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25人の妖精〜第十二章〜

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「陽平はしばらく休暇を取っております。お帰りください、旦那様。」
鹿児島中央の神社では学さんと一色さんが旦那様と話していた。
「元気な姿だけでも見たいんです。」
「お帰りください。」
そう言って学さんは頭を下げた。
旦那様は肩を落として帰路についた。
「陽平ーもう出てきても良いぞー。」
学さんは陽平君を呼ぶ。
「まぁ、いつまでも居留守使うわけにはいかないからな。」
「分かってます。いつかは旦那様と話さなきゃいけないってことは。」
そう言って陽平君は涙を拭った。天界警察に入ってみんなの笑顔を守りたいと思っていた。しかし、その夢はあっけなく終わった。
僕だけが何故生き延びているのだろう。何故、守りたかった人達が死んで僕は生き延びているのだろう。その想いが限界に達すると僕は弓を引きに行く。
僕の背中を預けられるのは誰だろう。そう思った。それでも人は生きていかないといけない。考えても仕方のないことが頭の中でループする。僕は天界警察に入って自分はよくやったと思っていた。だからあの時、すずちゃんを選べなかった。天界警察だからと調子に乗っていた。天界警察を辞めて僕には何も残っていなかった。
この頃から、僕は一色さんから笛を習うようになった。一色さんは退魔師なのだと教えてくれた。僕は朝と夕に笛を吹いた。皆が相変わらず呑み込みが早いなと褒めてくれた。
その日は外の風が優しかった。夕飯を終えて風呂の順番が回ってくるまで外で蹴鞠をした。何故僕はここに居続ける事を望まなかったのだろう。ここなら皆が良くしてくれた。違う。そういう事じゃない。守りたい物を守るにはどうしたら良かったんだろう。
進さんが優しく微笑んでくれた事を思い出す。
「橘陽平は休暇を取っております!!」
電話越しに学さんが怒鳴る。
「天界警察の鏑木です。橘は休職扱いで籍はあります。いつ復帰するのかご連絡ください。それでは失礼いたします。」
「しつこいな~。」
「橘は千年にひとりの逸材です。簡単には手放せませんよ。」
そう言って鏑木さんは笑った。
「辞表は郵送したんですけど…。」
「不受理ってことだろ?やり方が汚いよなぁ…。そろそろ風呂だな。陽平、鞠片付けてきな。」
そう言って学さんと風呂に向かった。
「学さんの背中の傷って…。」
陽平君は初めてその事に触れた。
「昔、神官にいたんだ…。中央のやり方はよく分かっている。昔から長いものには巻かれろといったところで俺みたいな人間は合わなかった。神官を辞める最後の日、魔界の住人から背中を切られた。妖気が上がってきたけど何とか耐えた。」
「学さんは大事なものを守れたんですか?」
「昔のことで覚えてないな。それより陽平、背中流してやるよ。相変わらずツルツルだなぁ。」
「ちょっ、くすぐらないでください!!学さーん!!アハハハハ。」
「やっと笑ったな。」
そうして学さんと湯船に浸かった。
「吐き出したくなったらいつでも、吐き出せば良い。でも最後は前をむくんだ。」
そうして陽平君は鹿児島中央の神社で眠った。

旦那様のお屋敷では妖精たちが不安がっていた。皆が恐る恐る食事を取る。
「美味しくありませんでしたか?」
「いえ、美味しいです。」
妖精たちは萎縮していた。
「神様のもとで働きなさい。そうすれば自由になれます。」
そう言って旦那様は寂しそうに笑った。

その日の夜、皆は話をした。
「旦那様は僕たちを魔界の住人のご飯にするのかなぁ?」
「でも迎えに来たのは神官だよ。」
「結界を張るって言ってたじゃないか。」
「千聖ちゃんも、かどま君も戻ってこないんだよ…。」
「魔界の住人のご飯にされるんだよ。」
「大丈夫だよ。旦那様みたいに優しい人がそんな事出来るわけ無いよ。」
そう言ってまつりちゃんが笑った。
「きっと何か事情があるのよ。」
さつきちゃんが続く。
「また、明日お仕事があるんだから、もう寝ましょう。」

