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一年生編
舗装道路1
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4月。 新緑の季節。
新たな出会いに胸を膨らませ、人々の瞳は輝く。
人々が大事に抱えているものは 希望――。
そして、ここにもまた 希望に瞳を輝かせ未来を夢見る人々がいた――。
*
「ナオ~~~!!」
未だ変声期の終わりきっていない、少年の声が響く。
高くもないが、低くもない。少年と青年の中間に位置する、この年頃の少年にはぴったりかもしれない。
「なぁ~おぅ~!!」
叫びながら傍らにいた少年に泣きついた。
「クラス離れたな」
「あっさり言うなぁ~!!」
あっさりと肯定され、少年はがおうと吠える。
「はは。俺だって残念さ。お前は見てて飽きない。間近でお前を見れなくなるのは残念だ」
「何だとぅ!?」
膨れる親友に、笑いかける。
「別に、俺と離れたからって大したことないだろ。お前なら、新しいクラスでもすぐに馴染むさ」
まあ、休みの日は構ってやるから。そう言って、ポンと頭を叩く。
「おうっ!!目指せ、友達百人出来るかな計画っ!!」
待ってろよ~!!高校生活!!
少年は拳を突き上げ、蒼天に向かって叫んだ。
*
ざわざわと騒ぐ人々の中、少年は、何の興味もないとばかりに冷めた瞳をしていた。
張り出された紙。そこに羅列してある数多の名前。その中から己の名を見つけると、再度クラスを確認する。
「1組か……」
そ っと呟くと、名残を惜しむことなくその場を去った。
*
「……離れちゃったね、ユウちゃん」
悲しげに呟く少年に、隣の少年はバンバンと肩を叩く。
体格の良い少年が小柄な少年をばしばしと遠慮なく叩くさまは、まるで苛めているようにも見える。しかし2人の表情を見れば、そうでないことは一目瞭然であった。
「案ずるな、ナツキ。この俺様直々に出向いてやる」
そう言って大柄な少年は、白い歯を見せつけるかのように爽やかに微笑んだ。
*
「「3組か~」」
揃った声に思わず顔を見合わせる。
見たことのない、顔。
しかし何かを感じ、少年たちは固く手を握り合った。
*
明星高校入学式。
新たな出会いと未来に胸を膨らませ、少年少女はその地に足を踏み入れた。
――この日、彼らの運命は動き出した。
新たな出会いに胸を膨らませ、人々の瞳は輝く。
人々が大事に抱えているものは 希望――。
そして、ここにもまた 希望に瞳を輝かせ未来を夢見る人々がいた――。
*
「ナオ~~~!!」
未だ変声期の終わりきっていない、少年の声が響く。
高くもないが、低くもない。少年と青年の中間に位置する、この年頃の少年にはぴったりかもしれない。
「なぁ~おぅ~!!」
叫びながら傍らにいた少年に泣きついた。
「クラス離れたな」
「あっさり言うなぁ~!!」
あっさりと肯定され、少年はがおうと吠える。
「はは。俺だって残念さ。お前は見てて飽きない。間近でお前を見れなくなるのは残念だ」
「何だとぅ!?」
膨れる親友に、笑いかける。
「別に、俺と離れたからって大したことないだろ。お前なら、新しいクラスでもすぐに馴染むさ」
まあ、休みの日は構ってやるから。そう言って、ポンと頭を叩く。
「おうっ!!目指せ、友達百人出来るかな計画っ!!」
待ってろよ~!!高校生活!!
少年は拳を突き上げ、蒼天に向かって叫んだ。
*
ざわざわと騒ぐ人々の中、少年は、何の興味もないとばかりに冷めた瞳をしていた。
張り出された紙。そこに羅列してある数多の名前。その中から己の名を見つけると、再度クラスを確認する。
「1組か……」
そ っと呟くと、名残を惜しむことなくその場を去った。
*
「……離れちゃったね、ユウちゃん」
悲しげに呟く少年に、隣の少年はバンバンと肩を叩く。
体格の良い少年が小柄な少年をばしばしと遠慮なく叩くさまは、まるで苛めているようにも見える。しかし2人の表情を見れば、そうでないことは一目瞭然であった。
「案ずるな、ナツキ。この俺様直々に出向いてやる」
そう言って大柄な少年は、白い歯を見せつけるかのように爽やかに微笑んだ。
*
「「3組か~」」
揃った声に思わず顔を見合わせる。
見たことのない、顔。
しかし何かを感じ、少年たちは固く手を握り合った。
*
明星高校入学式。
新たな出会いと未来に胸を膨らませ、少年少女はその地に足を踏み入れた。
――この日、彼らの運命は動き出した。
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