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第14章 そして神になった

46【売れっ子ラノベ作家になりたい1】

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<<目の出ないラノベ作家史郎視点>>



川崎史郎28歳。



アルバイトを掛持ちしながら売れっ子ラノベ作家を夢見る好青年だ。



俺の書いた異世界物が出版され、その後アニメ化され、作家として生活出来るようになることが当面の目標だな。



しかしながら現実は厳しい。



もうすぐ投稿を始めてから10年にもなるのに、これまで出した小説5編の累計ページビューは2万くらいしかない。

投稿した最初に少し増えて、あとはだらだらって感じだな。



コンテストに出してもことごとく底辺を彷徨っているだけだし。





今日もコンビニのバイト終わりに廃棄予定の弁当ふたつを抱えてアパートに帰ってきた。



早朝から週2日の工事現場のバイトで汗だくになって、銭湯で汗を流してから2ヶ所目のコンビニが終わったのが夜の10時。



いつもこんなんじゃないんだけど、今日は特にキツかったかな。



まあ明日は深夜のコンビニシフトだけだし、これからラノベを書きますか。



一昨日みたいに寝落ちしないように気を付けなきゃ。





「史郎さん、史郎さん...」



「う、うん?」



「史郎さん、あ、気付かれましたね。わたし、異世界管理局のタケイナーと申します。お見知りおきを。」



「タケイナー.... さん?」



「ええ、タケイナーですよ。史郎さん、早朝から深夜までお仕事お疲れ様でしたね。



あんまり頑張りすぎちゃ死んじゃいますよ...って、もう死んじゃいましたけど。」



「えっ、死んじゃった?」



「ええ、そうですよ。あなた深夜に帰宅して疲れた身体で誰も読んでくれない携帯小説書いてましたよね。



その途中で頭の血管が切れて脳溢血です。



何でしょうか、食べ物が油物で偏ったんですかね。まあ独身貴族でしたから誰にも気づかれずにぽっくりと。



あっ、そうそう、コンビニの店長には”虫の知らせ”ってことで教えておきますね。



だってこの暑い最中、誰にも気付かれずにあなたの身体をこのまま放っておいたら匂いが大変なことになりますからね。」



「それはどうも、ご親切に.....ってあんた誰だ!」



「だから異世界管理局のタケイナーですってば。



まあ仕方ないことですけど、大体9割くらいの方があなたのような動揺具合ですから。



いいですか史郎さん、あなたはこの世界でさっきお亡くなりになりました。

それでわたしがスカウトに来たわけです。



率直にお聞きします。あなたは異世界に行きたいですか?それともあの世に行きたいですか?」



「異世界に行きたいです。」



「よろしい。即答は大好きです。ではわたしがあなたを異世界にお連れ致します。



さて、それではご希望をお伺いいたします。



まずどんな異世界に行きたいか。1、剣と冒険のデンジャラス世界。2、発展途上の文明未発達世界。3、戦国乱世で世界統一を目指している立身出世世界。



さあどれが良いですか?」



「うーーーん、冒険者で魔物退治と生産チートで文明創造、戦国無双の3っつかーーー。



俺としては実際に主人公になるよりもそいつらの横で観察しながらそれを物語に書きたいかな。」



「なるほど、なかなか珍しい選択肢ですね。それなら信長さんはどうですか?」



「信長?あの戦国時代の織田信長?」



「ええ、その信長さんですよ。彼は今いろんな異世界で世界統一をしてくれています。

彼の物語だったら面白いんじゃないかと。

こちらの世界では長い間英雄として有名ですからね。」



「織田信長って異世界にいるんだ。」



「そうですよ。本能寺でしたっけ。あそこで死んだことになっているんですけどね、実際には異世界にお連れしました。



あの時は信長さんが自分の身体をそのまま持って行きたいと駄々を捏ねたんで、身体ごと転移させましたけど。



だから、あの現場から遺体は出なかったでしょ。そう習いませんでした?」



わけわからんけど、事実を整理すると、いやタケイナーの言うことを整理すると、こんな感じか。

①俺は死んだ。

②異世界に誘われている。

③織田信長は異世界にいる。

④織田信長の近くで彼の無双を小説にできる。



「④でお願いします。」



「よん?ああ、今自身で考えていたことの4番目”織田信長の近くで彼の無双を小説にできる。”のことですね。



分かりました。でしたら今信長さんがいる世界へ転移してもらいますね。転生じゃ成長するまでに信長さんが次の世界に移っちゃうかもしれないですからね。



では....」



「ちょっ、ちょっと、待って!!」



「はい、何でしょう?」



「チートはもらえないのですか、なにか凄い能力とか?」



「チート?あーあなた達が小説で書いている主人公のバカみたいな特殊能力のことですか。



あげられなくないんですけど、ちょっと問題が多くて。

まあ向こうの担当者が何かくれると思いますから、聞いてみて下さい。



今から向こうの担当者の所へ送りますね。



じゃあお元気で。良い異世界ライフを。」



身体がふわーっとなったと思ったら、目の前が真っ白になった。
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