241 / 436
3章 とこしえの大地亀ベルガド攻略編
240 水泳実習でイチャイチャ
しおりを挟む
「よーし、ユリィ。さっそく水に浮くところから始めるぞ!」
「はい!」
ユリィは元気よく答え、すぐに水面にうつ伏せに体を寝かせた。
そして、直後――沈んだ。
「お、おい!」
あわててその体を引き上げた。
「すみません、わたし、水に浮かないみたいです……」
ユリィはしょんぼりしながら言う。まさに浮かない顔だ。
「いや、人間は基本的に水に浮くはずだから。今のは何かの間違いだ」
俺はあわててフォローし、
「大事なのは空気だ。肺に空気をためておけば、誰でも浮く!」
そう言って、ユリィの目の前で水に浮いて見せた。ぷかぷか。
「すごいです、トモキ様。こんなに簡単に水に浮けるなんて」
ユリィはそんな俺の姿に感動したようだ。いや、さすがにこんなの初歩の初歩なんだが。
「とりあえず、大きく息を吸って、あおむけに水に浮いてみろ。なるべく体をまっすぐにしてな」
「はい」
と、言われた通り胸いっぱいに息を吸い込み、水面にあおむけに寝るユリィだった。
そして今度は――浮いた! ユリィのやつ、沈まずにちゃんと水面に浮いている!
「やったな、ユリィ! その感覚を忘れるな!」
「は、はい!」
ユリィはうれしそうに笑った。そして、そこで油断したのか、また沈んでしまった。俺は再びその体を引き上げた。
俺たちはしばらくそうやって浮く練習をしたのち、バタ足の練習に移った。そう、俺がユリィの手を握って、ユリィが水面で脚をバタバタさせるやつだ。これも水泳においては初歩の初歩だが、大事な練習だ。何より、バタ足の練習をしている間はずっと手をつないでいられるからな。うふふ。ユリィの手、あったかくてやわらかい……。
やがてユリィが疲れてきたようなので、俺たちは浜に上がって少し休憩することにした。休憩は各自好きなようにとっていいということで、浜には俺たち以外の生徒の姿もあった。
また、生徒以外に教師の姿もあった。教師も自由に水泳に参加していいということになっていたのだ。他のクラスの担任の教師たちは、それぞれ自前の水着を着ていたが、アーニャ先生はセクシーなワンピースタイプの水着で、非常にありがたい感じだった。
一方、俺のクラスの担任の教師は水着ではなく教師の制服のままで、日陰で本を読んでいた。その表紙には「ベルガド密教のすべて」とある。おそらく呪術関連の本なんだろう。こんなときまで熱心なことだ。
と、俺たちがその姿をぼんやり見ていると、そこに一人の女子生徒が近づいていくのが見えた。ルーシアだ。こいつは学校指定の水着ではなく、自前のビキニタイプの水着を着ている。だが、ひょろっとしたスレンダー体型なので俺にはどうでもいい感じだった。
「……先生、せっかくですし、少しは泳いではいかがですか?」
ルーシアは目の前の男に言うが、
「はは、無理ですよ。僕は流水は苦手ですからね。それに太陽もさんさんと照ってますし」
リュクサンドールは本から顔を上げずに言う。そうか、こいつは一応吸血鬼みたいなもんだから、流水は苦手か。
「それはわかりますけれど、その恰好はあんまりではないでしょうか? みんなが水着でいるときに、一人だけ違う格好というのも、協調性に欠けるというものです」
ルーシアはさらにリュクサンドールに近づく。前かがみになりながら。そう、前かがみになりながら。
そうか、あいつ、リュクサンドールに自分の水着姿を見せつけたいんだな。貧相な体のくせに無理しやがって。
「あー、はい。そうかもしれませんけどねえ、僕、水着は持ってなくて」
「心配はいりません。先生の水着は私がご用意しておきました」
「え、なんでまた――」
「細かいことはいいでしょう。さあ、あっちで着替えましょう」
「いや、僕は別に泳がないので――」
「さあ、早く!」
ルーシアは強引にリュクサンドールの袖を引っ張って立たせた。そして、そのまま物陰に引きずり込んでいくようだ。相変わらず手段を選ばない女だ。
と、そのとき、ユリィが二人のところに走って行った。
「あの、ルーシアさん……」
ごにょごにょ。ユリィはルーシアに何やら耳打ちして言っている。
やがてすぐにユリィは俺のもとに戻ってきた。
「あいつと何話してきたんだよ?」
「お礼です」
「お礼? 何の?」
「そ、それはそのう……」
ユリィは急に恥ずかしそうに顔を赤くした。
そして、
「あっちでお話しします」
そう言って、俺の腕をつかみ、さっきのルーシアのように俺を人気のない物陰に引っ張って行った。
「なんだよ、急に?」
物陰で二人きりになったところで尋ねた。
「みなさんの目があると、恥ずかしいので……」
と、ユリィはそこでいきなり水着を脱ぎ始めた!
