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第7章 研究室と亜人大陸
3【イリヤはお医者様? 1】
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<<ランス視点>>
毎日、朝起きてから木刀を振るのが日課になっている。
始めた頃は、木刀に振り回されてるってお父様達に大笑いされてたんだけど、最近は身体も大きくなってきて、ちゃんと振れていると思うんだ。
通学にも馬車を使わないようにして、小学校まで走るようにしているんだ。
途中でレスリーが待っているから、そこからは競争だ。
レスリーが僕と一緒に行くようになってから、イリヤはリアンちゃんを迎えに行って一緒に小学校まで行くようになった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
レスリーは僕より2歳年上だから、走り始めた最初の頃は、全く勝てなくて悔しかった。
魔法を使えば間違いなく勝てるんだけど、そんなことできるはずがないじゃないか。
だからレスリーに黙って1人で小学校まで走って行くことにしたんだ。
3ケ月ほど経つと、自分でも分かるくらい早く長く走れるようになってきた。
半年ほど経ったある日、レスリーがサンズ子爵家の前で1人立っていた。
僕は立ち止まって、あいさつする。
「レスリー、おはよう。」
「おはよう。最近ランスの身体のキレが良くなったと思ってたんだよな。
やっぱりこういうことか。」
レスリーが少し悔しそうな顔をする。
「俺も一緒に走りたいけど、リアンお嬢様を守る使命があるから、無理だな。」
レスリーは悔しそうな諦め顔になる。
「リアンちゃんは、馬車で送り迎えだから大丈夫じゃない?」
「そうなんだけど……
もし、馬車が襲撃にでも会ったら。」
「じゃあ、イリヤの馬車に迎えに来てもらったら、いいんじゃない。
イリヤの魔法は強いよ。100人が来てもイチコロだよ。」
「というか、英雄カトウ公爵家の馬車を狙う命知らずはいないと思う……」
「じゃあ、今日学校でイリヤに話しておくね。
イリヤも大喜びすると思うんだ。」
僕がそう言うと、レスリーは嬉しそうな、そしてちょっと淋しそうな顔をして、屋敷の中に入って行った。
その翌日から、僕はレスリーと、イリヤはリアンちゃんと学校に通うようになったんだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
レスリーと学校まで競争するようになってから4年が経ち、今日も走って学校に来ている。
もちろん、レスリーも一緒だ。
6年生になって、僕もちょっと大きくなった。
まだレスリーには、全然負けてるけどね。
でも、体力はかなり付いたし、毎朝の剣の稽古の所為もあって、レスリーと並んで、小学校でも負け無しになったんだ。
最近は、レスリーのお父様に誘われて、騎士団の訓練にも参加させてもらっています。
今も騎士様に交じって訓練を受けているところ。
「はあ、はあ、ランス大丈夫かー?」
「はあ、はあ、やっぱり騎士団の訓練は、キツいね。
はあ、はあ、でも『最近、力が付いてきたなぁ』ってお父様に褒められてきたから、頑張らなくっちゃ。」
「おお~い、そこの2人、もうへばったのかい?」
遠くから部隊長さんの声がします。
「「大丈夫でーす。まだいけまーす。」」
僕達は、みんなのところまで走って行った。
<<リアン視点>>
今日は、イリヤちゃんと一緒に、ランス君とレスリーの様子を見に騎士団の訓練所に来ました。
わたし、訓練所に入るのも訓練を見るのも初めて。
騎士様達がこうして毎日訓練をして下さっているおかげで、毎日が平和なのだと思うと、思わず声援を送りたくなります。
あっ、でも貴族の令嬢が大きな声で応援するなんてはしたないですわね。
「みなさ~ん、訓練お疲れ様で~す!!
頑張って~!!」
………横でイリヤちゃんがさけんでる?
走っていた騎士様達もありえないものを見るように、立ち止まってこちらを見ています。
「「「「………応援ありがとう!!頑張るよ!!」」」」
少しの沈黙の後、1人の騎士様が満面の笑顔で、イリヤちゃんに返答すると、周りの人達も声を揃えて答えてくれました。
やっぱり、応援された方が嬉しいよね。
それからは、わたしもイリヤちゃんと一緒に声を張り上げて応援しました。
おっきな声を出して、誰かを応援するって、こんなに気持ちが良いですね。
ランス君とレスリーは、なんとか騎士様達に付いていっています。
レスリーは10歳だから訓練に参加してもおかしくない年齢なんだけど、ランス君ってまだ8歳だよね。
騎士様達に交じって訓練ってすごいことだと思うんだけど!
どうやらランニングが終わって、今度は木剣による地稽古みたいです。
2人づつに分かれて木剣で対峙して技を出し合っています。
ランス君達もそれぞれ騎士様と向き合って胸を借りています。
レスリーって結構やるじゃないですか。
自分よりも5、6歳年上の騎士様に負けてないですわね。
さすがわたしの騎士を自認するだけのことはあります。
普段は頼りなく思うところもあるけど、ちょっと見直しました。
ランス君は、っと………
すごいです!身長が自分の2倍はあろう騎士様を攻めています。
ちょこまかと動き回り、下からの切り上げを狙っているようです。
あっ、今前に出ました。
残念です。すんでのところで後ろに逃げられました。
逃げ際に騎士様が、上段から切り掛かります。
ランス君、体勢が崩れています。
あぶない!!
