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第6章 ランスとイリヤ
8 【小学校に入学】
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<<イリヤ視点>>
今日は小学校の入学式です。
期待と不安でドキドキです。
だって家族や親しい人以外と会うのは初めてなんですもの。
小学校に行ったら知ってる人はお兄ちゃんだけなんだよ。
あっ、そんなことを考えていたらすごく不安になってきた。
でも、きっと大丈夫だよね。
わたしなら上手くやれるよ、うん!
お兄ちゃんは、着て行く服を大慌てで選んでいます。
ミリヤさんからあれほど選んでおくように言われてたのにね。
お兄ちゃんは、集中すると他のことに全く興味がなくなっちゃうんだから。
そうそう、ミリヤさんがわたし達の侍女になったんです。
パターソン先生は、『自然科学研究所』の設立準備に忙しくなったとかで、屋敷を出て週2回の通いでわたし達の家庭教師を続けてくれることになりました。
カトウ家の方針は、『自分のことは自分で』です。
だからミリヤさんは、わたし達のサポートはしてくれますが、基本なんでも自分でする必要があります。
あれっ、お兄ちゃんを見かねたミリヤさんが、お兄ちゃんに服を渡しています。
やっとお兄ちゃんの服も決まり、小学校に向かいます。
小学校に行くにあたり、お父様と『基本的に魔法を使わない』ことを約束しました。
小学生で魔法を使える人は少ないらしいです。
学校まで飛んで行こうとするわたし達が異常なんだって。
そういえば、お父様と先生以外魔法を使う人をあまり見たこと無いや。
だから魔法は基本的に禁止です。
学校へは馬車で行きます。
本当は走って行った方が早いんだけど、貴族は馬車を使わなきゃいけないんだってユーリスタさんに言われました。
馬車から見える景色はとても新鮮です。
家から出る時は、移転魔道具を使うか、空を飛んでいるので、こんなに低い目線でたくさんの人を見るのは初めてです。
果物や野菜を売っているお店や軒先に鳥を釣っている肉屋さん、道端にテーブルを並べて営業の準備をしているカフェ、ショーウィンドウに武器や防具を飾っている武器屋なんかが通り沿いに並んでいます。
まだ朝も早い時間帯なので、人もまばらですが、昼間になると賑わうんでしょうね。
さらに馬車が進むと、綺麗な広場に出ました。
広場を取り囲むようにお店が並んでいますが、一際大きな建物があります。
その建物の壁には男の人と女の人が手を取り合って見つめ合う絵が飾ってありました。
「ランス様、イリヤ様、あの絵の2人は、カトウ公爵様とリザベート様なのですよ。
あの建物は、ロングラン上演されているお芝居『マサル、ハーバラ村の奇跡』の劇場なのです。
わたしも5回くらい観ましたが、いつ観ても泣けるんです。
おふたりのご両親も良いんですけど、ジャン騎士が騎士職を捨ててまで開拓に身を捧げ、ならず者達を率いて苦難に立ち向かいながら開拓を進めて行く姿は、カッコよくて涙を誘うんです。」
ミリヤさんのジャン様愛が止まりません。
そうこうしているうちに、正面に小学校が見えてきました。
馬車は小学校の裏門を進んで行きます。
既に何台もの馬車が停まっています。
馬車は停める位置が決まっているのか、どんどん奥へと入っていき、手前から2つ目の枠に停まりました。
「いちばん奥は王家専用なのです。
2番目から4番目までが公爵家以上になります。
今は大公爵家と公爵家に該当する家で小学校に通うのはおふたりだけですのでこちらに停めさせて頂きました。」
わたし達が馬車から出てくるまで、他の馬車から出てきた人達が、頭を下げて控えているのが見える。
「ねえ、ミリヤさん。
もしかして、あの人達はわたし達が中に入るのをまってる?」
「そうですね。今年は王家も小学校に通う方がおられないので、おふたりが貴族階級でいちばん上になりますね。」
そんなぁ、せっかく友達ができると喜んでいたのに、こんなんじゃ無理なんじゃ無い?
そんなことを思っていると、お兄ちゃんが勝手に馬車を飛び出してて、いちばん近くにいた子に向かって走って行った。
「僕はランスです。今日入学します。
あなたは1年生ですか?
友達になって下さい。よろしくね。」
何、あの行動力。
身内ながら呆れちゃうわ。
お兄ちゃんは、その子と握手したかと思うと、その子を引っ張って別の子のところに走って行っちゃった。
「イリヤ様もランス様みたいにされてみては?」
わたしが困っている様子を見て、ミリヤさんが声をかけてくれた。
「おーいイリヤ~。お前もこっちに来いよ~。女の子もいるぞ~。」
お兄ちゃんが呼んでくれた。
わたしは思わず笑顔になって、お兄ちゃんのところに走って行った。
空気を読めないお兄ちゃんだけど、今日は感謝です。
今日は小学校の入学式です。
期待と不安でドキドキです。
だって家族や親しい人以外と会うのは初めてなんですもの。
小学校に行ったら知ってる人はお兄ちゃんだけなんだよ。
あっ、そんなことを考えていたらすごく不安になってきた。
でも、きっと大丈夫だよね。
わたしなら上手くやれるよ、うん!
