも露骨すぎて、お子様な私にはわかりませんでした。

 でも、ある日を境に変わりました。

 フェリスが、ケヴィンからわたしのBL好きの話を聞いて、自ら市井を歩き回り、町でそのような本がないかと探し回ったそうです。そうしたら、人々は、もしかして、『フェリス殿下は男性が好みのタイプ』っという噂が広まってしまい、苦笑したと言っていました。そんな話を王宮からちょっと離れたところにある小高い場所の木陰で聞かされ、わたしもちょっと笑ってしまいました。

 「フェリス、ありがとう……」
と言った瞬間、フェリスの笑顔と唇に声を奪われました。

 優しい微笑みとその柔らかくて熱い唇が私の心を溶かしました。

 「カナ。何度でも言うよ。愛している。私の妻になってほしい」

 彼のプロポーズに心を揺さぶられました。
 フェリスの立場を考えると、この国はじまって以来の多夫一婦になりそうな私の立場では、彼の妻、つまり正妃となるのは、難しいと答えました。

 フェリスは本当に困った顔して、王位など、第二王子にくれてやる。私がいなければ、自分の生きている意味がないっなどとわがままを言い始めました。

 フェリスは第一王位継承者だけあって、自分では考えられないような重圧な責任を普段から背負っているようです。
 でも、私の前ではただの愚痴っぽい少年のような姿が多くて、なぜかそれに惹かれている自分に気がつきました。

 「フェリス、また、公務をさぼって、このピクニックにきたんじゃないの?」
と私が膝枕をしている上で、くつろいでいるフェリスに聞いてみると、
 「まあ、忍が来てくれたので、この国の結界を助けてくれるようになり、随分、楽になったから大丈夫だよ」
と国家機密のようなことを平然と私に言うので、驚いてしまいます。

 でも、たぶん、今まで気をぬくことがなかったので、私みたいなのといると気が抜けるのだと思います。

 結局、彼の強烈な求愛と、忍の入れ知恵で、なぜか彼もわたしの婚約者の一人となりました。
 なぜなら、忍とフェリスが結託し、自分(カナ)が舞姫だということを公にしたのです。
 もちろん、それは嘘ですが、それを確かめる方法は他人にはありません。

 フェリスと忍曰く、そうすれば、舞姫を狙おうとする者から守る意味合いで、カナが何人の夫を持っても不思議で無くなり、正当化されると言われました。

 なぜだか、その舞姫宣言の後、わたしの立場は一転し、王宮ではまるで、王族より偉い地位で扱われるようになりました。

 まったく4人もの夫(当時、婚約者)を持っているのに、後ろ指をさされることは一切ありません。
 それよりも、さすが舞姫、良い男たちをそばにつけている、安心だとも言われました。
 戦争回避になるそうです。
 良心の呵責に悩んでいた私は、驚きました。

 あと、もう一人の夫についてお話ししないといけませんね。

 もう一人の夫は、ちょっとかなり年上のイケてるおじさまです。
 おじさまっていったら、たぶん彼は落ち込むので、かっこいい熟年男とでも言いましょうか。

 ヴァン団長は、今まで忍や私の家族が居ない間の三年間、本当に自然に付き合ってくれて、とても感謝しきれないです。

 彼の背中や胸筋肉は素晴らしいので、いつも彼が横にいるとなぞってしまいます。
 はずがしがり屋の彼は、「おいおい、やめろ」と言いながら、触れられて、うれしい猫のような顔をします。役得です。

 彼からのアプローチは、とっても、かわいらしいものでした。
 あの愛している宣言から、いつもお昼の時間に小さな花束をくれるようになりました。
 正直、花束なんて異性からもらった事はありません。
 ごめん、忍。あなたは数えません。いつも、小さな花束に可愛らしい愛の手紙がついています。

 『私を不眠に誘う愛しの姫君』

 『月の美しさよりもあなたの方が輝き、月が貴方に嫉妬するでしょう』

 『君の足元に跪き、愛を請いたい……』

 『貴方を思い続けて、暁が目を焼き付ける』

 『我が命を君に捧げたい……』


 毎回毎回、短いのですが、強烈な求愛の文章の手紙を忍ばせてきます。
 でも、実際、ヴァンと話をすると、なぜか愛の字の’あ’も出ないし、好きの字の’す’も話さないのです。
 どちらかというと、世間話しかしないのです。
 二人だけのときも……。

 彼は究極の口下手のようです。

 あとで聞いてみたら、王宮の図書で古典の愛の手引きの本を読み込んで、自分で言葉を勉強していたと告白されました。可愛い人です。

 そんな彼も、ケヴィンと私がデートをするという情報(これは、デートの意味を勘違いしていたケヴィンに訂正しようかと思っているうちに、あれよあれよと唇を奪われてしまいましたが)がとても気になっていたようで、そのときだけは……目を真っ赤にさせて……

 「カナ。おれに……のデートっていうものを一緒にしてくれないか? でも、無理強いはしない」
と言われました。
 一瞬、え、デートをただ男女が一緒に出歩くことだと思っていた子供の私は、無理強いって、そんなたいそうな、と思って、「もちろん、いいよ」とにっこり笑顔で答えました。

 そうしたら、真っ赤になったヴァンが喜んで、私を抱き上げ、空中で回すんです。
 よく子供に大人がやる、高い高いってやつです。
 抱き上げ回しみたいなものです。

 「わーー、やったぞ。やったぞ。カナがいいって言ってくれた」

 ぐるぐるわたしを回しながら、叫びます。
 本当にこの人は三十過ぎなんでしょうか?
 あまりに喜ぶのでこちらも笑ってしまいました。
 そして、熱くそのたくましい胸板に抱きしめられて、

