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3章 とこしえの大地亀ベルガド攻略編
317 魔弓ブラストボウ
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「今度こそお前を仕留めてやる! 覚悟しろよ!」
魔弓を手にしたヒューヴは再び俺に矢を放ってきた。
先ほどのボウガンでの攻撃と違い、今度は靴でも股間でも眼球狙いでもなかった。ただ愚直にまっすぐ、俺のボディめがけての攻撃だった。
俺は当然その軌道を見切ってかわしたが、神一重や紙一重とはいかなかった。かなり大きく身をそらして飛んでくる矢から離れなければいけなかった。
そう、轟音とともに飛んでくるそれはもはや、矢というよりはミサイルのようなものだった。なるべく離れないと衝撃波で吹っ飛ばされる恐れがあったのだ。
ゴォンッ!
矢をよけた直後、後ろから爆音が聞こえた。見ると、その矢は少し離れた山肌にぶち当たったようで、それを瞬時に崩壊させていた。威力もミサイル並みだ。
「……火力も相変わらずかよ」
俺は舌打ちした。かつてともに同じ冒険者パーティーで戦っていたころ、ヒューヴにこの矢で後ろから誤爆され血反吐を吐いた記憶がよみがえってきた。あれは死ぬほど痛かったな。まあ、その後、俺もヒューヴをぼこぼこにしてやったが。
そう、やつのメインウェポン、魔弓ブラストボウは俺の知る限り最も攻撃力の高い弓だ。小型の弓で、使いこなすのに高い腕力は必要ないが、攻撃のたびに大量の魔力を消費する。これは使用者の魔力を攻撃力に上乗せするタイプの武器なんだ。
ヒューヴも当然、魔力を消費してこの弓を使っている。こいつはバカだから魔法の類はまったく使えないが、素の魔力は相当高いらしいのだ。
また、ヒューヴの無駄に有り余っている魔力は、高速飛行にも使われているらしい。翼から魔力を放出して飛ぶようなイメージだろうか? そもそも有翼人というのは、だいたいにおいて人間より強い魔力を持つが、それを魔法ではなく筋肉のように使うことが多いのだという。今のヒューヴのように……。
「はっはー、見たか、俺の超必殺攻撃!」
攻撃を外したにも関わらず、ヒューヴは上機嫌のようだ。今のは軽いウォーミングアップって感じか。
「オレのこの攻撃を食らったやつは、みんな木っ端みじんになっちまうんだぞ!」
「みんな? 一人だけ木っ端みじんにならなかったやつがいただろ?」
「え、そんなやついたっけ?」
「いるだろ。お前の目の前に」
「いや、お前、今の攻撃よけたじゃん?」
「……もういい!」
なんでここまで揺さぶって何も思い出さないんだよ、こいつは! 俺、お前の武器の名前とか知ってたじゃん! なんでそこ、普通にスルーしちゃうかなあ!
「ヒューヴ、お前が俺のことを思い出さなくても、俺はお前のことをよく知ってるんだかな? お前のその武器の最大の弱点もな!」
俺はすかさず、上着のポケットに忍ばせていた石をヒューヴに向かって投げた。直後、反撃の矢が飛んできたが、俺は今度はそれをゴミ魔剣で叩き落した。衝撃でじぃんと手がしびれた。まったく、どんだけアホ威力の矢だよ。
「さーて、今のでさらに貴重な矢を使っちまったなァ?」
「う」
ヒューヴは俺の言葉にぎくっとしたようだった。
そう、このアホ威力の魔弓の致命的な弱点とは、「使用する矢が高価」というものだった。なんせ、使用者の魔力を吸って極限まで威力を高めるという特殊な矢なんだ。そこらに売ってる普通の矢を使うわけにはいかない。当然それなりのお値段になるってもんだ。
「ヒューヴ、お前、金欠らしいな? どうせ魔弓用の矢もろくに持ってないんだろう? だから今までずっとボウガン使ってたんだろう?」
「う、うっせーな! 矢がなくなる前にお前を倒せばいい話だろうがよ!」
ヒューヴはさらに魔弓で矢を放ってきた。またしても正面からの単純な射撃だ。アホ威力とはいえ、俺にとっちゃさすがにもう見切ったようなものだった。再びそれをゴミ魔剣で叩き落した。
だが直後――俺の頭上から矢が降ってきた!
