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3章 とこしえの大地亀ベルガド攻略編
403 英霊たち Part 2
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壁から現れた棺は、そのままスイーっと水平移動して俺たちのそばまでやってきた。俺たちを囲むように。数はやはり五つだ。わざわざ俺たちの人数分用意したってことか。
そして気になるその中身は……、
「まずは一人ずつ紹介していくとしましょう」
と、さっきの男の声がした。姿は消えても音声はそのままなのかよ。
まあ、それはともかく、やつがそう言ったところで棺の一つのふたがぱかっと開いた。マジで一人ずつお披露目していくらしい。親切だな。
「一人目の戦士、烈火の術師ジギル。氷の術師たるシャラ様にはふさわしい相手と言えるでしょう」
という男の言葉とともに棺から現れたのは、燃えるような赤い長い髪をした若い男だった。肌の色は褐色に近く、掘りの深い濃い顔立ちをしている。また、どこかの祭司のようなエキゾチックで装飾品多めの格好をしている。
「貴様が俺の相手か。ふふ、久しぶりに腕が鳴るな」
赤髪の男ジギルは、棺から出るなり、シャラを鋭くにらみながら言った。さっきまで俺たちが対峙してきたポンコツ下僕たちとは明らかに雰囲気が違った。どうもガチな感じだ。
「では、続いて二人目の紹介です」
やがて、そんな男の声とともに、また違う棺が開いた。今度は中から出てきたのは若い女だった。見た目はエルフ族のようだが肌は黒い。ダークエルフか。髪は長く白く、それを首の後ろで一つにまとめている。動きやすそうな簡素なチュニックを着ており、手には弓を握り、背中には矢筒を背負っている。
「二人目の戦士、正鵠の狙撃手エメラダ。彼女には、ヒューヴ様と存分にやりあっていただきましょう」
「……はじめまして、よろしく」
ダークエルフの女エメラダはヒューヴのほうを見て、礼儀正しくあいさつした。こっちはスナイパー同士の対決か。
「え、オレとやりたいの? しょうがないなあ、エメラダちゃんは」
と、ヒューヴはガチバトルの雰囲気など一切感じずにヘラヘラ笑ってるが。こんなんで大丈夫かよ。
「さて、お次は三人目ですね」
と、またそこで新たな棺が開いた。出てきたのはスキンヘッドでムキムキマッチョの大男だった。しかも全裸だった。ただ、体に多数の蛇をまとわりつかせていて、股間は見えなかった。また、その体には無数の入れ墨が入っていた。
「三人目の戦士、死毒の蛇使いルルカーン。この大胆な姿、まさにサキ様の相手に最もふさわしいと言えるでしょう」
って、こいつは能力じゃなくて変態そのものの格好で選ばれたらしい。変態対決かよ。
「女、貴様には筋肉が圧倒的に足りない! だだ露出すればいいというものではないぞ!」
マッチョの変態蛇男ルルカーンは、変態女を指さし怒鳴った。見た目通りの筋肉至上主義らしい。こんな脳筋で、ずる賢い変態女とまともにやりあえるのかよ。
「では、続きまして四人目の紹介です」
やがてまた棺が開いた。新たに出てきたのは、粗末なローブに身を包んだよぼよぼのじいさんだった。ただ、そのくぼんだ眼窩の奥の瞳は、するどい光をたたえていた。
「四人目の戦士、禁忌の暗黒術師ロス・メロウ。彼ならば間違いなく、リュクサンドール様の相手を務めることができるでしょう――」
「え、その人、あのロス・メロウさんなんですか!」
と、そこで声を出したのはリュクサンドールだった。どうやら、そのジジイを知っているらしい。
「お前、あのジジイの知り合いなのかよ?」
「いえ、残念ながら。彼はなにせ、今から四百年ほど前に処刑されて亡くなってますからね……って、今こうして出会えたわけなんですけどね! なんと喜ばしいことでしょう!」
リュクサンドールはそう叫ぶや否や、ロス・メロウとかいうジジイに近づき、そのしわしわの手をがっしと握りしめた。
「はじめまして、僕はリュクサンドール・ヴァン・フォーダムといいます。あなたの著作はほぼ全部読んだことがあると思います。あなたは本当に偉大な呪術師です。僕も呪術を日々学んでいる者なのですが、いままであなたの研究にどれほど助けられたことでしょう!」
「おお! おぬしも呪術を探求してる者なのか!」
ロス・メロウとかいうジジイも、リュクサンドールのその言葉に強く心を動かされたようだった。お互い力強く手を握り合い、目を輝かせ始めた。
「しかし、呪術はワシが生きていたころは禁術だったはず。今の世の中ではそうでもないのかのう?」
「安心してください。今もばっちり禁術ですよ」
「ほほう! 呪術は今も邪悪なものとして忌み嫌われておるか! それは重畳! それでこそ呪術!」
「そうですね。暗い気持ちで誰かにいやがらせする以外、使い道のない術ですからね」
「全くその通りじゃな、はっはっはー」
二人は何やら話に花を咲かせ、笑いあっているようだ。もしやあのジジイ、リュクサンドールと同じ呪術オタなのか。
「で、おぬしは今、どういう研究をしているのじゃ?」
「それはですね――」
と、二人はさらに俺たちのことはガン無視して話し込み始めた。
「あ、あれ? 勝負は?」
ガチでやりあう場じゃないのかよ、ここ! オタク同士がただ話をしててもいいのかよ!
