426 / 436
3章 とこしえの大地亀ベルガド攻略編
425 ディヴァインクラスのヴァカ
しおりを挟む
「あ、そういえば大切なことを忘れていました」
と、そこでふと、暴マーへの暗黒レーザー攻撃をやめたリュクサンドールだった。
「なんだよ、やぶから棒に?」
「これですよ、これ!」
やつはそう言うや否や、懐からHMDのような謎器具を取り出し、頭に装着した。
ああ、これはまさか……。
「呪いの検査器具か?」
「はい、そうです! マーハティカティさんが復活した今、トモキ君へのバッドエンド呪いがまだ残っているのかどうか、ぜひとも確かめねばいけませんからね!」
何やら興奮しきった口調で言う。早口で。こいつ、マジで根っからのオタクだな。
「まー、確かに、それを確認しておくことは大事だな」
そのためだけに色々苦労してここまでやってきたんだからなあ。
「ではさっそく、トモキ君の体を調べてみましょう!」
リュクサンドールはすぐにその謎器具を装着し、そのレンズ越しに俺を見つめた。
そして、ややあって、
「おおおおおっ! 素晴らしい! トモキ君の呪いが完全に消えているではないですか!」
などと言うではないか――って、おい!
「マジか! 俺もうワケわかんねー呪いから完全に解放されているのか!」
思わずガッツポーズしちゃう俺だった。
「はい! これは世紀の大発見ですよ! 『バッドエンド呪いは術者の死亡とともに発動し、術者を蘇生させると消える』! 僕はこの新しい知見を手に入れ、呪術師としてさらなる高みに到達したと言っても過言ではない――」
「貴様ら! 我を差し置いて、さっきから何をさえずっておる!」
と、そこで横から暴マーのブレスが飛んできた。大事な話をしてるのに邪魔くせえな。とりあえずゴミ魔剣で薙ぎ払って吹っ飛ばした。
「よし、あとはあいつを倒せばすべて丸く収まってハッピーエンドか」
「いえ、まだ倒すには早いでしょう」
「え? まだ何かあるのか?」
「もちろん! マーハティカティさんにはバッドエンド呪いについて、洗いざらい聞く必要があります!」
リュクサンドールは目をギラギラ光らせながらきっぱりとそう言い切ると、そのまま暴マーのほうに駆け寄っていた。
そして、
「教えてください、マーハティカティさん! バッドエンド呪いとは、どこでどういう形で習得したのですか! また、術を行使するにあたって苦労したことや、工夫した点はありますか?」
などと聞き始めた。なんだコイツ。そんな話ができる相手じゃねえだろうがよ。
まあ、当然、
「何をごちゃごちゃとぬかしておる! 滅びよ!」
暴マーも呪術談義なんかするつもりはないようで。ただひたすら呪術バカにブレス攻撃をかますだけだった。相変わらず効かないが。秒で再生するが。
「そんなことをおっしゃらずに! 僕はぜひ聞きたいのです! あなたとバッドエンド呪いとのなれそめを!」
なんかもう、空気の読めない突撃リポーターみたいになってやがる。暴マーさん、バッドエンド呪いさんと不倫でもしたん?
「ええい、うっとうしいやつめ! 黙れと言ったら黙れ!」
暴マーのやつ、さらにブレスをかますが、当然のように秒で再生してさらに詰め寄られるだけだった。これはうぜえ。
「おい、そいつはお前と話をする気なんかないだろ。とっとと倒すしかねえよ」
「え? どうして倒す必要があるんですか?」
「え」
「……考えてみれば、僕は別にマーハティカティさんが生きていても全然困らない気がします。いや、というか! というかですよ! むしろ彼が生きていることで、世界が滅びと絶望に包まれて、呪術向きの環境になるじゃないですか!」
「ちょ、おま……何言って……」
「というわけで、僕は今からマーハティカティさんの味方になります。今ここで、彼を倒されるわけにはいきませんから! 彼ともっと呪術の話もしたいですしね!」
リュクサンドールはそう断言すると、いきなり体を一回転させ、いかにも俺の敵のように向かい合った。
「な、なにが『というわけで』だあっ!」
謎思考すぎてさっぱりついていけん! だが、限りなく状況が悪い方向に悪化したことだけはわかる俺だった。そう、一撃で倒さないといけないのに一撃で倒すと呪われるディヴァインクラスの竜と、チート神聖攻撃以外効かない実質ディヴァインクラス呪術師がまとめて敵になるなんてさあ!
「……だから、あの竜を復活させるのはやめたほうがいいと言ったでしょう?」
後ろから、変態女のため息まじりの声が聞こえた。この女は、こうなることが分かってたって感じか、クソ!
と、そこでふと、暴マーへの暗黒レーザー攻撃をやめたリュクサンドールだった。
「なんだよ、やぶから棒に?」
「これですよ、これ!」
やつはそう言うや否や、懐からHMDのような謎器具を取り出し、頭に装着した。
ああ、これはまさか……。
「呪いの検査器具か?」
「はい、そうです! マーハティカティさんが復活した今、トモキ君へのバッドエンド呪いがまだ残っているのかどうか、ぜひとも確かめねばいけませんからね!」
何やら興奮しきった口調で言う。早口で。こいつ、マジで根っからのオタクだな。
「まー、確かに、それを確認しておくことは大事だな」
そのためだけに色々苦労してここまでやってきたんだからなあ。
「ではさっそく、トモキ君の体を調べてみましょう!」
リュクサンドールはすぐにその謎器具を装着し、そのレンズ越しに俺を見つめた。
そして、ややあって、
「おおおおおっ! 素晴らしい! トモキ君の呪いが完全に消えているではないですか!」
などと言うではないか――って、おい!
