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第14章 そして神になった

23【昇級試験ラプソディー2】

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<<マサル視点>>



「相談にのってほしいんだよ。」



人事課長が、一旦話しを止めて、じっと俺を見る。



そしてニコッと笑い話しを続けた。



「実はね、この異世界管理局には公安課という部署があるんだよ。



公安課というのはね、まあ簡単に言うと警察みたいなものかな。



管理局内で働く様々な者が不正行為をしないか監視、監査していて、もし不正行為を見付けたら証拠を抑えて監査部に報告するのが主な仕事になるんだよ。



署員を監視、監査するんだからね、当然清廉な上に厳正な試験に合格した者だけがその任に着ける。



実はね、その試験に問題が起こっているんだ。



君の活躍によって、これまでも十分に難しかった選考基準が更に高くなってしまったのだよ。



実技試験で問題のある世界に行ってその問題の根本的な原因を指摘するんだけど、君が召還者達に適切なアドバイスをしてくれているおかげで問題のある世界が激減しているんだ。



仮に問題解決あったとしても、簡単には見抜けないものばかりだしね。



局全体からみれば、好ましい状態なんだけど、公安課の若手が恐々としているんだよ。



この試験は3回しか受験資格を与えられ無いから、もし3回共不合格だったら、定年まで事務職をすることになる。



まあ、彼等の言うところの冷飯食いだね。」



人事課長はひとつため息をつくと、俺を見てまたニコリと微笑む。



「そこでだ、公安課の進級試験を変えたいと思っているんだよ。



ついては異世界の動向に詳しい君の意見を聞きたくて来てもらった次第なんだ。



どうかね、協力して貰えないだろうか?」



俺に否応もない。



「ええ、わたしに協力できる範囲であれば喜んで。」



「それは助かる。ありがとう。



では先ず、よく来る相談を教えてくれないか?」



俺は講義で使う参考資料を取り出し人事課長に手渡した。



「これは講義する時にわたしが参考資料にしているものの一部です。



最近増えているのは、運営課の皆さんと召還者の意識の違いですね。



運営課の皆さんは、これまでの事例をベースにより良い成果を求められる傾向があります。



彼等は様々な資料を調べてよく知っておられるからそうなるんでしょうが、召還者達は、突然呼び出されてその実現を強要されるわけですからね。



前提知識を持っていないのですから、ギャップがあって当然です。」



「ほう、なるほどな。確かに君が手を育てた世界なんかを求められたら召還者にはたまったモンじゃないな。」



ふむふむとメモをとりながら次を促してくる。



「次は召還者の年齢です。



召還者の選考基準が、死亡時点で転移転生を望む者と聞いています。



その基準だと、大半が学生、それも15歳以下の小中学生になってしまいます。



彼等には社会経験などほとんどありませんからね。



なおさらギャップは大きいですね。



そして彼等の大半はラノベの知識をベースにしますから、途中経過が無いんです。魔法でポンがラノベの基本ですから。」



人事課長は魔法でポンの所に驚いている。



「なるほど、ところでわたしの勉強不足で申し訳ないがそのラノベ?とかいうものについて教えてくれんか。」



「ラノベとは、地球の日本という国、わたしの故郷でもありますが、そこで主に小中学生でよく読まれている小説やそれを元にしたアニメつまり動画の総称ですね。



様々な形態がありますが概ね魔法をもらった一般人がそのチートな能力で無双するのが中心です。



魔法を使えば難事もスパッと解決して皆んなハッピーってのが多いですね。」



「そうか...そんなのばかりを読んでいる社会経験の無い子供が召喚されたら、確かに難しそうだ。」



「ええ、ラノベはあまり難しく考えなくてもサクッと読めるから、大人のストレス解消に使われているケースも多々あります。



わたしの講義に来て真剣に聞いておられるのは人生経験の豊富な方が多いですね。



彼等はそれぞれの星に行っても上手く立ち回っていると聞きます。



進捗を連絡してこられる方も多いですから、後々のアドバイスもし易いですし、わたしも勉強になることが多々あります。」



「そうか、そういう者達を集めると効率がいいのだな。」



「効率だけでいうとそうですね。ただ絶対数は少ないです。



現実を良く知っていますから、異世界での苦労を選ぶより元の世界での転生を選ばれる方の方が圧倒的に多いって聞いたことがあります。」



「なるほどな。まあ子供が少し失敗するくらいであれば、それは運営課の範疇で処理する内容でもあるし、失敗してもマサル君のアドバイスで立て直せれば、公安課の出る幕はなさそうだ。



それであれば、公安課の仕事自体が減っているということだな。」



「確かに減っているのではないかと思います。

そこで、わたしに提案があります。」
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