(※最近小説を書くこととは関係ないことでちょっと忙しくなってきたので、次回から数日おきの不定期更新になります)
そして気になるその中身は……、
「まずは一人ずつ紹介していくとしましょう」
と、さっきの男の声がした。姿は消えても音声はそのままなのかよ。
まあ、それはともかく、やつがそう言ったところで棺の一つのふたがぱかっと開いた。マジで一人ずつお披露目していくらしい。親切だな。
「一人目の戦士、烈火の術師ジギル。氷の術師たるシャラ様にはふさわしい相手と言えるでしょう」
という男の言葉とともに棺から現れたのは、燃えるような赤い長い髪をした若い男だった。肌の色は褐色に近く、掘りの深い濃い顔立ちをしている。また、どこかの祭司のようなエキゾチックで装飾品多めの格好をしている。
「貴様が俺の相手か。ふふ、久しぶりに腕が鳴るな」
赤髪の男ジギルは、棺から出るなり、シャラを鋭くにらみながら言った。さっきまで俺たちが対峙してきたポンコツ下僕たちとは明らかに雰囲気が違った。どうもガチな感じだ。
「では、続いて二人目の紹介です」
やがて、そんな男の声とともに、また違う棺が開いた。今度は中から出てきたのは若い女だった。見た目はエルフ族のようだが肌は黒い。ダークエルフか。髪は長く白く、それを首の後ろで一つにまとめている。動きやすそうな簡素なチュニックを着ており、手には弓を握り、背中には矢筒を背負っている。
「二人目の戦士、正鵠の狙撃手エメラダ。彼女には、ヒューヴ様と存分にやりあっていただきましょう」
「……はじめまして、よろしく」
ダークエルフの女エメラダはヒューヴのほうを見て、礼儀正しくあいさつした。こっちはスナイパー同士の対決か。
「え、オレとやりたいの? しょうがないなあ、エメラダちゃんは」
と、ヒューヴはガチバトルの雰囲気など一切感じずにヘラヘラ笑ってるが。こんなんで大丈夫かよ。
「さて、お次は三人目ですね」
と、またそこで新たな棺が開いた。出てきたのはスキンヘッドでムキムキマッチョの大男だった。しかも全裸だった。ただ、体に多数の蛇をまとわりつかせていて、股間は見えなかった。また、その体には無数の入れ墨が入っていた。
「三人目の戦士、死毒の蛇使いルルカーン。この大胆な姿、まさにサキ様の相手に最もふさわしいと言えるでしょう」
って、こいつは能力じゃなくて変態そのものの格好で選ばれたらしい。変態対決かよ。
「女、貴様には筋肉が圧倒的に足りない! だだ露出すればいいというものではないぞ!」
マッチョの変態蛇男ルルカーンは、変態女を指さし怒鳴った。見た目通りの筋肉至上主義らしい。こんな脳筋で、ずる賢い変態女とまともにやりあえるのかよ。
「では、続きまして四人目の紹介です」
やがてまた棺が開いた。新たに出てきたのは、粗末なローブに身を包んだよぼよぼのじいさんだった。ただ、そのくぼんだ眼窩の奥の瞳は、するどい光をたたえていた。
「四人目の戦士、禁忌の暗黒術師ロス・メロウ。彼ならば間違いなく、リュクサンドール様の相手を務めることができるでしょう――」
「え、その人、あのロス・メロウさんなんですか!」
と、そこで声を出したのはリュクサンドールだった。どうやら、そのジジイを知っているらしい。
「お前、あのジジイの知り合いなのかよ?」
「いえ、残念ながら。彼はなにせ、今から四百年ほど前に処刑されて亡くなってますからね……って、今こうして出会えたわけなんですけどね! なんと喜ばしいことでしょう!」
リュクサンドールはそう叫ぶや否や、ロス・メロウとかいうジジイに近づき、そのしわしわの手をがっしと握りしめた。
「はじめまして、僕はリュクサンドール・ヴァン・フォーダムといいます。あなたの著作はほぼ全部読んだことがあると思います。あなたは本当に偉大な呪術師です。僕も呪術を日々学んでいる者なのですが、いままであなたの研究にどれほど助けられたことでしょう!」
「おお! おぬしも呪術を探求してる者なのか!」
ロス・メロウとかいうジジイも、リュクサンドールのその言葉に強く心を動かされたようだった。お互い力強く手を握り合い、目を輝かせ始めた。
「しかし、呪術はワシが生きていたころは禁術だったはず。今の世の中ではそうでもないのかのう?」
「安心してください。今もばっちり禁術ですよ」
「ほほう! 呪術は今も邪悪なものとして忌み嫌われておるか! それは重畳! それでこそ呪術!」
「そうですね。暗い気持ちで誰かにいやがらせする以外、使い道のない術ですからね」
「全くその通りじゃな、はっはっはー」
二人は何やら話に花を咲かせ、笑いあっているようだ。もしやあのジジイ、リュクサンドールと同じ呪術オタなのか。
「で、おぬしは今、どういう研究をしているのじゃ?」
「それはですね――」
と、二人はさらに俺たちのことはガン無視して話し込み始めた。
「あ、あれ? 勝負は?」
ガチでやりあう場じゃないのかよ、ここ! オタク同士がただ話をしててもいいのかよ!
(※最近小説を書くこととは関係ないことでちょっと忙しくなってきたので、次回から数日おきの不定期更新になります)
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