「うわっ!」
頭に矢が当たる直前で、俺は身をひねり、その直撃を避けた。それは衝撃波で俺のちんこをぷるぷる揺らしながら落ちていき、落下地点の地面を大きくえぐった。まるで隕石でも落ちたかのように。
こいつ……一発目を撃った直後に、真上にもう一発矢を撃ったのか……。
バカだと舐めていたが、またずいぶんトリッキーな戦い方しやがる。何より、今の二発目の攻撃、俺にはまったく見えなかった……。
「へへ、次は外さないぜ?」
ヒューヴは不敵に笑った。
魔弓を手にしたヒューヴは再び俺に矢を放ってきた。
先ほどのボウガンでの攻撃と違い、今度は靴でも股間でも眼球狙いでもなかった。ただ愚直にまっすぐ、俺のボディめがけての攻撃だった。
俺は当然その軌道を見切ってかわしたが、神一重や紙一重とはいかなかった。かなり大きく身をそらして飛んでくる矢から離れなければいけなかった。
そう、轟音とともに飛んでくるそれはもはや、矢というよりはミサイルのようなものだった。なるべく離れないと衝撃波で吹っ飛ばされる恐れがあったのだ。
ゴォンッ!
矢をよけた直後、後ろから爆音が聞こえた。見ると、その矢は少し離れた山肌にぶち当たったようで、それを瞬時に崩壊させていた。威力もミサイル並みだ。
「……火力も相変わらずかよ」
俺は舌打ちした。かつてともに同じ冒険者パーティーで戦っていたころ、ヒューヴにこの矢で後ろから誤爆され血反吐を吐いた記憶がよみがえってきた。あれは死ぬほど痛かったな。まあ、その後、俺もヒューヴをぼこぼこにしてやったが。
そう、やつのメインウェポン、魔弓ブラストボウは俺の知る限り最も攻撃力の高い弓だ。小型の弓で、使いこなすのに高い腕力は必要ないが、攻撃のたびに大量の魔力を消費する。これは使用者の魔力を攻撃力に上乗せするタイプの武器なんだ。
ヒューヴも当然、魔力を消費してこの弓を使っている。こいつはバカだから魔法の類はまったく使えないが、素の魔力は相当高いらしいのだ。
また、ヒューヴの無駄に有り余っている魔力は、高速飛行にも使われているらしい。翼から魔力を放出して飛ぶようなイメージだろうか? そもそも有翼人というのは、だいたいにおいて人間より強い魔力を持つが、それを魔法ではなく筋肉のように使うことが多いのだという。今のヒューヴのように……。
「はっはー、見たか、俺の超必殺攻撃!」
攻撃を外したにも関わらず、ヒューヴは上機嫌のようだ。今のは軽いウォーミングアップって感じか。
「オレのこの攻撃を食らったやつは、みんな木っ端みじんになっちまうんだぞ!」
「みんな? 一人だけ木っ端みじんにならなかったやつがいただろ?」
「え、そんなやついたっけ?」
「いるだろ。お前の目の前に」
「いや、お前、今の攻撃よけたじゃん?」
「……もういい!」
なんでここまで揺さぶって何も思い出さないんだよ、こいつは! 俺、お前の武器の名前とか知ってたじゃん! なんでそこ、普通にスルーしちゃうかなあ!
「ヒューヴ、お前が俺のことを思い出さなくても、俺はお前のことをよく知ってるんだかな? お前のその武器の最大の弱点もな!」
俺はすかさず、上着のポケットに忍ばせていた石をヒューヴに向かって投げた。直後、反撃の矢が飛んできたが、俺は今度はそれをゴミ魔剣で叩き落した。衝撃でじぃんと手がしびれた。まったく、どんだけアホ威力の矢だよ。
「さーて、今のでさらに貴重な矢を使っちまったなァ?」
「う」
ヒューヴは俺の言葉にぎくっとしたようだった。
そう、このアホ威力の魔弓の致命的な弱点とは、「使用する矢が高価」というものだった。なんせ、使用者の魔力を吸って極限まで威力を高めるという特殊な矢なんだ。そこらに売ってる普通の矢を使うわけにはいかない。当然それなりのお値段になるってもんだ。
「ヒューヴ、お前、金欠らしいな? どうせ魔弓用の矢もろくに持ってないんだろう? だから今までずっとボウガン使ってたんだろう?」
「う、うっせーな! 矢がなくなる前にお前を倒せばいい話だろうがよ!」
ヒューヴはさらに魔弓で矢を放ってきた。またしても正面からの単純な射撃だ。アホ威力とはいえ、俺にとっちゃさすがにもう見切ったようなものだった。再びそれをゴミ魔剣で叩き落した。
だが直後――俺の頭上から矢が降ってきた!
「うわっ!」
頭に矢が当たる直前で、俺は身をひねり、その直撃を避けた。それは衝撃波で俺のちんこをぷるぷる揺らしながら落ちていき、落下地点の地面を大きくえぐった。まるで隕石でも落ちたかのように。
こいつ……一発目を撃った直後に、真上にもう一発矢を撃ったのか……。
バカだと舐めていたが、またずいぶんトリッキーな戦い方しやがる。何より、今の二発目の攻撃、俺にはまったく見えなかった……。
「へへ、次は外さないぜ?」
ヒューヴは不敵に笑った。
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