毎日、朝起きてから木刀を振るのが日課になっている。
始めた頃は、木刀に振り回されてるってお父様達に大笑いされてたんだけど、最近は身体も大きくなってきて、ちゃんと振れていると思うんだ。
通学にも馬車を使わないようにして、小学校まで走るようにしているんだ。
途中でレスリーが待っているから、そこからは競争だ。
レスリーが僕と一緒に行くようになってから、イリヤはリアンちゃんを迎えに行って一緒に小学校まで行くようになった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
レスリーは僕より2歳年上だから、走り始めた最初の頃は、全く勝てなくて悔しかった。
魔法を使えば間違いなく勝てるんだけど、そんなことできるはずがないじゃないか。
だからレスリーに黙って1人で小学校まで走って行くことにしたんだ。
3ケ月ほど経つと、自分でも分かるくらい早く長く走れるようになってきた。
半年ほど経ったある日、レスリーがサンズ子爵家の前で1人立っていた。
僕は立ち止まって、あいさつする。
「レスリー、おはよう。」
「おはよう。最近ランスの身体のキレが良くなったと思ってたんだよな。
やっぱりこういうことか。」
レスリーが少し悔しそうな顔をする。
「俺も一緒に走りたいけど、リアンお嬢様を守る使命があるから、無理だな。」
レスリーは悔しそうな諦め顔になる。
「リアンちゃんは、馬車で送り迎えだから大丈夫じゃない?」
「そうなんだけど……
もし、馬車が襲撃にでも会ったら。」
「じゃあ、イリヤの馬車に迎えに来てもらったら、いいんじゃない。
イリヤの魔法は強いよ。100人が来てもイチコロだよ。」
「というか、英雄カトウ公爵家の馬車を狙う命知らずはいないと思う……」
「じゃあ、今日学校でイリヤに話しておくね。
イリヤも大喜びすると思うんだ。」
僕がそう言うと、レスリーは嬉しそうな、そしてちょっと淋しそうな顔をして、屋敷の中に入って行った。
その翌日から、僕はレスリーと、イリヤはリアンちゃんと学校に通うようになったんだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
レスリーと学校まで競争するようになってから4年が経ち、今日も走って学校に来ている。
もちろん、レスリーも一緒だ。
6年生になって、僕もちょっと大きくなった。
まだレスリーには、全然負けてるけどね。
でも、体力はかなり付いたし、毎朝の剣の稽古の所為もあって、レスリーと並んで、小学校でも負け無しになったんだ。
最近は、レスリーのお父様に誘われて、騎士団の訓練にも参加させてもらっています。
今も騎士様に交じって訓練を受けているところ。
「はあ、はあ、ランス大丈夫かー?」
「はあ、はあ、やっぱり騎士団の訓練は、キツいね。
はあ、はあ、でも『最近、力が付いてきたなぁ』ってお父様に褒められてきたから、頑張らなくっちゃ。」
「おお~い、そこの2人、もうへばったのかい?」
遠くから部隊長さんの声がします。
「「大丈夫でーす。まだいけまーす。」」
僕達は、みんなのところまで走って行った。
<<リアン視点>>
今日は、イリヤちゃんと一緒に、ランス君とレスリーの様子を見に騎士団の訓練所に来ました。
わたし、訓練所に入るのも訓練を見るのも初めて。
騎士様達がこうして毎日訓練をして下さっているおかげで、毎日が平和なのだと思うと、思わず声援を送りたくなります。
あっ、でも貴族の令嬢が大きな声で応援するなんてはしたないですわね。
「みなさ~ん、訓練お疲れ様で~す!!
頑張って~!!」
………横でイリヤちゃんがさけんでる?
走っていた騎士様達もありえないものを見るように、立ち止まってこちらを見ています。
「「「「………応援ありがとう!!頑張るよ!!」」」」
少しの沈黙の後、1人の騎士様が満面の笑顔で、イリヤちゃんに返答すると、周りの人達も声を揃えて答えてくれました。
やっぱり、応援された方が嬉しいよね。
それからは、わたしもイリヤちゃんと一緒に声を張り上げて応援しました。
おっきな声を出して、誰かを応援するって、こんなに気持ちが良いですね。
ランス君とレスリーは、なんとか騎士様達に付いていっています。
レスリーは10歳だから訓練に参加してもおかしくない年齢なんだけど、ランス君ってまだ8歳だよね。
騎士様達に交じって訓練ってすごいことだと思うんだけど!
どうやらランニングが終わって、今度は木剣による地稽古みたいです。
2人づつに分かれて木剣で対峙して技を出し合っています。
ランス君達もそれぞれ騎士様と向き合って胸を借りています。
レスリーって結構やるじゃないですか。
自分よりも5、6歳年上の騎士様に負けてないですわね。
さすがわたしの騎士を自認するだけのことはあります。
普段は頼りなく思うところもあるけど、ちょっと見直しました。
ランス君は、っと………
すごいです!身長が自分の2倍はあろう騎士様を攻めています。
ちょこまかと動き回り、下からの切り上げを狙っているようです。
あっ、今前に出ました。
残念です。すんでのところで後ろに逃げられました。
逃げ際に騎士様が、上段から切り掛かります。
ランス君、体勢が崩れています。
あぶない!!
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