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第14章 そして神になった
【売れっ子ラノベ作家になりたい6】
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<<ヒルガ侯爵視点>>
あのノブナガとかいう謎多き男が軍功一番か。
ちと不味いな。たしかにあの男のこの度の戦術は見事であった。
だからこそ奴の戦術を失敗させるように間者をスタビアヌスに入れて密告させたのに。
スタビアヌスの奴ら、信じなかったということか。
軍務卿の座を穏健派のシーザーから奪い、儂が軍務卿になれば軍事費を大幅に増額してスタビアヌスを一蹴してやるのに。
スタビアヌスさえ抑えてしまえば、この大陸は我が国のものとなり、不平等条約を無理矢理にのませてやるのに。
そうなれば、外交取り引きの大半を押さえている我が家に莫大な利益をもたらすことになるだろう。
そうなれば、王家を乗っ取ることも不可能ではあるまい。
その為には、なんとしてもノブナガを我が派閥に引き込みシーザーの奴を蹴落としてやらねば。
<<ノブナガ視点>>
あのシロウという男が第5位武功だという。
軍務卿であるシーザー伯爵とシルベスト将軍が推薦したという。
結局、戦勝会では儂も彼も様々な貴族に捕まり、シロウとは話す機会が得られなかった。
まあ、あのふたりが後ろ楯であるのなら今後いくらでも会う機会があるだろう。
そしてシロウと話す機会はすぐにやってきた。
戦勝会から3日後、王城で今後の軍の動きをどうしていくかという戦略会議が行われた。
参加者は王、軍務郷のシーザー伯爵、シルベスト将軍、外務卿のヒルガ侯爵、内務卿のヤリス公爵、そして軍師である儂の6人である。
大まかな構図としては軍務郷、将軍は穏健派であり専守防衛を基本とし、今は国力を強化すべきだと主張。
外務卿は今回の勝利を機にスタビアヌスへの侵攻を行い、不平等条約を結ぶことで相手の力を削ぎ、自国の国力を高めることを主張。
内務卿はどちらかと言えば前者よりではあるが、機会を逃すべきではないかもという中途半端な立ち位置であった。
「ノブナガ殿、ソチはどう考える。」
「攻めるにはそれなりの準備が必要。特にスタビアヌスは東西に長く首都は東の端になり、西側にあるこの国から首都進攻を望めば長い兵站とその維持期間が必要となる。
であれば、機を見るのも必要ではあるが、まずは国力を高めることが必須であろうと信ずる。」
「なるほど、さすがは軍師殿。確かに今回の戦については我が国との国境線で行われたもので、スタビアヌスから見れば辺境での小さな戦に敗れたに過ぎない。
こちらから向こうに攻めようとすると今回のようにはいくまいな。
わかった、ここ数年は防衛に力を入れて国力を高めることとする。」
「しかし王...「ヒルガ、もう決まったことだ。お前も外交上で少しでも有利に対話を進め、走るところは走る、引くところは引くの駆け引きに全力を尽くせよ。」」
なおも食い下がろうとするヒルガ侯爵を手で制し、王は次の議題へと入る。
「ところで軍師殿、我が軍の良きところ悪しきところを分析してくれたか?」
「いかにも。士気は高く、装備、組織どれをとっても及第点ではありましょう。
ただ、惜しむらくは常時の訓練方法にあるかと。」
「ほう、訓練方法に問題があると。」
将軍の厳しい眼差しが向けられるが、そんなものはいかほどでもない。
「いかにも。近接戦についての訓練については及第かと。ただ遠距離戦になった場合の兵站訓練や兵站と前線の連携訓練など、未熟であると感じるのだが。」
「たしかにここ何年も防衛戦を中心としてきたので、近接戦に重きを置いているのは確かだが。
だが、今後も防衛戦を主軸にすると決まったばかりではなかったかな。」
「いかにも。専守防衛は敵国に対して国力が劣る場合の定石であるからにして近接戦を強化するのは間違ってはおらぬ。
だが、近接戦ばかりで勝ち戦で追撃戦をせねば、いづれ足元を見られよう。
相手が追跡戦を警戒するレベルまでは追撃することも必定なり。」
「なるほど、ノブナガの言う通りじゃ。責められるのを守るだけでは、向こうの都合に合わせて責められることも多かろうて。
ある程度の追撃も交えることで合戦の回数も減らせるやもしれんな。」
「たしかに、王とノブナガ殿のおっしゃることも一理ありますな。
将軍、ここはひとつノブナガ殿に長期戦の指南を受けられては如何ですかな。
外務卿殿、対スタビアヌス外交上手くお願いいたします。」
シーザー伯爵の機転のきいた取り直しで少し険悪になりかけた雰囲気も丸く収まりそうだ。やはり彼は味方に付けておく必要があるな。
「では本日の会議は終了する。皆ご苦労だった。」
王を筆頭に皆が退出する。
「軍師殿、さすがは見るべきところを見ておられるな。
専守防衛だけではこちらも責められ、領地を荒らされる分、収穫量も落ちてしまい、その穴埋めに国庫を流用するしかない。
適度な侵攻はその愁いを減らすでしょうな。
ところで、軍師殿はシロウをどう思われますか。今はわたしがシロウ殿の後見をしております。
見るところ、彼も軍師同様に特別な知識と力量を持っている様子。
一度お会いになられませんか。」
