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第3話:別れ

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別れは突然だった。

運命の日の数日前まで、普段と変わらず電話をしていて。
好き、愛してる。そう言い合っていたのに。

二日間連絡が途絶えたと思ったら、突然別れを切り出された。
寝耳に水だったよ、本当に。


「ほかに好きな人ができた」


って言われるまでは、話し合いで仲直りできると思ってた。


「もう好きでいられない」


って死刑宣告されるまでは、まだ負けてないと思ってた。

馬鹿だよね。
きっととっくに心が離れていたんだよね。
物理的な距離が、心まで離してしまったのかな。
そばにいてくれる人が良くなるのは、当然の結果だったのかな。

あたしは初めての恋を実らせたけど、その実が愛の花を咲かせることはなかった。
腐り落ちて、消えた。

あたしに残ったのは、ただただ憎くて辛い気持ちだけ。
幸せな記憶があたしを苦しめた。
自分のことも相手のことも切り裂いてしまいたくて、でも手が届くところに相手はいない。

泣いても叫んでも、救いはなかった。
自分を傷つけて、泣いて眠って、また憎しみの刃を握って。
目の前が真っ暗だった。

恋なんて、愛なんて、知らなければよかったと後悔した。

なんとか立ち直ろうと、新しい恋をすればいいって紹介してもらった人と接してみたりもしたけれど。
ああいうときは駄目ね、良いところも悪いところも何一つ見えない。

結局一番の薬は、時間なのかもしれない。
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