「え――」
突然のことに、びっくり仰天してしまう俺だった。
「はい!」
ユリィは元気よく答え、すぐに水面にうつ伏せに体を寝かせた。
そして、直後――沈んだ。
「お、おい!」
あわててその体を引き上げた。
「すみません、わたし、水に浮かないみたいです……」
ユリィはしょんぼりしながら言う。まさに浮かない顔だ。
「いや、人間は基本的に水に浮くはずだから。今のは何かの間違いだ」
俺はあわててフォローし、
「大事なのは空気だ。肺に空気をためておけば、誰でも浮く!」
そう言って、ユリィの目の前で水に浮いて見せた。ぷかぷか。
「すごいです、トモキ様。こんなに簡単に水に浮けるなんて」
ユリィはそんな俺の姿に感動したようだ。いや、さすがにこんなの初歩の初歩なんだが。
「とりあえず、大きく息を吸って、あおむけに水に浮いてみろ。なるべく体をまっすぐにしてな」
「はい」
と、言われた通り胸いっぱいに息を吸い込み、水面にあおむけに寝るユリィだった。
そして今度は――浮いた! ユリィのやつ、沈まずにちゃんと水面に浮いている!
「やったな、ユリィ! その感覚を忘れるな!」
「は、はい!」
ユリィはうれしそうに笑った。そして、そこで油断したのか、また沈んでしまった。俺は再びその体を引き上げた。
俺たちはしばらくそうやって浮く練習をしたのち、バタ足の練習に移った。そう、俺がユリィの手を握って、ユリィが水面で脚をバタバタさせるやつだ。これも水泳においては初歩の初歩だが、大事な練習だ。何より、バタ足の練習をしている間はずっと手をつないでいられるからな。うふふ。ユリィの手、あったかくてやわらかい……。
やがてユリィが疲れてきたようなので、俺たちは浜に上がって少し休憩することにした。休憩は各自好きなようにとっていいということで、浜には俺たち以外の生徒の姿もあった。
また、生徒以外に教師の姿もあった。教師も自由に水泳に参加していいということになっていたのだ。他のクラスの担任の教師たちは、それぞれ自前の水着を着ていたが、アーニャ先生はセクシーなワンピースタイプの水着で、非常にありがたい感じだった。
一方、俺のクラスの担任の教師は水着ではなく教師の制服のままで、日陰で本を読んでいた。その表紙には「ベルガド密教のすべて」とある。おそらく呪術関連の本なんだろう。こんなときまで熱心なことだ。
と、俺たちがその姿をぼんやり見ていると、そこに一人の女子生徒が近づいていくのが見えた。ルーシアだ。こいつは学校指定の水着ではなく、自前のビキニタイプの水着を着ている。だが、ひょろっとしたスレンダー体型なので俺にはどうでもいい感じだった。
「……先生、せっかくですし、少しは泳いではいかがですか?」
ルーシアは目の前の男に言うが、
「はは、無理ですよ。僕は流水は苦手ですからね。それに太陽もさんさんと照ってますし」
リュクサンドールは本から顔を上げずに言う。そうか、こいつは一応吸血鬼みたいなもんだから、流水は苦手か。
「それはわかりますけれど、その恰好はあんまりではないでしょうか? みんなが水着でいるときに、一人だけ違う格好というのも、協調性に欠けるというものです」
ルーシアはさらにリュクサンドールに近づく。前かがみになりながら。そう、前かがみになりながら。
そうか、あいつ、リュクサンドールに自分の水着姿を見せつけたいんだな。貧相な体のくせに無理しやがって。
「あー、はい。そうかもしれませんけどねえ、僕、水着は持ってなくて」
