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第51話:浮気相手?
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その場を離れようとするジークハルトをエレナが呼び止める。
「あ、ジークハルト様…」
「何か」
「久しぶりにお会い出来たのですから、もう少しお話がしたいですわ」
「妻を休ませたいので失礼します」
「では、私もご一緒に…」
「結構です。親しい間柄でもないのに側にいて何になると言うのですか」
ズバリ言われてしまい固まるエレナ。
ショックを受けるエレナを庇うように取り巻き達が前に出る。
「まあ!酷いですわジークハルト様」
「エレナ様は夫人を心配しているだけですのに」
「そうですわ、それに親しくないだなんて。仲良くしよとしてくださらないのは夫人の方では?」
鬱陶しい、そうデカデカと顔に書いたかのように険しい表情になるジークハルト。
涙目になったエレナは、
「私はただ…その耳飾り素敵ですわねというお話をしていただけですのに…」
そう言って顔を覆う。
取り巻き達はエレナを慰めながらシズリアを睨んだ。
「そうですわ、ジークハルト様以外の方から頂いたというその耳飾り!」
「一体どなたから頂いたのか知りませんけれど、無神経ではありませんの?」
贈られた経緯を知っているジークハルトは僅かに首を傾げたが、彼女達がシズリアに不貞の疑惑を掛けたいのだと気づき、笑った。
「…ああ、そういうことか。よく似合っているだろう、俺よりもセンスが良いと両親からも絶賛されていたからな」
笑って済ませるジークハルトに、取り巻き達は毒気に抜かれた顔をする。
「この耳飾りは本当に素晴らしい物だ。贈り主も素晴らしいお方だよ」
「私の身に余るくらいですわね」
「お前だから贈られたのだ、そう卑下するものではないぞ」
「そうですわね、失礼いたしました」
ジークハルトとシズリアは笑みを交わし合い、エレナ達から離れた。
「…大丈夫だったか、何を言われた?」
「大丈夫です。この耳飾りを浮気相手から貰ったとでも思ってるみたいでしたけど」
「エレナは宰相から聞いていないのか?」
「どうでしょうね…知っていてわざとかもしれませんし」
エレナ達の方を見ると、取り巻きに慰められながら泣いているエレナにカーチェス宰相が近寄り、その肩を抱いている。
事情を聞いたのだろう、宰相がジークハルト達を睨みつけてきた。
「また敵視されてしまいましたね」
「いい加減にして欲しいものだ。お前の身に何かあってからでは遅いからな、当分集まりには参加しなくていいぞ」
今日はキリアが体調不良で側にいない、今シズリアが頼れるのはジークハルトだけなのだ。
来月行われるエレナの誕生会にも夫婦宛に招待状が届いているが、出産間近の身で参加できない。
王族主催ではない催し物には、今後暫く不参加になるだろうと話し合っていた。
そこへ、国王夫妻と第一王子アルベール、そして妹である第一王女アルティーナが現れ参加者らの視線が集まる。
アルベールは20歳を迎える美男子で、その隣には婚約者のアレクシア嬢の姿もあった。
「あ、ジークハルト様…」
「何か」
「久しぶりにお会い出来たのですから、もう少しお話がしたいですわ」
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「そうですわ、ジークハルト様以外の方から頂いたというその耳飾り!」
「一体どなたから頂いたのか知りませんけれど、無神経ではありませんの?」
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「…ああ、そういうことか。よく似合っているだろう、俺よりもセンスが良いと両親からも絶賛されていたからな」
笑って済ませるジークハルトに、取り巻き達は毒気に抜かれた顔をする。
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「お前だから贈られたのだ、そう卑下するものではないぞ」
「そうですわね、失礼いたしました」
ジークハルトとシズリアは笑みを交わし合い、エレナ達から離れた。
「…大丈夫だったか、何を言われた?」
「大丈夫です。この耳飾りを浮気相手から貰ったとでも思ってるみたいでしたけど」
「エレナは宰相から聞いていないのか?」
「どうでしょうね…知っていてわざとかもしれませんし」
エレナ達の方を見ると、取り巻きに慰められながら泣いているエレナにカーチェス宰相が近寄り、その肩を抱いている。
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「また敵視されてしまいましたね」
「いい加減にして欲しいものだ。お前の身に何かあってからでは遅いからな、当分集まりには参加しなくていいぞ」
今日はキリアが体調不良で側にいない、今シズリアが頼れるのはジークハルトだけなのだ。
来月行われるエレナの誕生会にも夫婦宛に招待状が届いているが、出産間近の身で参加できない。
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そこへ、国王夫妻と第一王子アルベール、そして妹である第一王女アルティーナが現れ参加者らの視線が集まる。
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