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充希

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男の俺が言うのもあれだが充希は色っぽい少年だった。俺が解体を始めたのは充希と知り合ってからだ。
充希はなにぶん余計な事は話さない。
俺が知っているのは名前とか住所くらいで友達と言うにはお粗末なものだった。
学年でも成績は良かったし顔もかっこよかった。
充希に一度何で解体を始めたのか聞いたことがある。
「復讐と自己研磨さ。」
それ以上、充希は語ることはなかった。

充希は女子が嫌いだった。ホモとかそういうんじゃなくて自分に好意を寄せてくる女子を激しく嫌悪していた。まあ、それだけかっこいいもんな、俺はそう思った。
それは授業中のことだった。
「須藤君消しゴム落としたよ。」
そう言って充希の隣の席の女子が消しゴムを拾う。充希はそれを受け取って、すぐにゴミ箱に消しゴムを入れた。
女子はショックを受けて泣き出した。
「頼んでない。」
そう言って充希は職員室に呼び出された。
俺は充希が職員室からでてくるのを待ちながら子猫の事を考えた。
両親には内緒にしているが子猫はミルクを飲んだだろうか。家にいる間ならスポイドでミルクを与えることが出来たが学校に行っている間に死んでしまうかもしれない。
それでもあれから5日が経った。
充希は失礼しましたと言って職員室から出てきた。
「大丈夫だったか?」
「慣れてるよ。」
そう言って俺達は帰路についた。
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