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第26話:見合い希望者
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謁見の間に行くと、友人である有翼人のリリスの姿もあった。
「リューファ、お誕生日おめでとう!」
「ありがとうリリス、貴女も来月ね」
二人は同い年で、お互い誕生日会に招待しあっている。
リリスは抜け替わった自身の飾り羽をくれた。
「わたくしがもらってしまっていいの?」
「これは親友に貰って欲しかったから、貴女が受け取って」
有翼人は、頭に二枚の飾り羽がある。
年に一回生え変わるのだが、それを親しい相手に送ることが愛情表現の一つとされていた。
年頃であるリリス、彼らの習慣から言うと飾り羽を送るのは求愛を意味する。
リリスの羽は純白でとても綺麗なため、リューファが初めて会ったときにねだって大人から叱られたのも今となっては良い思い出だ。
獣人族のガルフもいるが、他種族会議の際ルードヴィッヒを見ているせいか今回はアピールする気がないようだ。
隙あらばリューファと見合いを、と狙っているのは人魚族のアマルス王子と精霊人の使者ローハン大使。
どちらもかなりの美形で、自信がある様子。
「リューファ王女、16歳のお祝い申し上げます。ますますお美しくなられましたね」
アマルス王子はリューファより2歳年上で、3年前に彼の誕生会に招かれて以来だ。
人魚族の彼は滅多に陸に上がらない、今回は人間化の魔法を使ってまでドラリオンを訪れている。
それほどリューファを狙う気持ちが強いのだろう、深海にしか生息していない貝の殻を持ってきていた。
「ありがとうございます、アマルス王子。綺麗な貝殻をありがとうございます」
リューファが外交用の笑みを浮かべると、アマルス王子は少し頬を赤らめリューファの手を取り、その指先に口付ける。
「姫の美しさには我が国の宝も敵わないことでしょう、親密になれたらと願わずにはいられません」
「人魚の王国には美しいものが溢れていると聞きます、それらを見慣れている王子にそう言っていただけて光栄ですわ」
あくまでも社交辞令として対応するリューファ。
アマルスが手を離してくれないため困惑していると、精霊人のローハンが横から口を挟んできた。
「美しき姫君にワタクシもご挨拶させて頂きたいのですが」
スッと表情を消し、アマルスは手を離す。
ローハンは精霊の森にしか咲かない月光水晶花を手に、リューファの前に跪く。
「竜の姫は美しいと、そのような噂を耳にしておりましたが噂以上にお美しい」
彼はリューファより12歳年上だが未婚なのだという。
精霊人は精霊と人間の間に生まれた存在を祖先に持ち、見目麗しい種族。
自身の美しさにも自信があるが、周りに置くものも美しくなければ気が済まない性格。
〝美〟に関して、負ける事を何より嫌う。
「リューファ、お誕生日おめでとう!」
「ありがとうリリス、貴女も来月ね」
二人は同い年で、お互い誕生日会に招待しあっている。
リリスは抜け替わった自身の飾り羽をくれた。
「わたくしがもらってしまっていいの?」
「これは親友に貰って欲しかったから、貴女が受け取って」
有翼人は、頭に二枚の飾り羽がある。
年に一回生え変わるのだが、それを親しい相手に送ることが愛情表現の一つとされていた。
年頃であるリリス、彼らの習慣から言うと飾り羽を送るのは求愛を意味する。
リリスの羽は純白でとても綺麗なため、リューファが初めて会ったときにねだって大人から叱られたのも今となっては良い思い出だ。
獣人族のガルフもいるが、他種族会議の際ルードヴィッヒを見ているせいか今回はアピールする気がないようだ。
隙あらばリューファと見合いを、と狙っているのは人魚族のアマルス王子と精霊人の使者ローハン大使。
どちらもかなりの美形で、自信がある様子。
「リューファ王女、16歳のお祝い申し上げます。ますますお美しくなられましたね」
アマルス王子はリューファより2歳年上で、3年前に彼の誕生会に招かれて以来だ。
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それほどリューファを狙う気持ちが強いのだろう、深海にしか生息していない貝の殻を持ってきていた。
「ありがとうございます、アマルス王子。綺麗な貝殻をありがとうございます」
リューファが外交用の笑みを浮かべると、アマルス王子は少し頬を赤らめリューファの手を取り、その指先に口付ける。
「姫の美しさには我が国の宝も敵わないことでしょう、親密になれたらと願わずにはいられません」
「人魚の王国には美しいものが溢れていると聞きます、それらを見慣れている王子にそう言っていただけて光栄ですわ」
あくまでも社交辞令として対応するリューファ。
アマルスが手を離してくれないため困惑していると、精霊人のローハンが横から口を挟んできた。
「美しき姫君にワタクシもご挨拶させて頂きたいのですが」
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ローハンは精霊の森にしか咲かない月光水晶花を手に、リューファの前に跪く。
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彼はリューファより12歳年上だが未婚なのだという。
精霊人は精霊と人間の間に生まれた存在を祖先に持ち、見目麗しい種族。
自身の美しさにも自信があるが、周りに置くものも美しくなければ気が済まない性格。
〝美〟に関して、負ける事を何より嫌う。
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