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第14章 そして神になった
【次元の狭間3】
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<<マサル視点>>
「だが、その話しを聞いてこれ以上の関与を望むのであれば、君は人事課、いや別の組織の職員とならざるを得なくなるのだが、どうするね?」
課長の刺すような視線を受けてしばし考える。
今後も人事課の仕事を受けるにあたり今回のような問題は発生する可能性は何度でもあるだろう。
そう考えれば、それに適した情報を得られる立場になることは重要だ。
そして今回のように召喚された者が襲われたり、理不尽な運命を辿るようなことはあってはならない。
そのために原因があるとすれば取り除いてやりたい。
「わかりました。お世話になる覚悟で臨みたいと思います。」
人事課長は鋭い視線を緩めて俺に微笑みかけてきた。
「決意はよく分かった。ではわたしの方で少し準備が必要となるため申し訳ないが少し時間をくれないかい。」
「わかりました。よろしくお願いします。」
<<人事課長視点>>
マサル君の決意はよく分かった。
わたしもそれなりに覚悟をする必要はあると思う。
わたしは異世界管理局長に今回のマサル君の相談を報告した。
マサル君の報告内容は、何者かによる異世界管理局への妨害工作とも取れるため、局長への報告は当然必要であった。
また、監査部が関わっていると考えられる以上、わたしの範疇でこれ以上動くのは問題が大きいため、局長に加わって頂くことが必須でもあったのだ。
わたしの報告に対し局長はしばらく考えるようなしぐさをとっていた。
「君の話しはよくわかった。確かに君の判断通り監査部の関与は間違いないだろうし、あそこが公に人を動かしてまで介入したことで、彼らが何かを掴んでいることも想定できる。
そして君とマサル君がそれに足を突っ込んだことも。
よし、わたしの方で監査部と話しをつけよう。今回の件が何者かの我々に対する挑戦だと考えた場合、我々も手をこまねいている場合ではあるまい。
もしかすると、君とマサル君には移動してもらうことになるやもしれないが、覚悟しておいてほしい。」
相変わらず表情を変えずに淡々と話す局長の言葉にわたしは頷く。
「ではよろしくお願いいたします。」
そして、わたしは局長室を立ち去ったのだ。
しばらくしてわたしには移動辞令が、そしてマサル君には異世界管理局への正式採用の辞令が出たのだった。
<<マサル視点>>
人事課から正式採用辞令が届いた。
採用部署として書かれていたのは『異世界管理局 管理局長付調査室』という新設部署である。
「マサルさん、正式採用おめでとう。てっきり運営課に来るものだと思ってたのに、新設の部署なのね。
なんだか局長にマサルさんを盗られたみたいでくやしーーわ!」
「俺も知らなかったんですよ。
でも管理局の中だから一緒になることもありますよ。きっと。」
「おめでとうマサルさん。
同僚になれて嬉しいんだけど、これからは簡単にお願いできなくなりますね。」
「シール様、ありがとうございます。どんな仕事が待っているかわかりませんが気軽に声を掛けてもらえばと思います。」
「ところでマサルさん、本当にどんな仕事なのか聞いていないの?」
「ええ、人事課長からは正式採用の内示を貰っていたのは確かですが、その後何も話していないのです。」
「そうなんだ、実はねマサルさんが行くっていう新しい部署なんだけど、何をするための部署なのか、わたし達も聞かされていないのよね。」
「ポーラ様そうなんですか。まあ行って見れば分かると思うんですけどね。」
「あ、そうそう、シール聞いてる?人事課長も新しくなるらしいわよ。
あの課長、何か悪いことをして左遷されたのかな。」
「マリス君、わたしがどうしたって?」
「あっ、じ、人事課長....い、いらしたんですか。」
「マリス君、わたしにはそんなイメージがあるのかな。」
「ご、ごめんなさい。すいませんでした.......」
「マサル君、おめでとう。さあ一緒に調査室へ行こうか。」
「じ、人事課長、もしかして調査室の室長って....」
「ああ、ポーラ君、わたしがやることになったよ。じゃあまたな君達。」
俺は元人事課長の調査室長に連れられて、新しく新設された調査室に向かった。
異世界管理局ビルの最上階、局長室の隣に調査室の事務所はあった。
「さあ、ここがこれから働いてもらう仕事場になる。
とりあえず必要そうな物は揃えておいたから自由に使ってくれていいよ。」
「室長、有り難うございます。
ところで、この部署での仕事なんですが………」
ガチャ!
