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第6章 ランスとイリヤ

6 【誕生会?いや参観日?】

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<<イリヤ視点>>
昼になって、続々とお客様がやって来た。

最初は、ネクター陛下、ガード陛下、レイン皇帝の3人。

僕達の誕生会に合わせて、会議をしてたんだって。

3人共、よく一緒に遊んでくれるんで、近所のおじさんだと思ってたんだ。

ある日、パターソン先生が3人と鉢合わせして、先生が慌てて平伏したんだ。

後で先生に聞いたらこの大陸の3大国家の王様だってわかったんだ。

でも、陛下とか言うと悲しそうにするから、おじ様って呼ぶけどね。

「「ネクターおじ様、ガードおじ父様、レインおじ様、わたし達(僕達)の誕生日にお祝いありがとうございます。」」

お兄ちゃんと声をハモらせてお礼を言っちゃた。

3人共、本当に嬉しそうにニコニコしているの。

次はお父様と一緒に働いている方達。
国際連合事務局長のスポックさんと国際裁判所のアーノルドお爺様。
アーノルドさんは、ユーリスタさんのお父様だから、本当は曾祖父様になるんだけど、曾祖父様って呼ぶとユーリスタさんがお婆様になっちゃうから、お爺様って呼ぶのがわたし達の暗黙の了解なの。

お爺様が2人になっちゃうんだけど、それはそれでありだよね。

今日は、アニスお姉様も一緒だ。嬉しいなぁ。

「イリヤちゃん、ランスくん、お誕生日おめでとう。」

「「アニスお姉様(ちゃん)、ありがとうございます。」」

アニスお姉様のプレゼントは、クマのぬいぐるみ。
わたしより大きいくて可愛い。

次はヤングおじさんとハリスさんだね。

ハリスさんはちょっと見た目怖い顔をしてるんだけど、すごく優しいの。

ナーラの図書館に行く時はいつも図書館まで送ってくれるの。

ヤングさんは、いつも忙しくって大変そう。

大きくなったらお仕事手伝ってあげるねって言ったら、すごく喜んで、甘いものをくれるの。

何を手伝えるが分からないけど、とりあえず早く光魔法を覚えて疲れをとってあげるね。

少し遅れてクラークおじ様も来てくれた。

皆んな揃ったから、お誕生会の始まり。

最初にわたしとお兄ちゃんで挨拶。

「「今日は、わたし達の誕生会に来て頂いてありがとうございます。」」

皆んなすごく喜んでる。

ハリスお爺ちゃんなんて泣きそうな顔をしてるよ。
なんでだろう?

それからは、皆んなにもらったプレゼントを開けたり、ゲームをして楽しんだ。

王様の3人はプレゼントとして、お屋敷や土地をくれた。
いつでも遊びに来てねって。

お父様とお母様はちょっと困ってたけどね。

「そうだ皆さん、ランスちゃんもイリヤちゃんも魔法が使えますのよ。
是非見せてもらいましょうよ。

マサルさん、良いわよね。」

ユーリスタさんの有無を言わせぬ圧力にお父様が頷いた。

「じゃあ、ランスちゃん、イリヤちゃん、お願いね。」

お兄ちゃんとわたしは、広いところに移動して、少し距離をとる。

アニスお姉様から頂いたクマちゃんにも手伝ってもらおう。

わたしが重力魔法でクマのぬいぐるみを足が床に着く程度に持ち上げる。

お兄ちゃんが、その手足をまるで歩いているように動かすの。

わたしはそれに合わせてクマちゃんを移動させると、まるでクマのぬいぐるみが歩いているみたいに見える。

クマちゃんは、皆んなの前まで行くとぺこりと頭を下げて挨拶。

そのままテーブルに飛び乗ると、お茶を持ってお母様のところに運ぶの。

皆んなにお茶を運び終わったら、わたしのところに戻って来て終わり。

お兄ちゃんとだったら、意思疎通も簡単だからタイミングを合わせ易いんだよ。

わたしは細かい操作が苦手だから、細かいところはお兄ちゃんに任せたけどね。

実は誕生会が始まる少し前に、ユーリスタさんに呼ばれて、打ち合わせしていたの。

少し練習もしたよ。本番で上手くいって本当に良かった。

お兄ちゃんとハイタッチしてたら、大きな拍手が聞こえた。

「今の魔法か?2人でやったの?」

ネクターおじ様の質問に答える。

「そうだよ。わたしが体を動かして、お兄ちゃんが手足の細かい操作をしてくれたの。」

「マサル殿、今の魔法を説明して欲しいのだが。」

ガードおじ様の言葉にお父様が答える。

「イリヤがクマのぬいぐるみを重力魔法で持ち上げて、床ギリギリで、水平移動させます。
あのゆっくりの速度で完全に平行移動してたね。イリヤすごいよ。

それに合わせて、手や足、頭をランスが動かしていました。

3つの動作を同時にさせるには、魔法を同時に複数発動する必要があります。

3つも同時に安定して使えるなんてすごいことですね。
よく出来たね、ランス。

後、2人で念話を使っていただろう。
それで上手くタイミングを合わせていたんだね。」

お父様ってすごい。

わたし達がやった事全て言い当てちゃった。

「この魔法はパターソン先生に教えてもらったの?」

「まだ実際には使わない約束だったから、理論だけだけど。

でも、魔法を複数発動する時の要領や安定して魔力を放出するやり方は、先生が分かり易く教えてくれたから出来たと思う。」

お父様の質問に、お兄ちゃんが答える。

リビングの隅に立っているパターソン先生に皆んなの目が集まった。

「先生、期待以上です。ありがとうございます。

ただ、一般の魔法使いのレベルもしっかり教えて、余り目立たないようにしてあげて下さいね。」

お父様の声に先生が恐縮しているみたい。

「パターソン先生だったかな。いやすごい魔法使いだな。
これからも2人の教育を頼むよ。
しかし、この国にもわたしの知らない偉大な魔法使いがまだまだ隠れているかもな。」

ネクターおじ様の言葉に先生は、顔を真っ赤にして固まっていた。
ちょっとかわいそう。

その後は、皆んなに褒められたり、他魔法や習っていることを披露したりと、パターソン先生にとっては、参観日みたいになっちゃた。

皆んな、誕生日を祝ってくださってありがとうございました。




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