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第7章 研究室と亜人大陸

28 【開発協力の締結】

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<<ローバー視点>>
わたしの名はローバー。

カトウ公爵様、いやマサル殿の子息と令嬢のランス君とイリヤちゃんが小学校に入学することを聞きつけ、仲間達と共に、研究室を立ち上げた。

さすがは、カトウ公爵のご子息達、聡明なのはだが、ハプニングにも事欠かない。

入学してすぐの遠足で、動物や魔物のスタンビートに遭遇したり、モーリス先生が遺跡から発見してきた種子の化石を咲かせたり、話題に事欠かない。

今回もそうだ。半ば伝説と考えられていた『亜人大陸』に渡り、そちらの揉め事を解決するだけで無く、各国の王とコネクションを取るなんて、本当にどうかしている。

おかげ様で、全く退屈せん。

今もこうして亜人大陸まで来れた。

本当にカトウ公爵家には、驚かされるばかりだ。


さて、着いてすぐに、シルビアさんがエルフの女性と何やら話しをして、落ち込んでいるようだが、わたし達は、ここロンドー国の宰相ヤクル殿に、亜人大陸のことについて、聞いているところだ。

ロンドー、スパニ、ヤライ、ヤコブの4国の歴史、風土、文化等について質疑応答という具合だ。

しかし、たまにナーラで見かけるルソン殿が亜人大陸の出身で、しかもヤコブの王になっているとは驚きだ。

「今回の事件後、ロンドー、ヤライ、ヤコブの3国は、対等な国同士として協力関係を築くことに合意しました。

これは、スパニに対抗する意味合いもありますが、ジャボ大陸の影響も大きいのです。

ヤコブの新しい王となったルソン殿がもたらしたジャボ大陸の情報は、我等に衝撃を受けました。

優れた文化や生活環境、行政システム等、どれを取っても我が亜人大陸には足りないものです。

是非ご教授頂けたらと思っております。


聞きましたところ、ジャボ大陸の発展は、カトウ公爵様が大きく関わっておられるとか。

そして皆さんは、それぞれの分野の第一人者であるとのことですね。

是非、わたし達にご教授頂き亜人大陸に新たなる発展をもたらして頂きたいのです。」


ヤクル宰相の言葉はわたし達の望むところなのだが、この手の話しは政治的な判断が必要不可欠だ。

「ヤクル宰相様、お話しは良く分かりました。
わたし共も個人的にはご協力させて頂くことには望むところではありますが、実際にご希望に添えるかは、国に帰ってしかるべき判断が必要になります。」



「ローバー先生、その許可は出そう。
存分に協力してあげて欲しい。」

「「「ネクター陛下!!」」」

なんと、ネクター王が部屋に入って来られた。

いやネクター王だけではない。
ガード王、レイン皇帝も一緒だ。

「ローバー先生、亜人大陸への協力については、交易、平和協定等含め、この3方と、こちらのヤライの王カーン様とヤコブの王ルソン様を含め、条約の締結が済んでおります。

先生方の知恵を存分に発揮頂けたらと思います。

わたしや子供達も一緒に参加致します。」

カトウ公爵の言葉に、我等に安堵と共にヤル気が起こる。

「それは有り難い。
早速、こちらにも研究室を作ろう。」

「ローバー先生、それでしたら、先日の騒動で接収した屋敷がいくつかあります。

そちらをご提供致します。
後、生活面でのお手伝いをさせて頂きますメイドや研究の補助をする者達も用意させて頂きますので、お申し付け下さい。」

ヤクル宰相がニコニコしながら協力を申し出てくれた。

「お父様、僕達もローバー先生達とこちらにいてもいい?」

「そうだな。
すぐに小学校も卒業だし、お前達には次はアカデミーに入って勉強してもらう予定になっていた。

学業が疎かにならないようにするなら良いぞ。」

「「お父様、ありがとう。
先生方、よろしくお願いします。」」


「よし、じゃあ皆んな頑張ろうー。」

「「「おぉ~」」」

こうして、わたし達の新しい挑戦が始まることになった。

本当に、カトウ公爵家といると飽きないな。



<<ルソン視点>>
屋敷でヤコブの経営状況を確認していたら、突然マサル殿が現れた。

カーン殿も一緒だ。

「ルソン殿、今から一緒にロンドーに行きましょう。

ジャボ大陸と亜人大陸の交易の話しをしましょう。

もう、ネクター陛下達も集まっていますよ。」

急な申し出だが、マサル殿の場合いつもこうだ。

「分かりました。」

「ではわたしに掴まって下さいね。

行きます。」

次の瞬間、目の前にはジャボ大陸3大国の首脳がおられた。


話し合いはスムーズに進み、交易と開発協力に関する全権はマサル殿が持たれることになった。

航路についてはカトウ運輸が構築してくれるという。

亜人大陸各国にカトウ運輸の物流センターを設置し、ジャボ大陸と結ぶらしい。

とんでもない計画だが、マサル殿のやることだ。

まぁ心配はいらないだろう。

こちらの3国間も物流センターを中心に結ぶ予定で、カトウ運輸に任せるのが上策だろう。

この辺りは、わたし達で決めれば良い。

しかし、この数ヶ月の出来事は何だったのだろう。

元々、停滞するだけの亜人大陸に幻滅し、故郷を捨てたわたしだが、こうしてまたここに戻って来て亜人大陸の発展に寄与できるのだから、人生というのは面白いものだ。

我等ドワーフの寿命は長い。
まだまだこれから頑張るぞ。


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