 「カナ。愛している。ほんとうに」

 軽く唇にキスをされました。
 こっちの方がそのストレートな告白に頬が熱くなっているのを感じると、
「おまえ、その顔は反則だ。今にでも、そのデートをガンガンにしてやりたくなる」と言われました。

 その時はデートは“ガンガン”とするものじゃないっと思いましたけど、今になると、彼が何を意味しているのかわかります。
 赤面。

 その後、ケヴィンとのデートが先だった私は、ケヴィンとのアクシデントによってデートの勘違いに気がつきました。
 もちろん、勘違いしていたデートの意味をすぐさまヴァンに説明します。
 でも、戻ってきた彼の言葉は、
「いや、おれはどっちでもいい。カナと過ごせればいい」
 とやさしく抱きしめられました。

 でも、あとで聞いたら、かなりショックで悶々としたらしいです。
 旦那さんらしいです。

 それぞれ皆んなにプロポーズされました。
 もちろん、みんなは私にとって、大切で愛する人なので、この4人のプロポーズを受けました。(もし機会がありましたら、その話は後ほどにします。)四人一緒に結婚式をしました。国中が大騒ぎで大変なことになりました。
 どうやら舞姫は女神扱いなので、お祭り騒ぎです。

 この舞姫の結婚は歴史的イベントになってしまい、国中でこれから多夫一婦制も一般平民や貴族にも取り入れるべきか、などと、話し合われるようになってしまいました。女子は喜んでいるようですが、男性の方々は震え上がっているみたいです。

 でも、実は結婚式の前にフェリスに呼び出されていました。
 とても大事な話があると。それは、忍から彼の秘密を聞いて、彼(つまり忍)が開発者である意味を知ったと。そして、7人の魔女の祝福を受けている自分は、この世界のキーパーソンであると知ったと。どうやら、話を要約してみると、フェリス自身が自分の力を究極に高めて、7人の魔女を探し出し、それらの力を巻き込めば、忍の存在をに消せると。
 その事実を実は忍自身から聞いたと……。

 「え……どういうこと?」

 呆然とする私にフェリスが答える。

 「忍は自分が怖いんだ。君を愛し過ぎるがため、世界や君自身を破壊してしまうのが……。それを予防する為に、この世界にその対極となるものを埋め込んでいたらしい。それがどうやら俺なんだ……」

 「なに、それ初めて聞いた」

 「俺は真剣にその話を考えた。あいつの力は神にも匹敵する。でも、忍はその力でおまえを押さえつけ、閉じ込め、思い通りにすることも可能なんだ」
(もちろん、おれ自身も忍をこの世界から消し、正々堂々とおまえを妃にむかえ、独り占めにしたかった)フェリスはその部分は心の中に閉まっておいた。

 「でも、忍はそんなことしない。絶対にしないよ。わたしの嫌いなことは絶対にしない」

 「……そうだ。そうなんだ。おれも思った……それに、おまえ、やっぱり忍が必要だろう?」
 (そして、その忍がおれに頼んだ。もしカナがおれを必要としなく、おれ、つまり、忍自身がカナに害を与えそうなときは、お前がおれを殺せと。でも、それは、カナには言えない)

 「フェリス……」

 言葉がうまく出ない。

 確かに、私には忍は必要だ。
 愛しているとか、そういう言葉では表せないほど。
 自分のDNAが彼を欲している。

 「……うん、ごめん。フェリスたちにとっては、大変かもしれないけど、忍は、私にとっては大切なの。ごめんね。必要なの」

 ちょっと涙ぐむ私。

 「大丈夫、カナ。そんな忍が必要なカナも愛している。愛していることにかけては、あの男には負けられないな。おれも大きな男になるぜっ」

 なんて笑顔で答える。

 もう、フェリスったら、こういうときだけ、なんかおかしいの。

 頼りになるけど。


 そんな会話の後、私たちはセレモニーを迎えた。

 それぞれ、白地の結婚式用の正装に着替えた私の未来の夫4人は、観衆のため息が聞こえてきそうなぐらい輝いて素敵だった。
 自分が世界一、幸せでもったいないぐらいの身分だと思った。
 一番側に立っている忍がきらきらした瞳でわたしにささやく。

 「カナ、しあわせ?」

 涙が溢れてくるので、手でそれを抑えながら「うん、とってもしあわせ」と忍に答える。
 忍はその答えにものすごく満足したのか、こぼれ落ちるような幸せの笑みをわたしに向ける。
 心からの声が漏れた。

 「忍、ありがとう。大好き。愛してる」

 ふとみると……忍の頬に涙が流れていた。
 彼も自分でも気がついていないようだった。
 そして、びっくりして自分の手で拭きはじめていた。

 それを見ていた他の夫たちが、やれやれっといった感じで、私たちをみんなで抱きしめる。
 その後、国中をあげて行われた4人の夫との合同結婚式は終わり、私、カナは正式に四人の夫の妻となりました。

 と、言うことで、あの地味地味な腐女子は、現在は国を代表するぐらいのイケメン四人の妻となり、その幸せのあまり、国中の羨ましがる女性を悶絶させましたとさ。

 終わり!

 え、ちょっとまって。カナはいつ処女失ったのか? え、初夜はいつとか、誰が最初にやったのとか、3Pはどこいったのとか……。

 またそれは、番外編があれば、、お伝えします。
 うわーーいやな作者でごめんなさい。

 (続きます……)
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