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第11章 ランスの恋
4 【セラフ再び】
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<<ランス視点>>
花見でセラフに会ってから、数週間が経った。
また会えるかもと思って、時間があれば、あの桜の木に行っている。
今日も淡い期待をしながら、桜の木を見に行く。
「やっぱり今日もいないか。
そりゃそうだよね。」
桜の木はまだ満開で、今も花見客でいっぱいだ。
桜の木の下まで来て、そのまま振り返って家に帰ろうとしたら、後ろから声を掛けられた。
「ランス…君?」
振り向くと、そこにセラフがいた。
「やあ、セラフ久しぶり。元気だった?」
「ランス君も元気そう。」
「マリス様の許可がもらえたの?」
「そう、この世界で仕事を頼まれたの。」
「じゃあ、しばらくいられるんだ。」
「うん。」
「だったら僕の家においでよ。
セラフの姿は、妹のイリヤにも見えていたんだよ。」
「わたし、探さなきゃいけないの。」
「何を?」
「竜と虎。」
「それって、セイルとハリー?」
「えっ、どうしてランスが知ってるの。」
「ああ、ふたり共僕の家にいるんだ。」
「…………」
「とりあえず、僕の家に行こうか。」
「………はい。」
ふたりで家に向かう。
セラフがこちらの世界に来た理由なんかを話しながらメイン通りを歩く。
道行く人が不思議そうな顔をして、こちらを見ている。
あっそうか、皆んなからはセラフが見えないから、僕がひとりで話しているように見えるんだ。
家のすぐ近くまで来て気が付いた。
しようがないよね。
家に着くと、奥からセイルが出てきた。
「ランス、今日は何をして遊ぶのじゃ。
オセロか、それとも……
お、お前、セラフじゃないか。
どうしてお前がここにいるんだ。」
「セイル、久しぶり。マリス様からあなたとハリーのお目付役として頼まれた。」
「お目付役って!?」
「ハリーと一緒に問題を起こさないように。」
「そんなことせんわ!」
「5000年前………」
「うぐっ!未だ幼い頃の話しなのじゃ。」
セイル、心当たりがあるようだ。
目が泳いでいる。
「とにかく、マリス様の命令。
あなたとハリーの監視を行う。」
「セイル、遅いではない………か。
セ、セラフ!
ひ、久しぶりだな。」
「ハリー、久しぶり。」
「どうしてお前がここにいるのだ?」
「あなた達が人間の世界に現れたので、マリス様にあなた達の監視を頼まれた。」
セイルとハリーも知り合いなんだ。
慌てているセイルとハリーをその場において、セラフを連れてリビングに移動する。
「お兄ちゃん、お帰りなさい。
あっ、こんにちは。
お兄ちゃん、お友達?
あっ、あの桜の木の下にいた人ね。
確かセラフさん。」
「この子が妹のイリヤ。
僕と一緒で、君の姿が見えるんだよ。
イリヤ、セラフって、マリス様からの仕事で、しばらくこっちにいるんだって。」
僕はそう言ってお父様が座っているソファーへ行った。
「ランス、お帰り。
うん?マリス様の気配がするな。」
「お父様、ただ今戻りました。
お父様には気配だけか。
お父様、実は僕の横にマリス様のところで働いている女の子がいるんだよ。
僕とイリヤにしか見えないみたいだけどね。」
「ランス君、この方はマサル様ですよね?」
「そうだよ。僕達のお父様。」
「マサル様、失礼致しました。
マリス様にお仕えしています、セラフです。」
「おお、あなたが今ランスが言っていたセラフ様ですか。」
どうやらお父様にも見えるように、なったみたい。
「マサルさん、 あら、いらっしゃいませ。
ランス、お友達?」
お母様にも見えるみたいだ。
「ランス君、人間にも見えるように可視化したから。」
「お母様、こちらセラフ。
マリス様のところで働いているんだって。
マリス様からの仕事で、しばらくこちらの世界にいるんだって。」
「まぁ、マリス様の使徒様でしょうか。」
そんなやり取りをしていたら、マリス様がいつの間にか、来ておられた。
「マサルさん、リザベートさん、久しぶりですね。
そこにいるセラフは、セイルとハリーの監視役にそちらに行かせたの。」
「「マリス様、ご無沙汰しております」」
いつの間にか、セイルとハリーも来ていた。
「ふたり共、久しぶりね。
元気だったみたいね。
そちらにセラフを送ったから、言うことを良く聞くのよ。
間違っても喧嘩して、街を壊さないようにね。」
「マリス様、我はもうあの頃のように幼くはないから、大丈夫なのじゃ。」
「我も大人になった、セイルと一緒にされたくない。」
「なんだと、ハリー!」
「ほら、そういうところが心配なのよ。
とにかく、セラフとマサルさん達の言うことをよく聞いて、人間の世界を楽しんで頂戴。
セラフ、あなたも人間の世界は久しぶりでしょ。
ゆっくり楽しんだら良いわ。
何か美味しいものを見つけたら、こちらにも送ってね。
ランス君、イリヤちゃん、仲良くしてあげてね。
マサルさん、リザベートさん、よろしくね。
じゃあ。」
そう言って、マリス様は消えてしまった。
「セラフ様。」
「セラフで良い。見た目は子供だから、様付けはおかしい。」
「じゃあ、セラフちゃんって呼ばれて頂きますね。」
「うん、それで良い。」
「じゃあ、セラフちゃん。
我が家にようこそ。
自分の家だと思って、楽にしてね。」
「ありがとうございます。
よろしくお願いいます。
マサル様、リザベート様。」
「よし、家の皆んなを紹介するよ。
