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第14章 そして神になった
8【とある星の再生4】
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<<村長視点>>
息子のムーアに案内されたのは、まさしく村だった。
わたし達が暮らしている村がそこにあった。
いや、それは正しくない。何故なら今家にいるはずの女房もいないし、家畜の臭いもしない。
まるで誰も居なくなったばかりの光景のようだ。
「誰も居なくなった。」
わたしの呟きを聞いた息子が鼻で笑う。
「あたりまえだよ、これはケンジが作った俺達の村そっくりの村なんだから。」
「そうです、皆さんの村をこのビルに再現しました。
そうだ、ちょっとこちらへ。
ここから皆さんの村が見えますよ。」
ケンジ君に促され、まぶしい光が差し込む場所へと移動する。
何か透明の板、これは入るときに見た鏡と同じものなのか。
「さあ、下を見て下さい。」
恐る恐る下を見ると小さな点が幾つか見える。
あれは何だろう?と思っていると、横にいた狩人のジムルが驚きの声を上げた。
あれは俺達の村だ!!と。
「と、いうわけでここには水も豊富にありますし、激しい太陽の光も遮って年中快適に過ごせるエアコンも完備です。
盗賊もここにはやって来れませんよ。
畑とかは外になりますが、家畜は別のフロアで放牧出来るようにしましょう。」
夢の中にいるようだ。
ケンジ君の話しを全て理解出来たわけではないが、日照り続きで熱く乾ききった肌がここの快適さを証明してくれている。
はじめに行ったところには水も豊富に有ったし、なんだかここが天国のようにも思えた。
「これをどうぞ。」
ケンジ君が差し出したのは鏡で出来たコップ。
「「「冷たい!!」」」
促され口をつけたそれには真冬の氷水が入っていた。
翌日、全村人を連れて新しい村にやってきた。
わたし達の説明に半信半疑だった年寄り達も、ここに来て腰を抜かす程喜んでいるようだ。
「皆、自分の家を確認するのだ。」
村人達にそう促すと、それぞれの家に散らばって行く。
わたしも自分の家に入る。
既に女房と子供達は中におり、やれ綺麗になっただの少し広くなっただの、元の家から持って来る物はあれで、新しく揃える物はこれ、とわたしがあれ程悩んだというのに、既にここでの生活を受け入れているようだ。
それからしばらくの間は引っ越しやら足りないものを作ったりと村人皆で大騒ぎの日々を過ごす。
熱さが和らいだせいか、年寄り連中も元気を取り戻しつつあるようで、久しぶりに村に活気が戻ってきた。
ただ何もかもが順調なわけでは無い。
たしかビルとか言ったか、この村がある大きな建物の外にある耕作地は依然と日照りの影響を受けており、食料の備蓄も心もとない。
「村長さん、畑とかもこの中に作りましょうか?たしか前にテレビで植物工場っていうのを見たことがあるんですよね。
ビルの中でライトを当てて植物を作るやつ。試しにやってみたいと思うんです。」
ケンジ君の言っていることがさっぱり分からん。
ただ、この中で畑が出来るということだけはなんとなく分かったが。
ケンジ君はひとりでブツブツ言いながらフラッとどこかに行ってしまった。
2時間後、戻ってきたケンジ君に連れられて別の階?へ。
そこには大きな畑?いや大きな棚が数段と、そこに当たるように調整された無数の明かりがあった。
棚の中には水が潤沢に満たされており、どうやら少しづつ流れているらしい。
流れた水で減った分は、きれいな水が同量で補充されるようで、いつも同じだけの量を湛えている。
「水には肥料も入れてありますし、ここに種を植えれば作物が育つはずですよ。」
半信半疑ではあるが、外の乾ききった砂の畑にわずかに収穫した作物の種を植えても育つまい。
ここはケンジ君の言葉を信じてみるしかあるまい。
植えるのを待つ種をいくつか持ってこさせ、棚に置いてみる。
土があるわけでもないし、元々水を湛えているところに置くのだから水を撒くことも無い。
ただそこに置くだけ。
信じられない気持ちでいっぱいだが、ケンジ君が起こす奇跡を信じる。
もしこれで失敗すれば...とは無理に考えないようにした。
3日後、驚くべきことに種は芽吹いた。
それからは驚くことの連続だ。
根が伸び始め、白い綿を貫くようになるとぐんぐん水を吸い込んでいるように伸びていく。
光を十分に与えられた芽は2葉となり、やがて上に伸びていくつもの葉をつけ始めた。
もう疑う余地もない。
その野菜は見る見るうちに大きくなり、雨季が多かった3年前よりも早く、大きく成長していく。
そして、通常では考えられない速度で収穫の時を迎えた。
外に植えてある野菜は未だ収穫には程遠いというのに。
我々は外の畑で収穫を終えるたびに室内に移すことにした。
気温も光の強さもいつも一定なので、本来なら季節に左右されるはずの野菜達がいつでも植えることが出来るからだ。
1度に栽培する量は減ったものの、塩漬けしたものではなく、新鮮なものをいつでも食べられるようになることだろう。
実際にそうなったのだから。
一部どうしても室内で栽培することが出来ない作物もあった。
ケンジ君は何とかしようと考えてくれているけれど、そこまでは望むまい。
