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解体

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俺達はその日、罠にかかった野良犬をガムテープでぐるぐる巻きにして解体を始めた。
狂犬病とかの心配もあったからゴム手袋をしてナイフを使って腹を開いた。
野良犬は唸りながらも徐々に声が小さくなっていった。
「心臓はこれか。」
「いつもより綺麗な心臓だね。」
そう言って、充希はナイフで心臓を突き刺した。
野良犬は声にならない叫び声をあげた。
そしてパッタリと動かなくなった。
悪いことをしている意識はなかった。それでもこの頃の自分がもう少しまともだったら良かったのに。後々、俺はそう思った。
充希は心臓を取り出して宝物にでも触れるかのようにそれをそっと抱き寄せた。
その後、俺達は野良犬をバラバラにしていった。
頭は頭蓋骨があるから開かなかったが、歯なども抜いては形を見ていった。
学校で、戦時中にたくさん解剖が行われて医学が発達した、みたいなことを言っていたことを思い出した。
「さて、墓だな。」
充希はそう言って、麻の袋にバラバラになった野良犬の亡骸を詰めた。
ふたりで近くの河川敷に穴をほった。
そうしてそこに生きていた物を埋めた。
充希は線香を上げて野良犬を弔った。
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