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 といっても、王位を目指すためのときのように、何か作戦が思いつくかといえば、全然そんなことはない。
 一夫多妻が当たり前の世の中なので、一夫一妻を想定した法律になっていないのだ。一応、過去に『これ以上妃を迎えるな』という命令がされた王族がいるけれど、それは馬鹿みたいに妃を増やし過ぎたから言われただけで、今回には適応できそうもない。

「……オクトール様の婚約者になるなら、なにか条件が必要、という風にするのはどうでしょう?」

 劇的に効果のある策には思えないが、少なくともある程度、オクトール様の元へ話が来る前にふるいにかけられると思う。
 わたし以外はいらない、と言っても縁談がくるのだから、何か条件を提示して、しかし実際それをクリアできるのはわたしだけ、という風にしたらマシになるんじゃないだろうか。

「とりあえず、身分は侯爵家に限定いたしましょう」

 これだけでぐっと数が減るはず。王位に一番近い男なのだから、妃は侯爵令嬢しか取らない、というのはおかしな話ではない。アインアルド王子が節操なしなだけなのだ。……まあ、物語に厚みを持たせるため、ヒロインがいろんな爵位の令嬢になっている結果が節操なしに繋がるので、製作陣の一人であったわたしがハッキリ言うつもりはないが。

「……確かにそれなら数は減りそうだな。後はそうだな……魔法道具の製作の話についてこられる令嬢にするか?」

 そう言われてしまうと、勉強中のわたしが困る。いや、今でも、これからも、勉強をしていくつもりだから、話についていけなくなることはないと思う。
 でもやっぱり、長年本職についている人たちに比べたらまだまだ、と言うしかないのだ。

「問題ない。手紙でテストを出し、合格点以下の者は切り捨てる方向でいこうと思う」

「公平性に欠けると言われませんか?」

 王城にいる人間は、わたしがオクトール様の元へ勉強しにきていることを知っている。問題の製作者がオクトール様なら、わたしの勉強している範囲も知っていると思われそうだ。
 明らかに贔屓しているのがバレれば、結局あれこれ難癖つけられて、今と変わらない状況になってしまうような気がする。

「なら、ノーディーニに作ってもらおうか。初歩的な問題ばかりなら、そこまで時間もかからないだろうし」

 「今まで頑張ってきたベルメならきっと解けるよ」とオクトール様は言う。
 そこまで言われたら、頑張るしかない。初志貫徹。第二、第三夫人など蹴落としてやる、と最初に言ったのだから、絶対にやりとげてみせるまで。
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