「マジか! 俺もうワケわかんねー呪いから完全に解放されているのか!」
思わずガッツポーズしちゃう俺だった。
「はい! これは世紀の大発見ですよ! 『バッドエンド呪いは術者の死亡とともに発動し、術者を蘇生させると消える』! 僕はこの新しい知見を手に入れ、呪術師としてさらなる高みに到達したと言っても過言ではない――」
「貴様ら! 我を差し置いて、さっきから何をさえずっておる!」
と、そこで横から暴マーのブレスが飛んできた。大事な話をしてるのに邪魔くせえな。とりあえずゴミ魔剣で薙ぎ払って吹っ飛ばした。
「よし、あとはあいつを倒せばすべて丸く収まってハッピーエンドか」
「いえ、まだ倒すには早いでしょう」
「え? まだ何かあるのか?」
「もちろん! マーハティカティさんにはバッドエンド呪いについて、洗いざらい聞く必要があります!」
リュクサンドールは目をギラギラ光らせながらきっぱりとそう言い切ると、そのまま暴マーのほうに駆け寄っていた。
そして、
「教えてください、マーハティカティさん! バッドエンド呪いとは、どこでどういう形で習得したのですか! また、術を行使するにあたって苦労したことや、工夫した点はありますか?」
などと聞き始めた。なんだコイツ。そんな話ができる相手じゃねえだろうがよ。
まあ、当然、
「何をごちゃごちゃとぬかしておる! 滅びよ!」
暴マーも呪術談義なんかするつもりはないようで。ただひたすら呪術バカにブレス攻撃をかますだけだった。相変わらず効かないが。秒で再生するが。
「そんなことをおっしゃらずに! 僕はぜひ聞きたいのです! あなたとバッドエンド呪いとのなれそめを!」
なんかもう、空気の読めない突撃リポーターみたいになってやがる。暴マーさん、バッドエンド呪いさんと不倫でもしたん?
「ええい、うっとうしいやつめ! 黙れと言ったら黙れ!」
暴マーのやつ、さらにブレスをかますが、当然のように秒で再生してさらに詰め寄られるだけだった。これはうぜえ。
「おい、そいつはお前と話をする気なんかないだろ。とっとと倒すしかねえよ」
「え? どうして倒す必要があるんですか?」
「え」
「……考えてみれば、僕は別にマーハティカティさんが生きていても全然困らない気がします。いや、というか! というかですよ! むしろ彼が生きていることで、世界が滅びと絶望に包まれて、呪術向きの環境になるじゃないですか!」
「ちょ、おま……何言って……」
「というわけで、僕は今からマーハティカティさんの味方になります。今ここで、彼を倒されるわけにはいきませんから! 彼ともっと呪術の話もしたいですしね!」
リュクサンドールはそう断言すると、いきなり体を一回転させ、いかにも俺の敵のように向かい合った。
「な、なにが『というわけで』だあっ!」
謎思考すぎてさっぱりついていけん! だが、限りなく状況が悪い方向に悪化したことだけはわかる俺だった。そう、一撃で倒さないといけないのに一撃で倒すと呪われるディヴァインクラスの竜と、チート神聖攻撃以外効かない実質ディヴァインクラス呪術師がまとめて敵になるなんてさあ!
「……だから、あの竜を復活させるのはやめたほうがいいと言ったでしょう?」
後ろから、変態女のため息まじりの声が聞こえた。この女は、こうなることが分かってたって感じか、クソ!
0
お気に入りに追加
211
あなたにおすすめの小説
ブラック宮廷から解放されたので、のんびりスローライフを始めます! ~最強ゴーレム使いの気ままな森暮らし~
ヒツキノドカ
ファンタジー
「クレイ・ウェスタ―! 貴様を宮廷から追放する!」
ブラック宮廷に勤めるゴーレム使いのクレイ・ウェスターはある日突然クビを宣告される。
理由は『不当に高い素材を買いあさったこと』とされたが……それはクレイに嫉妬する、宮廷魔術師団長の策略だった。
追放されたクレイは、自由なスローライフを求めて辺境の森へと向かう。
そこで主人公は得意のゴーレム魔術を生かしてあっという間に快適な生活を手に入れる。
一方宮廷では、クレイがいなくなったことで様々なトラブルが発生。
宮廷魔術師団長は知らなかった。
クレイがどれほど宮廷にとって重要な人物だったのか。
そして、自分では穴埋めできないほどにクレイと実力が離れていたことも。
「こんなはずでは……」と嘆きながら宮廷魔術師団長はクレイの元に向かい、戻ってくるように懇願するが、すでに理想の生活を手に入れたクレイにあっさり断られてしまう。
これはブラック宮廷から解放された天才ゴーレム使いの青年が、念願の自由なスローライフを満喫する話。
ーーーーーー
ーーー
※4/29HOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
※推敲はしていますが、誤字脱字があるかもしれません。
見つけた際はご報告いただけますと幸いです……
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる