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中学

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俺と充希は近所に住んでいたので毎日約束もしてないのに同じ時間に集合して学校へと向かった。
家から出るタイミングでテレビから星占いが流れる。
それはいつもどうでも良いようなラッキーアイテムとともに語られる。
「獅子座2位かぁ…。」
「充希君、待ってるわよ。」
「分かってるよ。」
そう言って玄関のドアを開ける。
通学路には充希以外の人間もいたが俺たちはなるべくそう言う人達と目を合わせなかった。
俺たちと目を合わせると喧嘩を売られると学校では噂だったからだ。
俺たちは中学にしてかなり不気味な存在だった。一部の保護者が精神科にでも放り込んだ方が良いと言っているのも知っていた。
当時は動物愛護団体とかがそこまで活躍してなかったから俺たちは補導されるようなこともなかった。
ただ充希は中学に上がった頃から、バラした動物に墓を作るようになった。
俺はそれを見ながら自分は異常なんだなぁと思っていた。
充希はほとんど話をしない男だった。
俺が自慢気に狩りの成果などを連ねても、小さく一言、
「へぇ…。」
と呟いて何かを考えていた。俺はこの頃、命を大事にできない自分が異常で、充希のように墓を作るほうが正常なんだと思っていた。

ある日、狩りに出た。
いつものように野良猫をターゲットにしてエアガンを連射した。野良猫は驚いて走っていく。
俺は前もって用意してあった網に野良猫を追い込んでいく。猫が走りやすい用に通路を作っておいた。もう少しだ。
その瞬間、銃声のようなしなりのある音がした。充希だ。
「本物みたい…。」 
そう言って、充希は改造エアガンをしげしげと見つめていた。猫はうずくまったまま動かない。
「俺の獲物だったのに…。」
俺は機嫌を損ねた。充希はニコニコとしながら、
「悪かったよ。」
と言ってエアガンをカバンにしまった。
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