鹿児島西の神社から始まった魔界の住人の騒動は依然としてくすぶり続けていた。
「成瀬倫也か…。」
「もう天界にはいないんじゃないですか?」
「確かにな。」
「天界警察の立ち入り調査ももう来ないし、収まったんだよ。」
そう言って皆は笑った。
「最近は魔界の住人の速報も流れなくなったしな。」
「功の力も安定してきてるし、順風満帆だよ。」
「久しぶりに夜、外を歩けるよ。」

「たっ、どころ、さーん。」
「おじいちゃん、何故僕の行く手を阻むのです?」
「それって橘君の辞表でしょう?おじいちゃん欲しいなー。」
「本人の希望が最優先です。」
「橘は必ず戻ってくるよ。おじいちゃんが保証する。えいっ!!」
ビリっと音がして鏑木さんは辞表を破いた。
「責任はおじいちゃん取るよ。どっちにしろ一度はつまづくんだ。」
「おじいちゃん…。それって奥さんの…。」
「昔の話さ。ところで田所さんの今日のお弁当は生姜焼き弁当だったなぁ。生姜の量がもうちょっと多くても美味しいよ。」
「おじいちゃん!!また、盗み食いですか!!」
「ハー、ハハハ。」
そう言って鏑木さんはピュンピュン跳んでいった。

鹿児島中央の神社では、陽平君が拭き掃除をしていた。
「橘さんに拭き掃除なんて、させられません。」
「替わります。」
「いえ、僕が…。」
そう言って仕事を取られる。仕方なく弓道場にいって弓を引く。パンッと音がして矢が中たる。
「おお。さぼりか陽平?」
学さんが隣に来る。
「随分、弓の音が澄んできたな。もう俺より上手いかもな。」
そう言って学さんも弓を引く。
パシュンと音がして矢が中たる。
「何でも続ければ良いってわけじゃないけど、自分の心には忠実でいないとな。さてもう一回。」
「学さん、僕、天界警察に戻ります…。」
「本当にそれで良いのか?うちだったら皆はお前のこと大歓迎何だぞ?」
「僕は天界警察から逃げ出してから毎日のように弓を引いてきました。流鏑馬に初めて挑戦した頃と違い、敵を殺す弓です。僕にはもう道は残されてないんです。僕は魔界の住人と戦うしか無いんです。」
「陽平…あんまり自分を追い込むなよ。お前は人の分まで責任取るからな。」
そう言って学さんは弓を引いた。

「鏑木さんってあの年でまだ独身なんだな~。」
藤崎は市松と話していた。市松は神官護衛課の陽平君の同期だ。
「昔、奥さんになんかあって独り身になったって誰か言ってたよ。」
「どうせ飯が不味いとかそんなことだろう?」
「どうせ!!飯が!!不味い!!はっ!!鏑木です!!」
「鏑木さん、今日は唐揚げ弁当ですもんね。」
「イッチ~なら逃がしてよ。」
「僕は田所さん派なので。」
「誰かー!!鏑木さん見ませんでしたかー!!」
「ここでーす。」
「明日は我が身。とうっ!!」
そして鏑木さんはピュンピュン走った。

その頃、陽平君は旦那様の元を訪れていた。真実が聞きたかった。
「陽平、元気でしたか?!」
そう言って旦那様は泣いた。陽平君はバツの悪そうな顔をした。
「僕たちは何故妖精なんですか?何故学校にも通えず働くことを余儀なくされるんですか?何故、皆は神官に連れて行かれたんですか?」  
旦那様は重い口を開く。
「あなた達は神様の子供なんです。下界ではなく神界の神様の子供なんです。」
そう言って旦那様は涙を流した。
「あなた達の身体には穢という穢が貯まりません。だから、天界の子達とは違うんです。」
「だから人柱になったと?」
「初めてこの仕事の依頼を受けた時、私もまだ若かった。事の重大さが分かっていなかった。ただ、子供たちを引き取って育てればいいものだと思っていました。」
旦那様は泣き続ける。
「しかし、現実には神様のもとで働けない子は人柱として沈められる。それが嫌で学校にも通わせず仕事をさせてきました。」
「旦那様…。」
「私は子供たちを守ることが出来ない。私の周りにはたくさんの人間がいる。すべての人を巻き込むことは出来ない。」
「分かりました。」
「陽平…。」
「僕は明日から天界警察神官護衛課に戻ります。その前に僕から子供たちに話をしておきます。」
「分かりました。お願いします。」
旦那様はゆっくりと自身の部屋へと戻った。