お兄ちゃんは、着て行く服を大慌てで選んでいます。
ミリヤさんからあれほど選んでおくように言われてたのにね。
お兄ちゃんは、集中すると他のことに全く興味がなくなっちゃうんだから。
そうそう、ミリヤさんがわたし達の侍女になったんです。
パターソン先生は、『自然科学研究所』の設立準備に忙しくなったとかで、屋敷を出て週2回の通いでわたし達の家庭教師を続けてくれることになりました。
カトウ家の方針は、『自分のことは自分で』です。
だからミリヤさんは、わたし達のサポートはしてくれますが、基本なんでも自分でする必要があります。
あれっ、お兄ちゃんを見かねたミリヤさんが、お兄ちゃんに服を渡しています。
やっとお兄ちゃんの服も決まり、小学校に向かいます。
小学校に行くにあたり、お父様と『基本的に魔法を使わない』ことを約束しました。
小学生で魔法を使える人は少ないらしいです。
学校まで飛んで行こうとするわたし達が異常なんだって。
そういえば、お父様と先生以外魔法を使う人をあまり見たこと無いや。
だから魔法は基本的に禁止です。
学校へは馬車で行きます。
本当は走って行った方が早いんだけど、貴族は馬車を使わなきゃいけないんだってユーリスタさんに言われました。
馬車から見える景色はとても新鮮です。
家から出る時は、移転魔道具を使うか、空を飛んでいるので、こんなに低い目線でたくさんの人を見るのは初めてです。
果物や野菜を売っているお店や軒先に鳥を釣っている肉屋さん、道端にテーブルを並べて営業の準備をしているカフェ、ショーウィンドウに武器や防具を飾っている武器屋なんかが通り沿いに並んでいます。
まだ朝も早い時間帯なので、人もまばらですが、昼間になると賑わうんでしょうね。
さらに馬車が進むと、綺麗な広場に出ました。
広場を取り囲むようにお店が並んでいますが、一際大きな建物があります。
その建物の壁には男の人と女の人が手を取り合って見つめ合う絵が飾ってありました。
「ランス様、イリヤ様、あの絵の2人は、カトウ公爵様とリザベート様なのですよ。
あの建物は、ロングラン上演されているお芝居『マサル、ハーバラ村の奇跡』の劇場なのです。
わたしも5回くらい観ましたが、いつ観ても泣けるんです。
おふたりのご両親も良いんですけど、ジャン騎士が騎士職を捨ててまで開拓に身を捧げ、ならず者達を率いて苦難に立ち向かいながら開拓を進めて行く姿は、カッコよくて涙を誘うんです。」
ミリヤさんのジャン様愛が止まりません。
そうこうしているうちに、正面に小学校が見えてきました。
馬車は小学校の裏門を進んで行きます。
既に何台もの馬車が停まっています。
馬車は停める位置が決まっているのか、どんどん奥へと入っていき、手前から2つ目の枠に停まりました。
「いちばん奥は王家専用なのです。
2番目から4番目までが公爵家以上になります。
今は大公爵家と公爵家に該当する家で小学校に通うのはおふたりだけですのでこちらに停めさせて頂きました。」
わたし達が馬車から出てくるまで、他の馬車から出てきた人達が、頭を下げて控えているのが見える。
「ねえ、ミリヤさん。
もしかして、あの人達はわたし達が中に入るのをまってる?」
「そうですね。今年は王家も小学校に通う方がおられないので、おふたりが貴族階級でいちばん上になりますね。」
そんなぁ、せっかく友達ができると喜んでいたのに、こんなんじゃ無理なんじゃ無い?
そんなことを思っていると、お兄ちゃんが勝手に馬車を飛び出してて、いちばん近くにいた子に向かって走って行った。
「僕はランスです。今日入学します。
あなたは1年生ですか?
友達になって下さい。よろしくね。」
何、あの行動力。
身内ながら呆れちゃうわ。
お兄ちゃんは、その子と握手したかと思うと、その子を引っ張って別の子のところに走って行っちゃった。
「イリヤ様もランス様みたいにされてみては?」
わたしが困っている様子を見て、ミリヤさんが声をかけてくれた。
「おーいイリヤ~。お前もこっちに来いよ~。女の子もいるぞ~。」
お兄ちゃんが呼んでくれた。
わたしは思わず笑顔になって、お兄ちゃんのところに走って行った。
空気を読めないお兄ちゃんだけど、今日は感謝です。
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