「心配はいりません。先生の水着は私がご用意しておきました」
「え、なんでまた――」
「細かいことはいいでしょう。さあ、あっちで着替えましょう」
「いや、僕は別に泳がないので――」
「さあ、早く!」
ルーシアは強引にリュクサンドールの袖を引っ張って立たせた。そして、そのまま物陰に引きずり込んでいくようだ。相変わらず手段を選ばない女だ。
と、そのとき、ユリィが二人のところに走って行った。
「あの、ルーシアさん……」
ごにょごにょ。ユリィはルーシアに何やら耳打ちして言っている。
やがてすぐにユリィは俺のもとに戻ってきた。
「あいつと何話してきたんだよ?」
「お礼です」
「お礼? 何の?」
「そ、それはそのう……」
ユリィは急に恥ずかしそうに顔を赤くした。
そして、
「あっちでお話しします」
そう言って、俺の腕をつかみ、さっきのルーシアのように俺を人気のない物陰に引っ張って行った。
「なんだよ、急に?」
物陰で二人きりになったところで尋ねた。
「みなさんの目があると、恥ずかしいので……」
と、ユリィはそこでいきなり水着を脱ぎ始めた!
「え――」
突然のことに、びっくり仰天してしまう俺だった。
0
お気に入りに追加
211
あなたにおすすめの小説
ブラック宮廷から解放されたので、のんびりスローライフを始めます! ~最強ゴーレム使いの気ままな森暮らし~
ヒツキノドカ
ファンタジー
「クレイ・ウェスタ―! 貴様を宮廷から追放する!」
ブラック宮廷に勤めるゴーレム使いのクレイ・ウェスターはある日突然クビを宣告される。
理由は『不当に高い素材を買いあさったこと』とされたが……それはクレイに嫉妬する、宮廷魔術師団長の策略だった。
追放されたクレイは、自由なスローライフを求めて辺境の森へと向かう。
そこで主人公は得意のゴーレム魔術を生かしてあっという間に快適な生活を手に入れる。
一方宮廷では、クレイがいなくなったことで様々なトラブルが発生。
宮廷魔術師団長は知らなかった。
クレイがどれほど宮廷にとって重要な人物だったのか。
そして、自分では穴埋めできないほどにクレイと実力が離れていたことも。
「こんなはずでは……」と嘆きながら宮廷魔術師団長はクレイの元に向かい、戻ってくるように懇願するが、すでに理想の生活を手に入れたクレイにあっさり断られてしまう。
これはブラック宮廷から解放された天才ゴーレム使いの青年が、念願の自由なスローライフを満喫する話。
ーーーーーー
ーーー
※4/29HOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
※推敲はしていますが、誤字脱字があるかもしれません。
見つけた際はご報告いただけますと幸いです……
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
婚約破棄……そちらの方が新しい聖女……ですか。ところで殿下、その方は聖女検定をお持ちで?
Ryo-k
ファンタジー
「アイリス・フローリア! 貴様との婚約を破棄する!」
私の婚約者のレオナルド・シュワルツ王太子殿下から、突然婚約破棄されてしまいました。
さらには隣の男爵令嬢が新しい聖女……ですか。
ところでその男爵令嬢……聖女検定はお持ちで?
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる