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ヤドリギは芽を伸ばす
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「あら忘れ物? って青園ちゃん!? そっちは」
足音に気付いて出てきた木那乃を無視してエントランスへ走る。
「川波くん!」
走った勢いで叫ぶ。
大人になった川波くんと、町田さんが驚いた顔で私を見ていた。
「え、もしかして、青園か!?」
川波くんの顔がまるで何も無かったかの様に輝いていて、煮えたぎったものが吹き出しそうだ。
「あーもう、そうよ、あんたが置いてった私の大切な大切な幼馴染の青園ちゃんよ」
息を切らした私を支えるように私の肩を抱いて木那乃が隣に立った。
「青園先輩?」
「久しぶり、川波くん。いきなり叫んでごめんね。町田さん今は何の話をしているの?」
「あっはい! 今は式場の装飾をどうするかの話をしてました」
「失礼致します」
青園は乱れた長髪を手櫛で整え、心配そうにしてる町田さんの隣に座った。
「ご存知かもしれませんが、ここ花園ではチャペルの装飾にとても力を入れています」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。色々整理が出来てない、何でここに青園が?」
「何でって、ここは私が経営してるのよ。それに昔話は仕事が終わってからよ」
「経営? あーそういやそんな本読んでたな。良かったな夢叶えられて!」
彼は本当に喜ばしい事だと言わんばかりにうんうんと首を縦に振った。
そんな彼の反応一つ一つが私を煮えつかせ正常な思考を少しずつ奪っていった。
「……まさか知らずに来たの?」
「あぁ、会いたいとは思ってたが、まさか本当に会えるとはな。あの時は何も言わずに引っ越してすまなかった。本当に何がどうなるか分かんなくて、変に皆を巻き込みたく無かったんだ」
「だからあの時言うのを止めたの? あれから私がどれだけ気にしたか。本当に……本当に心配したんだからね?」
「……すまない」
青園は書類をトンっと整え、1つ呼吸をして言った。
「まぁ良いわ。それで、装飾はどうなさいますか?」
「おい、敬語は辞めてくれよ嫌がらせか? 装飾かここはどんな装飾でも出来るんだよな」
「えぇ私の幼馴染を舐めないで頂戴」
「この公園みたいな風景に出来るか? 思い出の公園なんだ」
彼は懐から写真を1枚取り出した。私が写真を見ると、そこは軽い高台の様になっていて、町と夕焼けが一望出来る綺麗なしゃしんだった。
「あっと、場所はここだな」
少しおぼつかない様子で地図アプリを開いた。
「あら、これなら楽勝ね」
私と町田さんの間からぬっと顔を突き出して地図を確認する木那乃。
「そういえば彼女は?」
「ここのデザイナーよ、仕事はちゃんとするわ」
「おぉデザイナーさんですか」
「他に条件はある?」
親の仇と言わんばかりに殺意のこもった眼で睨みつける木那乃を押し戻して話を進めた。
「条件?」
「天気や時間、他にも何か置いて欲しいとかのシチュエーションとか」
「じゃあ、時間は夕暮れで公園の奥、茂みの間から入れるからその先の風景を表して欲しい。天気は晴れで」
渡された写真を受け取り、シチュエーションをメモに収めると、次の議題だ。
「じゃあ次は食事ね。食事もどんなものでも出せるわよ」
「どんなものでもって随分と自信があるんだな」
「この式場のシェフは凄腕なのよ」
「んじゃ、カミナリのコロッケパンとか、出来るか?」
「分かったわ伝えてくるから待ってて」
足音に気付いて出てきた木那乃を無視してエントランスへ走る。
「川波くん!」
走った勢いで叫ぶ。
大人になった川波くんと、町田さんが驚いた顔で私を見ていた。
「え、もしかして、青園か!?」
川波くんの顔がまるで何も無かったかの様に輝いていて、煮えたぎったものが吹き出しそうだ。
「あーもう、そうよ、あんたが置いてった私の大切な大切な幼馴染の青園ちゃんよ」
息を切らした私を支えるように私の肩を抱いて木那乃が隣に立った。
「青園先輩?」
「久しぶり、川波くん。いきなり叫んでごめんね。町田さん今は何の話をしているの?」
「あっはい! 今は式場の装飾をどうするかの話をしてました」
「失礼致します」
青園は乱れた長髪を手櫛で整え、心配そうにしてる町田さんの隣に座った。
「ご存知かもしれませんが、ここ花園ではチャペルの装飾にとても力を入れています」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。色々整理が出来てない、何でここに青園が?」
「何でって、ここは私が経営してるのよ。それに昔話は仕事が終わってからよ」
「経営? あーそういやそんな本読んでたな。良かったな夢叶えられて!」
彼は本当に喜ばしい事だと言わんばかりにうんうんと首を縦に振った。
そんな彼の反応一つ一つが私を煮えつかせ正常な思考を少しずつ奪っていった。
「……まさか知らずに来たの?」
「あぁ、会いたいとは思ってたが、まさか本当に会えるとはな。あの時は何も言わずに引っ越してすまなかった。本当に何がどうなるか分かんなくて、変に皆を巻き込みたく無かったんだ」
「だからあの時言うのを止めたの? あれから私がどれだけ気にしたか。本当に……本当に心配したんだからね?」
「……すまない」
青園は書類をトンっと整え、1つ呼吸をして言った。
「まぁ良いわ。それで、装飾はどうなさいますか?」
「おい、敬語は辞めてくれよ嫌がらせか? 装飾かここはどんな装飾でも出来るんだよな」
「えぇ私の幼馴染を舐めないで頂戴」
「この公園みたいな風景に出来るか? 思い出の公園なんだ」
彼は懐から写真を1枚取り出した。私が写真を見ると、そこは軽い高台の様になっていて、町と夕焼けが一望出来る綺麗なしゃしんだった。
「あっと、場所はここだな」
少しおぼつかない様子で地図アプリを開いた。
「あら、これなら楽勝ね」
私と町田さんの間からぬっと顔を突き出して地図を確認する木那乃。
「そういえば彼女は?」
「ここのデザイナーよ、仕事はちゃんとするわ」
「おぉデザイナーさんですか」
「他に条件はある?」
親の仇と言わんばかりに殺意のこもった眼で睨みつける木那乃を押し戻して話を進めた。
「条件?」
「天気や時間、他にも何か置いて欲しいとかのシチュエーションとか」
「じゃあ、時間は夕暮れで公園の奥、茂みの間から入れるからその先の風景を表して欲しい。天気は晴れで」
渡された写真を受け取り、シチュエーションをメモに収めると、次の議題だ。
「じゃあ次は食事ね。食事もどんなものでも出せるわよ」
「どんなものでもって随分と自信があるんだな」
「この式場のシェフは凄腕なのよ」
「んじゃ、カミナリのコロッケパンとか、出来るか?」
「分かったわ伝えてくるから待ってて」
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