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第5章 新しい生活の始まり
13 【新婚旅行1】
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<<リザベート視点>>
新婚旅行に向けて馬車が走り出しました。
カトウ運輸警備課の人達が馭者と護衛に当たって下さっています。
急遽ハローマ王国とトカーイ帝国での披露宴が2日から3日になったので、移動のために用意していた1日の余裕が無くなり、マサルさんに抱き抱えられたままの高速移動になってしまい、少し気分が悪かったのですが、トカーイ帝国での1週間の休息日で、本調子に戻れそうです。
馭者、護衛の方は合わせて11人おられます。
交代しながらノンストップで馬車を走らせるように、ハリスさんが手配して下さいました。
馬車の中は、お屋敷とほとんど変わらない快適さなので、わたし達は、なんの問題もありません。
マサルさんは、馭者と護衛の方々のための部屋と風呂トイレを追加していました。
ノンストップでの移動は、馭者と護衛の方々には辛いんじゃ無いかと思って、彼等に聞いてみましたが、「こんな素敵な部屋でゆっくり眠りながらの移動なんて、本当あり得ません。
まして、お風呂やトイレまでついているなんて。
もしかして、これが噂に聞く洗浄便座ですか?
こんなの使えるなんて夢のようです。」って言われました。
たしかに、夜営で交代しながら仮眠を繰り返すのに比べたら、そうかもしれません。
夜の移動は危険だとの声もありましたが、馬車自体が結界の魔道具で包まれているので、竜でも出てこない限り大丈夫だと思います。
以前、視察途中で盗賊団に襲われた時もなんの問題もありませんでしたし。
走る馬車の中で、マサルさんとわたしは、書類の山に追われています。
何故新婚旅行中なのに仕事をしてるかって。
マサルさんの魔道具のせいです。
キンコー王国での結婚式が大陸中に中継された映像を録画で見たお義母様が、「これ映像だけじゃなくって書類も遠くに送れたらいいのにね。」って、半分冗談でマサルさんに仰ったらしいんです。
そしたらマサルさん、「ああ、ファクスですね。
作れますよ。」って、直ぐに造っちゃいました。
おかげで、マサルさんの元には家宰のクリスさんから、わたしの元にはお義母様から、どんどん書類が届いています。
まるで職場で仕事をしているのと変わりません。
まぁ、快適な空間での作業ですから余り問題はありませんが………
そうこうしているうちに、最初の訪問国、モーグル王国に到着しました。
モーグル王国では、カッパ宰相とハッカ外務大臣が迎えて下さいました。
モーグル王は緊急の用件で居られませんでしたが、今晩の晩餐会でお会いできるとのことです。
「マサル殿、いや、カトウ公爵様かな、リザベート様、この度はご結婚おめでとうございます。
モーグル王国一同おふたりの御来訪を心よりお待ちしておりました。」
カッパ宰相の挨拶にマサルさんは、照れくさそうに「ありがとうございます。カッパ宰相、ハッカ外務大臣。いつものようにマサル殿でお願いします。」と答えています。
「何を仰います。マサル様は大国キンコー王国の公爵位をお持ちの上、我国では神として称えられておりますから。
殿などと、めっそうも無い。
先日の結婚式の映像を拝見しましたが、神の国かとも思われる神殿でのおふたりのお姿は、まさに神の降臨かと、詰め掛けた者達は皆涙を流しながら感動しておりました。
その直後に現れた祝福の光が我等を包んだ時の民の驚きと畏怖は尋常ではございませんでした。」
各地の披露宴でも大きな話題だった、祝福の光のことね。
マサルさんの話しだとマリス様の暴走だと言うことだったけど、この国では、元々マサルさんを神格化していたから余計にややこしくなったのかも。
「とりあえず、中央広場に国中の民が集まっておりますので、そちらに移動をお願いできますでしょうか。」
中央広場に向かうと、途中から大きな像が見えて来た。
「あの像、旦那様によく似てますね。」
そう言われればメアリの言葉通り、確かに似ていると思い、ハッカ外務大臣に尋ねてみました。
「あの像は、間違いなくマサル様です。
この国を貧困から救い、経済と産業を創生することで、貧困から脱却させて頂いたマサル様の功績は、この国では神格化されています。
マサル様からのご希望で、宗教の設立は控えておりますが、民の間ではマサル様は神として祀られているのです。」
「旦那様には、わたしも救って頂きました。
確かに旦那様は神様ですね。」
メアリが目を真っ赤にしながら、しみじみと言います。
「確かにそうですね。
わたしの出身地も、貧困から助けて頂きました。
旦那様は神で、それを無償の愛でサポートされておられる奥様は、やはり聖女様ですね。」
アリスさんまで、こんなことを言い出しました。
「リズ、やっぱり中央広場には行かないでおこうか。」
「ダメですよ。みなさんがお待ちなのですから。」
こうは言ってみましたが、マサルさんの気持ちは痛い程分かります。
やがて、中央広場に到着しました。
アリスさんとメアリは、わたし達から離れて民に紛れています。
中央広場は既に大混雑しています。
騎士様総動員で、広場入り口から像の下にある、一段高い台の上まで、道を作ってくれていました。
カッパ宰相とハッカ外務大臣に導かれ、わたし達はその道を歩いて行きます。
広場中から鼻を啜る音や嗚咽が聞こえ、感極まった泣き声も少なくありません。
導かれるまま、台に登ると今までの音は大歓声に変わりました。
「「「マサル様、聖女様、ありがとうございます。
そしておめでとうございます。」」」
みなさんが、わたし達を歓迎してくれていることをひしひしと感じます。
マサルさんと会えて本当に良かった。
マサルさんについて来て本当に良かった。
わたしは今更ながら、マリス様に感謝するのでした。
新婚旅行に向けて馬車が走り出しました。
カトウ運輸警備課の人達が馭者と護衛に当たって下さっています。
急遽ハローマ王国とトカーイ帝国での披露宴が2日から3日になったので、移動のために用意していた1日の余裕が無くなり、マサルさんに抱き抱えられたままの高速移動になってしまい、少し気分が悪かったのですが、トカーイ帝国での1週間の休息日で、本調子に戻れそうです。
馭者、護衛の方は合わせて11人おられます。
交代しながらノンストップで馬車を走らせるように、ハリスさんが手配して下さいました。
馬車の中は、お屋敷とほとんど変わらない快適さなので、わたし達は、なんの問題もありません。
マサルさんは、馭者と護衛の方々のための部屋と風呂トイレを追加していました。
ノンストップでの移動は、馭者と護衛の方々には辛いんじゃ無いかと思って、彼等に聞いてみましたが、「こんな素敵な部屋でゆっくり眠りながらの移動なんて、本当あり得ません。
まして、お風呂やトイレまでついているなんて。
もしかして、これが噂に聞く洗浄便座ですか?
