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第14章 そして神になった

【修学旅行1】

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<<女子中学生弥生視点>>



いったいここは何処なの?



目を開けて辺りを見渡すけど真っ暗で何も見えない。



さっきまで飲んでた炭酸ジュースが衝撃で顔にかかったのかな。



触ってみたら結構濡れてるし、ぬるぬるしてて少し粘ってる。



それに狭いし、少し臭い。ガソリンの匂いかなあ。



身体が何かに挟まって動けないんだよー。



凄く痛いってほどじゃないけど、足が痺れてきた。右腕も挟まってるみたいで動かない。



ちょっと息苦しいけど我慢できないことも無いし。



でも寒いなあ。なーんか力が抜けていく。



眠くなっちゃった。



ちょっと寝ようかな。






「……起……起き……起きて……」



誰かが起きなさいって。



起きなきゃ。



なんだか凄くいい匂い。



暖かいし、身体が軽いわ。



「起きて……起きて……」



もう少しだけ、もう少しだけ寝かせて欲しいの。もう少しだけでいいの。



「弥生、起きなさいってば!」



目を開けると、お日様が眩しい。



肩を揺すられたからそっちを見ると、祥子ちゃんがいた。



「祥子ちゃん、おはよ。」



「おはよじゃない。こんなとこで熟睡するんじゃないわよ。まったく。」



呆れたような祥子ちゃんの顔を見たら少し安心。



顔を濡らしてたモノも失くなっているし、身体も自由に動くみたい。



身体を起こすとクラスメイトのみんながいた。



裕子ちゃんも康子ちゃんもわたしを心配して走って来てくれた。



「大丈夫?弥生ちゃん。突然倒れちゃったから心配しちゃったよ。」



「聞いてよ裕子ちゃん。弥生ったらね寝てたのよ、気持ち良さそうに。



心配して損したよ。」



祥子ちゃんごめんね。心配かけちゃったね。



「さあ、そろそろ集合の時間だよ。行こうよ。」



「「「うん!」」」



4人で集合場所に向かう。



バスが待っていて扉の前でバスガイドのお姉さんが笑顔で立ってる。



わたし達が最初みたい。



「楽しかった?」



バスに乗り込むとバスガイドさんが、話しかけてきた。



「楽しかったのですけど、途中で眠むっちゃったみたい。変な夢見ちゃったけどね。」



夢の話しをしようかと思ったけど、男の子達が戻ってきたみたいで、バスガイドさん外に出ちゃった。



あんまり気持ちの良い話しじゃないから話さなくて良かったかも。




祥子ちゃん達とお喋りに夢中で気付かなかったけど、全員バスに戻ってきたみたいで、バスが発車した。



次の目的地は…



あれ、外が真っ白になったよ。

深い霧の中にいるみたい。



「弥生、弥生ってば!」



霧が晴れたら隣の祥子ちゃんが心配そうにこっちを見てる。



「もおー、心配するじゃない。



話してる最中に突然寝ちゃうんだから。」



また寝ちゃったみたい。お眠病かしらね。



「ごめんね。寝てたわけじゃないんだけど目の前が真っ白になっちゃって。」



「ホント、大丈夫?帰ったら病院行きなよ。ねっ。」



うん。



「動物園に着きましたよ。集合時間は4時ですからね。忘れないように戻って来るのよーー!」



「ハーーイ」



先生のいつもの大きな声。



男の子達は返事が終わらないうちに走って行っちゃった。



わたし達仲良し4人組も手を繋いで近くの檻に向かって走って行った。




<<マサル視点>>



昨日、人事課長から連絡がきた。

新たに召喚した人達がこちらに来るタイミングで次元地震に遭って次元の狭間に落ちたらしいのだ。



追跡した結果、彼らの元の世界のパラレルワールドに着いたという。




---

次元地震とは、交差するたくさんの次元が互いに衝突や干渉しあった時に強い摩擦が生じて起こる現象で、次元が混ざって一時的に別次元が繋がってしまう現象のことをいう。



次元の繋がりは非常に不安定でほんの一瞬のこともあれば、長期にわたって繋がっていることもある。



不可思議な失踪や特定の海域で飛行機や船が消えてしまうということが様々な世界で報告されているが、これも大半が次元地震が原因だと言われている。



ただ、次元地震が発生したからと言ってすぐにその影響があるわけでは無い。



何らかの原因により不安定な状況が発生し、それが次元地震と重なった場合に次元の狭間に落ちてしまうとされている。

---




今回は召喚が不安定な状態を作ってしまったようだ。



俺も異世界管理局の職員研修で教わったんだけど、この現象は極まれに起こるらしい。



全く違う世界に落ちた場合はその世界が異物判定して強制的に排除してしまうことが多いんだけど、今回は移動前と移動後の世界が非常に似た環境の為、その世界も落ちた彼らもおそらく気付いていないのだろう。



今回人事課長からの依頼についてなんだが、次元の狭間に落ちた彼らを予定していた世界に連れて行って欲しいということだ。



本来であれば人事課員が行って行う業務であるのだが、次元の狭間の一部は異世界管理局の者が入れないらしく、この狭間と同様の環境で生まれた俺が選ばれたわけだ。


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