【完結】白昼夢

九時せんり

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お話の終わり

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あの日、私が過呼吸を起こした時、貴方は確かにいました。お日様のような暖かいオーラと穏やかで上品な声、ふっくらとした手のひら。
私は涙を流しました。
私のことを介抱する貴方の声が優しくて静かに泣いたのです。
それでも神様は、残酷でした。
私はその瞬間がもっと続いてほしい。そう思ったものの電車は、動き出し、次の駅で貴方は降りていきました。
どうして名前を聞かなかったのだろう、連絡先を交換しなかったのだろう。
悔やんでも悔やみきれず私は何処にも向けられない苛立ちを帰るまで持ち続けました。

家に帰ると母は寝ていたのでなんとか買って帰った上生菓子を神棚に上げてお風呂に入りました。
それからも私は貴方の姿を探し続けました。

そうして花嫁姿も似合わなくなったような年頃で貴方が見つかりました。
いいえ。これを書いている間はまだ貴方は見つかってないのです。
近い未来に私と貴方は何処かで必ず出会うでしょう。そして私は命を落とすのでしょう。
最近、そんな予感ばかりがするのです。

追伸、貴方はずっと私に気がついていたのですね。私ばかりがぐるぐるといろんなところを回ったものです。年も取りました。
貴方を見つけた私より。
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