上 下
7 / 10

告白

しおりを挟む
「新橋君。聞きたいことがあるの。」
その日クラスメイトの女子に話しかけられた。
ああ、充希のことだな、俺はそう思いながら話を聞いた。
「須藤君って何が好きかな?」
「何がって?」
「お菓子とか食べ物とか。」
「そういうの知らないんだよね。悪いな。」
そう言って俺はその場を離れた。
俺は充希と距離を置いたものの、つるむ相手がおらず休み時間になれば相変わらず充希のそばに寄った。
充希は黙り込んで何か考えている。しかしそれを人にベラベラと話すことはしない。
「子猫だけどさ。」
俺は口を開いた。
「結構元気だから人に譲ろうかと思うんだ。」
「そう。良かったね。」
充希はポツリとそう言って黙った。昔の自分はこの沈黙さえ心地良かったのに今では苦痛でしかない。
「充希のところの子猫はどうなったんだ?」
「ああ、首を落としたよ。」
「え?」
俺はこの時、充希が言った言葉が頭に入ってこなかった。
「解体したんだよ。」
「あんな小さな子猫を?!」
俺が声を荒げると同級生が皆振り向いた。
「何かいけないことでもした?」
充希はそう言ってニヤニヤとしていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】密告

九時せんり
現代文学
祈祷師として生まれ落ちた環境に不満を持ちつつも、仕事を通して神と人間のはざまからひとつの愛を見つけるまで。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした

亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。 カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。 (悪役モブ♀が出てきます) (他サイトに2021年〜掲載済)

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

生きてたまるか

黒白さん
現代文学
20××年4月×日、人類は消え、世界は終わった。 滅びのその日に、東京の真ん中で、ただひとり生き残っていた僕がしたことは、デパートで高級食材を漁り、食べ続けただけ。それだけ。 好きなことをやりたい放題。誰にも怒られない。何をしてもいい。何もしなくてもいい。 初めて明日がちょっとだけ待ち遠しくなっていた。 でも、死にたい……。

今だけ男?

Yuki
現代文学
ある日のコンビニでの出来事。 傍若無人なおばさんが受ける報いとは? ナニがついてないの? ※実験的なアップです。 内容変更などを行うかもしれません。 ※タバコ、トイレに触れています。 ご注意ください。 ※企業や業界、地域などの方針や習慣に意見するものではありません。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

処理中です...