次の日、陽平君は天界警察に出勤した。
「申し訳ありませんでした!!」
そう言って鏑木さんに頭を下げた。
「たっち~元気~?」
「えっ?はい。元気です。」
「ならいいんだよ。第一線に立つと皆色んな想いをするからね。」
「鏑木さん…。」
「休んでた間の仕事、田所さんがしてるから残りは貰ってね。」
「ああ、はい。分かりました。ありがとうございます。」
「お帰り、橘君。」
「おお、橘か。」
皆が笑顔だった。
いっそ皆が非難してくれる方が楽だった。田所さんから仕事を受け取って書類に目を通す。鏑木さんはいつも通り田所さんの弁当を盗み食いしていた。
しかし以前とは違って陽平君は笑えなかった。頭の中では後悔の念ばかりがグルグルと回って気持ち悪い。
「橘、お前真っ青だぞ。」
「いや、僕は…。」
「橘、医務室連れてくわ、帰りに神官課の書類もらってきますよ。」
そう言って坂本さんが陽平君を医務室に連れて行った。

「熱はないな。」
「僕は…。」
「続けたほうが楽になれるぞ。辞めたらずっとその思いを吐き出せずに生きていくんだ。」
坂本さんはそう言って黙った。
「鏑木さんだけどな、昔奥さんがいたんだ。今ではあれだけ明るくなったけど、天界警察に入ってきた頃は今の橘みたいだったんだぞ。」
「鏑木さんが…?」
「俺も噂で聞いたんだけどな、魔界の住人が産科医に紛れ込んでいて奥さんとお腹の赤ちゃんが切り刻まれたらしい。赤ちゃんなんてバラバラだったらしいぞ。」
「そんな酷い話…。」
「魔界の住人を根絶やしにするって泣きながら志願して来たらしい。」
「僕も仕事を…。」
「良いから休め。お前は新人にしては戦いすぎたんだ。後で様子見に来るからな。」
そう言って坂本さんは神官護衛課に戻った。強くなれば強くなれば、陽平君はそう思った。鏑木さんはどうやって強くなったのだろう。

「田所さん、今日のお弁当は?」
「かいわれとモヤシだったらどっちが良いですか?」
「どっちも嫌だなぁ…。」
「そもそも僕がおじいちゃんの弁当を用意する謂れはないんですよ。」
「おじいちゃんたち仲良しじゃない?」
「で、モヤシですか?かいわれですか?」
「モヤシ…。」
「かいわれですね。」
「ノー…。」
ふたりがそこまで話すと神官護衛課に陽平君が戻ってきた。
「橘、まだ休んでろ。それとも早退するか?」
坂本さんがそう言って席を立つ。
「僕は戦うために帰ってきたんです。休んでる場合じゃありません。」
「若いなぁ…。橘、おじいちゃん勝ったら早退ね。」
そう言うと鏑木さんは陽平君を投げ飛ばした。
「なんで…。」
「まだまだ現役やっちゅーことやねん。」
「おじいちゃんどこの方言です?」
そうして陽平君は早退した。

宿舎では藤崎が顔を出してくれた。
「橘帰ってきてくれて良かったよ~。これポカリな。」
「別に病気じゃないよ。久しぶりに都心に来て人の多さに飲まれたんだ。」
そう言って陽平君は笑った。
「藤崎、藍原のことだけど…。」
「話したくない。話した分、悔しくなくなる。傷の舐め合いならしたくない。」
「藤崎…。」
「天界警察に志願した時点で遅かれ早かれこうなることは分かってたんだ。強がりだけどな。」
「藤崎は格好いいな。」
「橘に言われてもなー。」
そう言ってふたりは笑った。
陽平君は神官の動きについて藤崎に話を聞いた。神官が神様の子供を人柱として沈めている、それが天界警察内部では噂になった。かん口令が出され、口外するものはいない。
「俺より橘のほうが苦しいだろうな。」
藤崎はそう言って笑った。
「俺、妹がいたんだ。魔界の住人に殺されたんだけどな。それでももっと辛い人がいるって自分に言い聞かせてきたんだ。世の中さ、死ぬより辛いことって絶対あるよ。」
そう言って藤崎はコーラを飲んだ。
「明日は職場で会おうな。」
「ああ、有難う。」
そうして藤崎は帰った。

