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鮮明
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チームで作品を作ることになって、俺は何度か鳥肌がたった。
沖田は恐ろしく緻密に正確な鳥を描く。いや、本物以上に美しい鳥を描く。
やはり沖田にはフィルターがあるのだ。俺達には見えない何かが沖田には見えているのだ。
「ほい、差し入れ。」
「永崎サボるな。」
「そんな事言ったって沖田が描いたら俺等の絵って小学生の落描きみたいなもんだよ。」
そう言って3人でポカリを開けた。
沖田は作品が描けるとなると朝一に大学に来て黙々と絵を描く。
本当に絵が好きなんだな。俺はそう思った。
「モテたいとかないの?」
「モテるって?」
沖田は手を休めてポカリを飲む。
「彼女とか作る気無いのかって事だよ。」
「そういうのは自然の流れの中にあるものだからいつかは出来ると思う。」
沖田はそう言って作品を離れて見ていた。
「沖田はミリ単位で絵を描くって言われてるけど実際どうなんだ?」
沖田は恥ずかしそうな顔をして頭を掻いた。
「口から出てる?」
「出てる、出てる。」
「有名だぞ大学で。」
「親には不気味だから止めなさいって言われるんだよ。」
そう言って沖田は笑う。沖田は驕り高ぶることもなく絵と向き合う。
「自分が上手いとか思わないの?」
「小学生の頃は思ったよ。でも違ったんだ。」
「違うって?大学でお前の右に出るものはいないんだぞ。」
「これは神様からのプレゼント何だよ。だから作品を描くことでお返しをしていくんだ。」
「そんな映画あったよな。」
「自分は上手いんだ、そう思うと描けなくなる。それが辛くて辛くて。」
沖田はポカリを半分ほど飲んで蓋をした。
「沖田でも駄作とかあるのか?」
「いっぱいあるよ。」
沖田はあくまでも等身大だった。着飾ることもなく気取ることも無かった。
「石松君、大学で声かけてくれてありがとう。」
「お、おぅ。」
俺はたじろいだ。この頃には俺は沖田が嫌いじゃなかった。
「でも絵を描くと他のことがドンドン出来なくなるんだよ。」
「ふーん。そういう物なのか。」
「じゃあ、昼まで描こうよ。」
そう言って俺達は制作に励んだ。
沖田は恐ろしく緻密に正確な鳥を描く。いや、本物以上に美しい鳥を描く。
やはり沖田にはフィルターがあるのだ。俺達には見えない何かが沖田には見えているのだ。
「ほい、差し入れ。」
「永崎サボるな。」
「そんな事言ったって沖田が描いたら俺等の絵って小学生の落描きみたいなもんだよ。」
そう言って3人でポカリを開けた。
沖田は作品が描けるとなると朝一に大学に来て黙々と絵を描く。
本当に絵が好きなんだな。俺はそう思った。
「モテたいとかないの?」
「モテるって?」
沖田は手を休めてポカリを飲む。
「彼女とか作る気無いのかって事だよ。」
「そういうのは自然の流れの中にあるものだからいつかは出来ると思う。」
沖田はそう言って作品を離れて見ていた。
「沖田はミリ単位で絵を描くって言われてるけど実際どうなんだ?」
沖田は恥ずかしそうな顔をして頭を掻いた。
「口から出てる?」
「出てる、出てる。」
「有名だぞ大学で。」
「親には不気味だから止めなさいって言われるんだよ。」
そう言って沖田は笑う。沖田は驕り高ぶることもなく絵と向き合う。
「自分が上手いとか思わないの?」
「小学生の頃は思ったよ。でも違ったんだ。」
「違うって?大学でお前の右に出るものはいないんだぞ。」
「これは神様からのプレゼント何だよ。だから作品を描くことでお返しをしていくんだ。」
「そんな映画あったよな。」
「自分は上手いんだ、そう思うと描けなくなる。それが辛くて辛くて。」
沖田はポカリを半分ほど飲んで蓋をした。
「沖田でも駄作とかあるのか?」
「いっぱいあるよ。」
沖田はあくまでも等身大だった。着飾ることもなく気取ることも無かった。
「石松君、大学で声かけてくれてありがとう。」
「お、おぅ。」
俺はたじろいだ。この頃には俺は沖田が嫌いじゃなかった。
「でも絵を描くと他のことがドンドン出来なくなるんだよ。」
「ふーん。そういう物なのか。」
「じゃあ、昼まで描こうよ。」
そう言って俺達は制作に励んだ。
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