「我もシロウ殿については興味を持っておる。是非お会いしたいと思う。」
願ってもない機会だな。
あのノブナガとかいう謎多き男が軍功一番か。
ちと不味いな。たしかにあの男のこの度の戦術は見事であった。
だからこそ奴の戦術を失敗させるように間者をスタビアヌスに入れて密告させたのに。
スタビアヌスの奴ら、信じなかったということか。
軍務卿の座を穏健派のシーザーから奪い、儂が軍務卿になれば軍事費を大幅に増額してスタビアヌスを一蹴してやるのに。
スタビアヌスさえ抑えてしまえば、この大陸は我が国のものとなり、不平等条約を無理矢理にのませてやるのに。
そうなれば、外交取り引きの大半を押さえている我が家に莫大な利益をもたらすことになるだろう。
そうなれば、王家を乗っ取ることも不可能ではあるまい。
その為には、なんとしてもノブナガを我が派閥に引き込みシーザーの奴を蹴落としてやらねば。
<<ノブナガ視点>>
あのシロウという男が第5位武功だという。
軍務卿であるシーザー伯爵とシルベスト将軍が推薦したという。
結局、戦勝会では儂も彼も様々な貴族に捕まり、シロウとは話す機会が得られなかった。
まあ、あのふたりが後ろ楯であるのなら今後いくらでも会う機会があるだろう。
そしてシロウと話す機会はすぐにやってきた。
戦勝会から3日後、王城で今後の軍の動きをどうしていくかという戦略会議が行われた。
参加者は王、軍務郷のシーザー伯爵、シルベスト将軍、外務卿のヒルガ侯爵、内務卿のヤリス公爵、そして軍師である儂の6人である。
大まかな構図としては軍務郷、将軍は穏健派であり専守防衛を基本とし、今は国力を強化すべきだと主張。
外務卿は今回の勝利を機にスタビアヌスへの侵攻を行い、不平等条約を結ぶことで相手の力を削ぎ、自国の国力を高めることを主張。
内務卿はどちらかと言えば前者よりではあるが、機会を逃すべきではないかもという中途半端な立ち位置であった。
「ノブナガ殿、ソチはどう考える。」
「攻めるにはそれなりの準備が必要。特にスタビアヌスは東西に長く首都は東の端になり、西側にあるこの国から首都進攻を望めば長い兵站とその維持期間が必要となる。
であれば、機を見るのも必要ではあるが、まずは国力を高めることが必須であろうと信ずる。」
「なるほど、さすがは軍師殿。確かに今回の戦については我が国との国境線で行われたもので、スタビアヌスから見れば辺境での小さな戦に敗れたに過ぎない。
こちらから向こうに攻めようとすると今回のようにはいくまいな。
わかった、ここ数年は防衛に力を入れて国力を高めることとする。」
「しかし王...「ヒルガ、もう決まったことだ。お前も外交上で少しでも有利に対話を進め、走るところは走る、引くところは引くの駆け引きに全力を尽くせよ。」」
なおも食い下がろうとするヒルガ侯爵を手で制し、王は次の議題へと入る。
「ところで軍師殿、我が軍の良きところ悪しきところを分析してくれたか?」
「いかにも。士気は高く、装備、組織どれをとっても及第点ではありましょう。
ただ、惜しむらくは常時の訓練方法にあるかと。」
「ほう、訓練方法に問題があると。」
将軍の厳しい眼差しが向けられるが、そんなものはいかほどでもない。
「いかにも。近接戦についての訓練については及第かと。ただ遠距離戦になった場合の兵站訓練や兵站と前線の連携訓練など、未熟であると感じるのだが。」
「たしかにここ何年も防衛戦を中心としてきたので、近接戦に重きを置いているのは確かだが。
だが、今後も防衛戦を主軸にすると決まったばかりではなかったかな。」
「いかにも。専守防衛は敵国に対して国力が劣る場合の定石であるからにして近接戦を強化するのは間違ってはおらぬ。
だが、近接戦ばかりで勝ち戦で追撃戦をせねば、いづれ足元を見られよう。
相手が追跡戦を警戒するレベルまでは追撃することも必定なり。」
「なるほど、ノブナガの言う通りじゃ。責められるのを守るだけでは、向こうの都合に合わせて責められることも多かろうて。
ある程度の追撃も交えることで合戦の回数も減らせるやもしれんな。」
「たしかに、王とノブナガ殿のおっしゃることも一理ありますな。
将軍、ここはひとつノブナガ殿に長期戦の指南を受けられては如何ですかな。
外務卿殿、対スタビアヌス外交上手くお願いいたします。」
シーザー伯爵の機転のきいた取り直しで少し険悪になりかけた雰囲気も丸く収まりそうだ。やはり彼は味方に付けておく必要があるな。
「では本日の会議は終了する。皆ご苦労だった。」
王を筆頭に皆が退出する。
「軍師殿、さすがは見るべきところを見ておられるな。
専守防衛だけではこちらも責められ、領地を荒らされる分、収穫量も落ちてしまい、その穴埋めに国庫を流用するしかない。
適度な侵攻はその愁いを減らすでしょうな。
ところで、軍師殿はシロウをどう思われますか。今はわたしがシロウ殿の後見をしております。
見るところ、彼も軍師同様に特別な知識と力量を持っている様子。
一度お会いになられませんか。」
「我もシロウ殿については興味を持っておる。是非お会いしたいと思う。」
願ってもない機会だな。
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