今日はセラフちゃんの歓迎会をしよう。」
こうして、僕達の家族にセラフちゃんが加わったんだ。
花見でセラフに会ってから、数週間が経った。
また会えるかもと思って、時間があれば、あの桜の木に行っている。
今日も淡い期待をしながら、桜の木を見に行く。
「やっぱり今日もいないか。
そりゃそうだよね。」
桜の木はまだ満開で、今も花見客でいっぱいだ。
桜の木の下まで来て、そのまま振り返って家に帰ろうとしたら、後ろから声を掛けられた。
「ランス…君?」
振り向くと、そこにセラフがいた。
「やあ、セラフ久しぶり。元気だった?」
「ランス君も元気そう。」
「マリス様の許可がもらえたの?」
「そう、この世界で仕事を頼まれたの。」
「じゃあ、しばらくいられるんだ。」
「うん。」
「だったら僕の家においでよ。
セラフの姿は、妹のイリヤにも見えていたんだよ。」
「わたし、探さなきゃいけないの。」
「何を?」
「竜と虎。」
「それって、セイルとハリー?」
「えっ、どうしてランスが知ってるの。」
「ああ、ふたり共僕の家にいるんだ。」
「…………」
「とりあえず、僕の家に行こうか。」
「………はい。」
ふたりで家に向かう。
セラフがこちらの世界に来た理由なんかを話しながらメイン通りを歩く。
道行く人が不思議そうな顔をして、こちらを見ている。
あっそうか、皆んなからはセラフが見えないから、僕がひとりで話しているように見えるんだ。
家のすぐ近くまで来て気が付いた。
しようがないよね。
家に着くと、奥からセイルが出てきた。
「ランス、今日は何をして遊ぶのじゃ。
オセロか、それとも……
お、お前、セラフじゃないか。
どうしてお前がここにいるんだ。」
「セイル、久しぶり。マリス様からあなたとハリーのお目付役として頼まれた。」
「お目付役って!?」
「ハリーと一緒に問題を起こさないように。」
「そんなことせんわ!」
「5000年前………」
「うぐっ!未だ幼い頃の話しなのじゃ。」
セイル、心当たりがあるようだ。
目が泳いでいる。
「とにかく、マリス様の命令。
あなたとハリーの監視を行う。」
「セイル、遅いではない………か。
セ、セラフ!
ひ、久しぶりだな。」
「ハリー、久しぶり。」
「どうしてお前がここにいるのだ?」
「あなた達が人間の世界に現れたので、マリス様にあなた達の監視を頼まれた。」
セイルとハリーも知り合いなんだ。
慌てているセイルとハリーをその場において、セラフを連れてリビングに移動する。
「お兄ちゃん、お帰りなさい。
あっ、こんにちは。
お兄ちゃん、お友達?
あっ、あの桜の木の下にいた人ね。
確かセラフさん。」
「この子が妹のイリヤ。
僕と一緒で、君の姿が見えるんだよ。
イリヤ、セラフって、マリス様からの仕事で、しばらくこっちにいるんだって。」
僕はそう言ってお父様が座っているソファーへ行った。
「ランス、お帰り。
うん?マリス様の気配がするな。」
「お父様、ただ今戻りました。
お父様には気配だけか。
お父様、実は僕の横にマリス様のところで働いている女の子がいるんだよ。
僕とイリヤにしか見えないみたいだけどね。」
「ランス君、この方はマサル様ですよね?」
「そうだよ。僕達のお父様。」
「マサル様、失礼致しました。
マリス様にお仕えしています、セラフです。」
「おお、あなたが今ランスが言っていたセラフ様ですか。」
どうやらお父様にも見えるように、なったみたい。
「マサルさん、 あら、いらっしゃいませ。
ランス、お友達?」
お母様にも見えるみたいだ。
「ランス君、人間にも見えるように可視化したから。」
「お母様、こちらセラフ。
マリス様のところで働いているんだって。
マリス様からの仕事で、しばらくこちらの世界にいるんだって。」
「まぁ、マリス様の使徒様でしょうか。」
そんなやり取りをしていたら、マリス様がいつの間にか、来ておられた。
「マサルさん、リザベートさん、久しぶりですね。
そこにいるセラフは、セイルとハリーの監視役にそちらに行かせたの。」
「「マリス様、ご無沙汰しております」」
いつの間にか、セイルとハリーも来ていた。
「ふたり共、久しぶりね。
元気だったみたいね。
そちらにセラフを送ったから、言うことを良く聞くのよ。
間違っても喧嘩して、街を壊さないようにね。」
「マリス様、我はもうあの頃のように幼くはないから、大丈夫なのじゃ。」
「我も大人になった、セイルと一緒にされたくない。」
「なんだと、ハリー!」
「ほら、そういうところが心配なのよ。
とにかく、セラフとマサルさん達の言うことをよく聞いて、人間の世界を楽しんで頂戴。
セラフ、あなたも人間の世界は久しぶりでしょ。
ゆっくり楽しんだら良いわ。
何か美味しいものを見つけたら、こちらにも送ってね。
ランス君、イリヤちゃん、仲良くしてあげてね。
マサルさん、リザベートさん、よろしくね。
じゃあ。」
そう言って、マリス様は消えてしまった。
「セラフ様。」
「セラフで良い。見た目は子供だから、様付けはおかしい。」
「じゃあ、セラフちゃんって呼ばれて頂きますね。」
「うん、それで良い。」
「じゃあ、セラフちゃん。
我が家にようこそ。
自分の家だと思って、楽にしてね。」
「ありがとうございます。
よろしくお願いいます。
マサル様、リザベート様。」
「よし、家の皆んなを紹介するよ。
今日はセラフちゃんの歓迎会をしよう。」
こうして、僕達の家族にセラフちゃんが加わったんだ。
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