こんなの使えるなんて夢のようです。」って言われました。
たしかに、夜営で交代しながら仮眠を繰り返すのに比べたら、そうかもしれません。
夜の移動は危険だとの声もありましたが、馬車自体が結界の魔道具で包まれているので、竜でも出てこない限り大丈夫だと思います。
以前、視察途中で盗賊団に襲われた時もなんの問題もありませんでしたし。
走る馬車の中で、マサルさんとわたしは、書類の山に追われています。
何故新婚旅行中なのに仕事をしてるかって。
マサルさんの魔道具のせいです。
キンコー王国での結婚式が大陸中に中継された映像を録画で見たお義母様が、「これ映像だけじゃなくって書類も遠くに送れたらいいのにね。」って、半分冗談でマサルさんに仰ったらしいんです。
そしたらマサルさん、「ああ、ファクスですね。
作れますよ。」って、直ぐに造っちゃいました。
おかげで、マサルさんの元には家宰のクリスさんから、わたしの元にはお義母様から、どんどん書類が届いています。
まるで職場で仕事をしているのと変わりません。
まぁ、快適な空間での作業ですから余り問題はありませんが………
そうこうしているうちに、最初の訪問国、モーグル王国に到着しました。
モーグル王国では、カッパ宰相とハッカ外務大臣が迎えて下さいました。
モーグル王は緊急の用件で居られませんでしたが、今晩の晩餐会でお会いできるとのことです。
「マサル殿、いや、カトウ公爵様かな、リザベート様、この度はご結婚おめでとうございます。
モーグル王国一同おふたりの御来訪を心よりお待ちしておりました。」
カッパ宰相の挨拶にマサルさんは、照れくさそうに「ありがとうございます。カッパ宰相、ハッカ外務大臣。いつものようにマサル殿でお願いします。」と答えています。
「何を仰います。マサル様は大国キンコー王国の公爵位をお持ちの上、我国では神として称えられておりますから。
殿などと、めっそうも無い。
先日の結婚式の映像を拝見しましたが、神の国かとも思われる神殿でのおふたりのお姿は、まさに神の降臨かと、詰め掛けた者達は皆涙を流しながら感動しておりました。
その直後に現れた祝福の光が我等を包んだ時の民の驚きと畏怖は尋常ではございませんでした。」
各地の披露宴でも大きな話題だった、祝福の光のことね。
マサルさんの話しだとマリス様の暴走だと言うことだったけど、この国では、元々マサルさんを神格化していたから余計にややこしくなったのかも。
「とりあえず、中央広場に国中の民が集まっておりますので、そちらに移動をお願いできますでしょうか。」
中央広場に向かうと、途中から大きな像が見えて来た。
「あの像、旦那様によく似てますね。」
そう言われればメアリの言葉通り、確かに似ていると思い、ハッカ外務大臣に尋ねてみました。
「あの像は、間違いなくマサル様です。
この国を貧困から救い、経済と産業を創生することで、貧困から脱却させて頂いたマサル様の功績は、この国では神格化されています。
マサル様からのご希望で、宗教の設立は控えておりますが、民の間ではマサル様は神として祀られているのです。」
「旦那様には、わたしも救って頂きました。
確かに旦那様は神様ですね。」
メアリが目を真っ赤にしながら、しみじみと言います。
「確かにそうですね。
わたしの出身地も、貧困から助けて頂きました。
旦那様は神で、それを無償の愛でサポートされておられる奥様は、やはり聖女様ですね。」
アリスさんまで、こんなことを言い出しました。
「リズ、やっぱり中央広場には行かないでおこうか。」
「ダメですよ。みなさんがお待ちなのですから。」
こうは言ってみましたが、マサルさんの気持ちは痛い程分かります。
やがて、中央広場に到着しました。
アリスさんとメアリは、わたし達から離れて民に紛れています。
中央広場は既に大混雑しています。
騎士様総動員で、広場入り口から像の下にある、一段高い台の上まで、道を作ってくれていました。
カッパ宰相とハッカ外務大臣に導かれ、わたし達はその道を歩いて行きます。
広場中から鼻を啜る音や嗚咽が聞こえ、感極まった泣き声も少なくありません。
導かれるまま、台に登ると今までの音は大歓声に変わりました。
「「「マサル様、聖女様、ありがとうございます。
そしておめでとうございます。」」」
みなさんが、わたし達を歓迎してくれていることをひしひしと感じます。
マサルさんと会えて本当に良かった。
マサルさんについて来て本当に良かった。
わたしは今更ながら、マリス様に感謝するのでした。
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