次の日、朝一番に弓道場に陽平君の姿があった。パンッと音がして矢が中たる。
「戻って来れるだけ1人前になったか…。」
斗永さんがいた。
「僕の背中を預けられるのは僕自身です。」
「それがわかったんなら俺がお前の背中を守ろう…。」
そう言って斗永さんは弓を引いた。
「戦場で信じられるのは己のみだ。誰かに助けて貰おうなんざ百年早い。」
「ありがとうございます。」
そう言って陽平君は頭を下げた。
「斗永さんは何故天界警察に入ったんですか。」
「年寄りに昔話をさせるのは老害でしか無いぞ。」
斗永さんは笑った。
「まぁ、そのうちにな。」
そう言って斗永さんは立ち去った。

「成瀬倫也の姿が都内で目撃された。最も、成瀬の形だけで中身は別の物の可能性がある。」
「下界にですか…。」
「徹底的に調べ上げている最中だ。これで一連の騒動は終わる。」
天界警察から、300名が成瀬倫也の捜索に駆り出された。陽平君は希望を出したものの、受理されなかった。
成瀬がいる…そう思うと呼吸が浅くなる。身体中の血が騒ぐ。
成瀬を仕留めないと…そう思った。
その日、藤崎と話した。
「交通課からも成瀬の追跡調査はしてる。帽子を深くかぶれば見つからずに行けるかもしれない。」
そう言って藤崎はドキドキしていた。

翌日、陽平君は欠勤した。
そして交通課に混ざって下界に降りた。藤崎がガッツポーズをしていた。
僕が成瀬なら最後はどこに向かうだろう。そう思って首相官邸を思い出した。

首相官邸では、いつも通り皆が仕事していた。
「キャー。」
「うわぁ!!逃げろ!!」
そう言って皆が騒ぐ先に成瀬がいた。
「こんな恵まれた世界で何が辛い?」
そう言って次々に周りの人を刺していく。
「草も生えず、川も流れず、汚水をすする。それでも生きていたい。そんな世界に誰がした?!」
「天界警察に出動要請を。」
ブツンと電話線が切られた。
「生き血をすすりドブネズミをくらい、息もできないような汚臭のなか生きていかないとならない。お前らに何が分かる?」
「わからないよ!!」
陽平君がそこに居た。
「魔界に草が生えないなら草を植えれば良い。川が流れないなら雨乞いすればいい。世界は必ず変えられる。」
「あーむかつくガキだなぁ。そんな事全て試したんだよ。その綺麗な顔が無性に腹が立つ。」
陽平君は成瀬と睨み合った。
陽平君が動く、成瀬の腕を叩き、落とした刃物を足で蹴って遠ざける。そして銃を構える。
「成瀬倫也。一連の騒動の主犯格として逮捕する。」
「そんな事したところでな、まだまだ魔界からは人がやってくる。潤沢な土地、栄養豊富な食物、その全てが尊いんだ。」
そして一連の騒動は幕を閉じた。
陽平君は藤崎とともに始末書を書いた。

後日、陽平君は鹿児島中央の神社に顔を出した。
「おっ、陽平か。」
学さんはニコニコしながら出迎えてくれた。
「しばらくは魔界の住人は現れません。皆が人柱になってくれたお陰です。」
そう言って陽平君は泣いた。
「もし今度生まれ変わるなら天界の人間として生まれ変わりたい。」
その瞬間だった。陽平君の周囲にふわふわとした明かりのようなものが揺れ動いた。
「陽平君、私達だったら大丈夫よ。」
千聖ちゃんの声がした。
「僕だって頑張ってるよ。」
かどま君の声がした。
「これは…。」
「陽平の友達なんだろうな…。」
陽平君は泣き崩れた。僕はきっとひとりじゃない。

5年後、天界警察志願者の集団面接が行われていた。そこには陽平君の姿があった。
「今年も優秀そうですね~。ハハッ。」
彩女が忌々しそうに、
「ここ数年で1番優秀な人の嫌味でしか無いわ。」
そう言って笑った。いつの日か抜本的に魔界の住人と戦わなくても良い日が来るはずだ。そう思って陽平君はニコニコした。
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