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第5章 新しい生活の始まり

10 【結婚式と披露宴の旅2】

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<<ヤリテ視点>>

わたしは今、ハローマ王国の王都物流センターに来ています。

昨日、婚活パーティーがここで開催されました。

これからキンコー王国で、会頭とリザベート様の結婚式が執り行なわれます。

プロジェクタを使用した結婚式の映像がここでも見られるということで、多くの従業員やハローマ王国の方々が詰め掛けています。

3000人はいるでしょうか、すごい熱気です。

各地の代官様や村長さん、改革事業に参加された方々、あっ孤児院のみなさんの姿も見えます。

友好国とはいえ、他国でこれだけの人が集まるとは、おふたりのこれまでの活動がどれだけ様々なところに貢献してきたかを思い知らされます。

さて映像には、式が執り行なわれるマリス教大聖堂が映し出されています。

高い位置から映し出された全景は、その純白の建物を神々しく映し出しています。

あの角度からの撮影は、最近開発されたドローンからのものでしょうか。

やがて映像は、下に降りていき、入場を待つリザベート様とエスコート役のナーラ公爵が映し出されました。

緊張したリザベート様は、ドローンに気がついたのか、こちらに向いて手を振って下さいました。

こちらの会場では大歓声が沸き起こっています。

やがて、パイプオルガンの荘厳な演奏が始まり、おふたりは大聖堂に入って行かれました。

ここでカメラが切替ります。

正面斜め左から映し出された映像には、エスコートされたリザベート様が、ゆっくりと祭壇に向かって歩いて来られる様子が見えます。

やがて、祭壇手前でリザベート様が止まられ、新郎を待っておられます。

後方の扉が開かれ、新郎である会頭の登場に、また会場からどよめきが起こりました。

会頭はゆっくりとカーペットの上を歩き、リザベート様の元へとたどり着かれました。

おふたりの姿にステンドグラスから差し込む日差しがあたり、そこだけが神に祝福されているかのようです。

カメラが切替り、映像は、新郎新婦を右斜め後ろからになりました。
神父様の祝詞があり、誓いの言葉を交わしたおふたりを神聖な光が包み込みました。

10秒程度でしょうか、皆が唖然とその光景を見ていると、やがてその光は次第に大きくなり、大聖堂を包み込むように広がっていきます。

そして、その光はわたし達のいるところまで包み込みました。

その光を浴びると、心が落ち着き幸せな気持ちになれたのでした。



<<マリス視点>>
本当に今日はめでたい日ね。
マサルさんとリザベートちゃんの結婚式だもの。

新しく大聖堂が出来るし、あの堕落したマリス聖教は潰せたし、本当に最高の日ね。

ふたりには特大の祝福をあげなきゃ。

「マサルさん、リザベートちゃんおめでとう。
いつまでも仲良くね。
これはお祝いの祝福よ。
受け取ってね。」

いつもより強く祝福を送ったら、あれっ、祝福が広がりすぎちゃた。
失敗したかな。まぁいいよね。
今日は特別な日なんだから。



<<ユーリスタ視点>>
リズちゃん、とっても綺麗でした。
ドレスはシンプルなデザインで清楚感があるし、マサルさんから貰ったネックレスからは神々しさが滲み出していて、ドレス自体が神秘的な輝きを放っているようよ。

本当に良かったわね。

誓いの言葉が終わったところで、祝福の光が降りてきたのは、王族の結婚式ではたまにあるので、そんなに驚かなかったけど、その光が、大聖堂を包み込んだ時は本当に驚いたわ。

後で聞いたら、大陸全体に光が届いたらしいわね。

本当にあの2人は、マリス様に愛されているみたい。

いつまでも仲良く幸せにね、マサルさんリズちゃん。

さあ次は披露宴ね。会場は、カトウ運輸王都物流センターって言ってたわ。
急いで行きましょう。

リズちゃんのお色直しのドレスが楽しみだわ。



<<ヤング視点>>
プロジェクタによる結婚式の中継は、大盛況でした。

各物流センターに集まった人々の数は、合わせて50,000人以上だったそうです。

これは、お金になる匂いがしますね。

さて、披露宴の準備は万端でしょうか?

参加希望者が多すぎたので、2日の予定を3日間の入替え制にしました。

披露宴は15時からですが、結婚式の中継を見終わって、既に席に座っている人達も多いです。

マリス様の祝福の光を浴びて、皆さん興奮状態です。

あっ倒れられた方もいらっしゃいますね。
救護班の皆さんお願いしますね。

新郎新婦が到着するのを街道沿いで待っている人達や、その人達を目当てに露店もちらほら見かけます。

あっ街道にはみ出したら危ないですよ!

警備班の方々、くれぐれも事故の無いようにお願いします。


開始20分前になって、おふたりの乗った馬車が、見えてきました。

街道沿いにはお祝いに駆けつけた人々がたくさん並んでいます。

「おめでとうございます!」「リザベート様綺麗です!」「マサル様カッコいい!」

黄色い声に時たま野太い声も混ざっているようですが、まぁいいでしょう。


さて、おふたりを乗せた馬車が到着されました。

にこやかに降りて来られるリザベート様と、かなり緊張感の漂うマサル様ですが、おふたりで並ばれると、神掛かったとしか言いようの無いオーラを感じます。

あっと、見惚れている場合じゃないですね。

おふたりを会場にご案内致しましょう。




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