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例の魔法道具。言わずもがな、オクトール様が王位を目指すために作ったあの魔法道具のことだろう。
「問題なく登録されたよ。販売申請も同時に通った」
魔法道具は許可なく量産することは出来ない。というより、本来なら、申請中のものを除いて、許可が降りていない魔法道具を持っていること自体、違法なのだが。
国の許可が降りたら複製、量産することが可能になるし、販売許可が降りたということは、これから数を増やして売っていくつもりなんだろう。
「最初のうちは王城で使うくらいだけれどね。過去のものとなった植物も、育てにくくて希少価値が高くなっている薬草も、一度に育てられたら理想だけど、あんまり一気に流通させるといろいろ面倒なことが怒るから」
それは確かに。今まで希少だったからこそ、その薬草を育てることで生活してきた人たちの仕事がいきなりなくなるようなことになっては大変だ。ものによっては、国の名産として売り出している場所もあるくらいだし、いきなり安くなった希少な薬草を多く流通させてしまったら、国の関係がギスギスしてしまうのは目に見えている。
「とはいえ、グナダール草は早めに量を作るつもりでいるよ。兄上と約束したから」
なら、プルプムの薬もすぐにできることだろう。きっとすぐに良くなるに違いない。
「――それでね、ベルメ」
「あら、まだ良い報告がありますの?」
てっきりこれが本題だと思っていたんだけれど。しかし、どうやらそうじゃないらしい。
「……無事申請が通って、僕たちの王位継承順位が決まったんだ」
「――!」
この国の王位継承権は少し特別で、王子、王女の継承順位は生まれた順でも性別で決まるわけでもない。
どれだけ優秀で、国に貢献できるか。
だから、最初のうちは同率で、順位というものはない。仮に、継承順位が決まらない内に国王が逝去した場合は、国王が王子ないし王女だった時代の継承順位を参考に、仮の王が決まるのだ。
王位継承順位は、誰かが分かりやすい功績を残したタイミングで決まる。誰も何も功績を残さない場合は、母親の爵位で順位が決まりやすい。
そして、王子、王女の全員が貴族学院を卒業し、同時に成人を迎えるまでに、誰かが新たな功績を残さず、この王位継承権がひっくり返らなければ、王位継承権第一位の者が次期国王として、三年間、引継ぎの業務を行い、三年後に国王となる。
――そういう、仕組みになっている。
そして今、このタイミングで王位継承権が決まった、ということは――。
「僕が継承権第一位だったよ」
そう言うオクトール様の表情は、自信に満ちていた。同じように、眼鏡はないのに、初めて会ったあの日、顔を青くして今にも倒れそうだった彼だったとは、想像がつかないほどに。
「問題なく登録されたよ。販売申請も同時に通った」
魔法道具は許可なく量産することは出来ない。というより、本来なら、申請中のものを除いて、許可が降りていない魔法道具を持っていること自体、違法なのだが。
国の許可が降りたら複製、量産することが可能になるし、販売許可が降りたということは、これから数を増やして売っていくつもりなんだろう。
「最初のうちは王城で使うくらいだけれどね。過去のものとなった植物も、育てにくくて希少価値が高くなっている薬草も、一度に育てられたら理想だけど、あんまり一気に流通させるといろいろ面倒なことが怒るから」
それは確かに。今まで希少だったからこそ、その薬草を育てることで生活してきた人たちの仕事がいきなりなくなるようなことになっては大変だ。ものによっては、国の名産として売り出している場所もあるくらいだし、いきなり安くなった希少な薬草を多く流通させてしまったら、国の関係がギスギスしてしまうのは目に見えている。
「とはいえ、グナダール草は早めに量を作るつもりでいるよ。兄上と約束したから」
なら、プルプムの薬もすぐにできることだろう。きっとすぐに良くなるに違いない。
「――それでね、ベルメ」
「あら、まだ良い報告がありますの?」
てっきりこれが本題だと思っていたんだけれど。しかし、どうやらそうじゃないらしい。
「……無事申請が通って、僕たちの王位継承順位が決まったんだ」
「――!」
この国の王位継承権は少し特別で、王子、王女の継承順位は生まれた順でも性別で決まるわけでもない。
どれだけ優秀で、国に貢献できるか。
だから、最初のうちは同率で、順位というものはない。仮に、継承順位が決まらない内に国王が逝去した場合は、国王が王子ないし王女だった時代の継承順位を参考に、仮の王が決まるのだ。
王位継承順位は、誰かが分かりやすい功績を残したタイミングで決まる。誰も何も功績を残さない場合は、母親の爵位で順位が決まりやすい。
そして、王子、王女の全員が貴族学院を卒業し、同時に成人を迎えるまでに、誰かが新たな功績を残さず、この王位継承権がひっくり返らなければ、王位継承権第一位の者が次期国王として、三年間、引継ぎの業務を行い、三年後に国王となる。
――そういう、仕組みになっている。
そして今、このタイミングで王位継承権が決まった、ということは――。
「僕が継承権第一位だったよ」
そう言うオクトール様の表情は、自信に満ちていた。同じように、眼鏡はないのに、初めて会ったあの日、顔を青くして今にも倒れそうだった彼だったとは、想像がつかないほどに。
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