俺が仕事内容を確認しようとした時、奥の重厚な扉が開き、貫禄のある男性が入ってきた。
「局長! なるほどこちらの扉は局長室に繋がっているのでしたか。」
「いやあ、驚かせてすまんな。
ここを使って出入りした方がこれから都合が良さそうだからな。ハハハハ。」
突然現れた男性はここ異世界管理局の責任者である局長であった。
「おっ、気君が噂のマサル君だね。
よろしくたのむよ。」
「マサルです。よろしくお願いいたします。」
「そうだ、紹介しなくてはな。
君、こちらへ。」
局長室の扉を抜けてこちらに現れたのは…………
「マサルさん、お久しぶりですね。」
ユウコさんだった。
「だが、その話しを聞いてこれ以上の関与を望むのであれば、君は人事課、いや別の組織の職員とならざるを得なくなるのだが、どうするね?」
課長の刺すような視線を受けてしばし考える。
今後も人事課の仕事を受けるにあたり今回のような問題は発生する可能性は何度でもあるだろう。
そう考えれば、それに適した情報を得られる立場になることは重要だ。
そして今回のように召喚された者が襲われたり、理不尽な運命を辿るようなことはあってはならない。
そのために原因があるとすれば取り除いてやりたい。
「わかりました。お世話になる覚悟で臨みたいと思います。」
人事課長は鋭い視線を緩めて俺に微笑みかけてきた。
「決意はよく分かった。ではわたしの方で少し準備が必要となるため申し訳ないが少し時間をくれないかい。」
「わかりました。よろしくお願いします。」
<<人事課長視点>>
マサル君の決意はよく分かった。
わたしもそれなりに覚悟をする必要はあると思う。
わたしは異世界管理局長に今回のマサル君の相談を報告した。
マサル君の報告内容は、何者かによる異世界管理局への妨害工作とも取れるため、局長への報告は当然必要であった。
また、監査部が関わっていると考えられる以上、わたしの範疇でこれ以上動くのは問題が大きいため、局長に加わって頂くことが必須でもあったのだ。
わたしの報告に対し局長はしばらく考えるようなしぐさをとっていた。
「君の話しはよくわかった。確かに君の判断通り監査部の関与は間違いないだろうし、あそこが公に人を動かしてまで介入したことで、彼らが何かを掴んでいることも想定できる。
そして君とマサル君がそれに足を突っ込んだことも。
よし、わたしの方で監査部と話しをつけよう。今回の件が何者かの我々に対する挑戦だと考えた場合、我々も手をこまねいている場合ではあるまい。
もしかすると、君とマサル君には移動してもらうことになるやもしれないが、覚悟しておいてほしい。」
相変わらず表情を変えずに淡々と話す局長の言葉にわたしは頷く。
「ではよろしくお願いいたします。」
そして、わたしは局長室を立ち去ったのだ。
しばらくしてわたしには移動辞令が、そしてマサル君には異世界管理局への正式採用の辞令が出たのだった。
<<マサル視点>>
人事課から正式採用辞令が届いた。
採用部署として書かれていたのは『異世界管理局 管理局長付調査室』という新設部署である。
「マサルさん、正式採用おめでとう。てっきり運営課に来るものだと思ってたのに、新設の部署なのね。
なんだか局長にマサルさんを盗られたみたいでくやしーーわ!」
「俺も知らなかったんですよ。
でも管理局の中だから一緒になることもありますよ。きっと。」
「おめでとうマサルさん。
同僚になれて嬉しいんだけど、これからは簡単にお願いできなくなりますね。」
「シール様、ありがとうございます。どんな仕事が待っているかわかりませんが気軽に声を掛けてもらえばと思います。」
「ところでマサルさん、本当にどんな仕事なのか聞いていないの?」
「ええ、人事課長からは正式採用の内示を貰っていたのは確かですが、その後何も話していないのです。」
「そうなんだ、実はねマサルさんが行くっていう新しい部署なんだけど、何をするための部署なのか、わたし達も聞かされていないのよね。」
「ポーラ様そうなんですか。まあ行って見れば分かると思うんですけどね。」
「あ、そうそう、シール聞いてる?人事課長も新しくなるらしいわよ。
あの課長、何か悪いことをして左遷されたのかな。」
「マリス君、わたしがどうしたって?」
「あっ、じ、人事課長....い、いらしたんですか。」
「マリス君、わたしにはそんなイメージがあるのかな。」
「ご、ごめんなさい。すいませんでした.......」
「マサル君、おめでとう。さあ一緒に調査室へ行こうか。」
「じ、人事課長、もしかして調査室の室長って....」
「ああ、ポーラ君、わたしがやることになったよ。じゃあまたな君達。」
俺は元人事課長の調査室長に連れられて、新しく新設された調査室に向かった。
異世界管理局ビルの最上階、局長室の隣に調査室の事務所はあった。
「さあ、ここがこれから働いてもらう仕事場になる。
とりあえず必要そうな物は揃えておいたから自由に使ってくれていいよ。」
「室長、有り難うございます。
ところで、この部署での仕事なんですが………」
ガチャ!
俺が仕事内容を確認しようとした時、奥の重厚な扉が開き、貫禄のある男性が入ってきた。
「局長! なるほどこちらの扉は局長室に繋がっているのでしたか。」
「いやあ、驚かせてすまんな。
ここを使って出入りした方がこれから都合が良さそうだからな。ハハハハ。」
突然現れた男性はここ異世界管理局の責任者である局長であった。
「おっ、気君が噂のマサル君だね。
よろしくたのむよ。」
「マサルです。よろしくお願いいたします。」
「そうだ、紹介しなくてはな。
君、こちらへ。」
局長室の扉を抜けてこちらに現れたのは…………
「マサルさん、お久しぶりですね。」
ユウコさんだった。
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