土起こしも、水やりも、草引きも、害虫取りもする必要が無く、種を蒔いたら収穫するだけなんて村人を堕落させるだけだからな。
息子のムーアに案内されたのは、まさしく村だった。
わたし達が暮らしている村がそこにあった。
いや、それは正しくない。何故なら今家にいるはずの女房もいないし、家畜の臭いもしない。
まるで誰も居なくなったばかりの光景のようだ。
「誰も居なくなった。」
わたしの呟きを聞いた息子が鼻で笑う。
「あたりまえだよ、これはケンジが作った俺達の村そっくりの村なんだから。」
「そうです、皆さんの村をこのビルに再現しました。
そうだ、ちょっとこちらへ。
ここから皆さんの村が見えますよ。」
ケンジ君に促され、まぶしい光が差し込む場所へと移動する。
何か透明の板、これは入るときに見た鏡と同じものなのか。
「さあ、下を見て下さい。」
恐る恐る下を見ると小さな点が幾つか見える。
あれは何だろう?と思っていると、横にいた狩人のジムルが驚きの声を上げた。
あれは俺達の村だ!!と。
「と、いうわけでここには水も豊富にありますし、激しい太陽の光も遮って年中快適に過ごせるエアコンも完備です。
盗賊もここにはやって来れませんよ。
畑とかは外になりますが、家畜は別のフロアで放牧出来るようにしましょう。」
夢の中にいるようだ。
ケンジ君の話しを全て理解出来たわけではないが、日照り続きで熱く乾ききった肌がここの快適さを証明してくれている。
はじめに行ったところには水も豊富に有ったし、なんだかここが天国のようにも思えた。
「これをどうぞ。」
ケンジ君が差し出したのは鏡で出来たコップ。
「「「冷たい!!」」」
促され口をつけたそれには真冬の氷水が入っていた。
翌日、全村人を連れて新しい村にやってきた。
わたし達の説明に半信半疑だった年寄り達も、ここに来て腰を抜かす程喜んでいるようだ。
「皆、自分の家を確認するのだ。」
村人達にそう促すと、それぞれの家に散らばって行く。
わたしも自分の家に入る。
既に女房と子供達は中におり、やれ綺麗になっただの少し広くなっただの、元の家から持って来る物はあれで、新しく揃える物はこれ、とわたしがあれ程悩んだというのに、既にここでの生活を受け入れているようだ。
それからしばらくの間は引っ越しやら足りないものを作ったりと村人皆で大騒ぎの日々を過ごす。
熱さが和らいだせいか、年寄り連中も元気を取り戻しつつあるようで、久しぶりに村に活気が戻ってきた。
ただ何もかもが順調なわけでは無い。
たしかビルとか言ったか、この村がある大きな建物の外にある耕作地は依然と日照りの影響を受けており、食料の備蓄も心もとない。
「村長さん、畑とかもこの中に作りましょうか?たしか前にテレビで植物工場っていうのを見たことがあるんですよね。
ビルの中でライトを当てて植物を作るやつ。試しにやってみたいと思うんです。」
ケンジ君の言っていることがさっぱり分からん。
ただ、この中で畑が出来るということだけはなんとなく分かったが。
ケンジ君はひとりでブツブツ言いながらフラッとどこかに行ってしまった。
2時間後、戻ってきたケンジ君に連れられて別の階?へ。
そこには大きな畑?いや大きな棚が数段と、そこに当たるように調整された無数の明かりがあった。
棚の中には水が潤沢に満たされており、どうやら少しづつ流れているらしい。
流れた水で減った分は、きれいな水が同量で補充されるようで、いつも同じだけの量を湛えている。
「水には肥料も入れてありますし、ここに種を植えれば作物が育つはずですよ。」
半信半疑ではあるが、外の乾ききった砂の畑にわずかに収穫した作物の種を植えても育つまい。
ここはケンジ君の言葉を信じてみるしかあるまい。
植えるのを待つ種をいくつか持ってこさせ、棚に置いてみる。
土があるわけでもないし、元々水を湛えているところに置くのだから水を撒くことも無い。
ただそこに置くだけ。
信じられない気持ちでいっぱいだが、ケンジ君が起こす奇跡を信じる。
もしこれで失敗すれば...とは無理に考えないようにした。
3日後、驚くべきことに種は芽吹いた。
それからは驚くことの連続だ。
根が伸び始め、白い綿を貫くようになるとぐんぐん水を吸い込んでいるように伸びていく。
光を十分に与えられた芽は2葉となり、やがて上に伸びていくつもの葉をつけ始めた。
もう疑う余地もない。
その野菜は見る見るうちに大きくなり、雨季が多かった3年前よりも早く、大きく成長していく。
そして、通常では考えられない速度で収穫の時を迎えた。
外に植えてある野菜は未だ収穫には程遠いというのに。
我々は外の畑で収穫を終えるたびに室内に移すことにした。
気温も光の強さもいつも一定なので、本来なら季節に左右されるはずの野菜達がいつでも植えることが出来るからだ。
1度に栽培する量は減ったものの、塩漬けしたものではなく、新鮮なものをいつでも食べられるようになることだろう。
実際にそうなったのだから。
一部どうしても室内で栽培することが出来ない作物もあった。
ケンジ君は何とかしようと考えてくれているけれど、そこまでは望むまい。
土起こしも、水やりも、草引きも、害虫取りもする必要が無く、種を蒔いたら収穫するだけなんて村人を堕落させるだけだからな。
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