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ムーン大陸でも国造り
医療を充実させよう
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「ヒロシさん、外の世界で伝染病が発生したようです。
各地の教会や王族から被害報告が多数入っています。」
「伝染病は20年おきくらいに発生していますが、今回のはかなり酷そうですね。」
クルステさんの報告を聞いていたハリス王子も心配そうだな。
「どんな症状なのですか?」
「始めは倦怠感と寒気があるらしいんですけど、そのうちに高熱が出て、身体に拳大の腫れが出来たら数日で死んでしまうらしいのです。」
「ノアさん、何か症状から分かることはある?」
「実際に見てみないとなんとも言えないですが、症状だけを聞くとペストではないかと推測されます。」
ペスト!
聞いたことあるよ。中世ヨーロッパで度々発生して大量死した病気だよね。
たしかネズミが菌をばら撒くんじゃなかったっけ。
「ヒロシ様、その通りです。
人口の1/4が減ったとの情報もあります。」
不味いじゃないか!!
「クルステさん、先ずは患者を隔離しなきゃ。
俺が隔離用の密閉空間を作るから、倦怠感や寒気、熱のある人をそちらに誘導して下さい。
それからミーア、空の上から下水道の入り口に結界を張ってくれるかい。
必ず空の上からだよ。
それと自分に結界を張るのを忘れずにね。
降りたら感染するかもしれないからね。」
「分かったよ。」
「後の皆んなは隔離し忘れている人がいないか監視をお願いします。」
「ヒロシ殿は?」
「俺は今から向こうに行って原因となる菌を収納してきます。」
「それって危険じゃないのですか?」
「結界を張って行くから大丈夫だよ。
さっさと菌を処分して、感染している皆さんを治してくるよ。
ノアさん、特効薬の作成よろしくね。」
「ヒロシ様、了解しました。お気をつけて。」
「ありがとう。行ってくるよ。」
俺はムーン大陸中を飛び回り、片っ端からネズミとペスト菌を収納してまわった。
途中で道に倒れている少女を見つけた。
この世界では珍しい赤毛の女の子だ。
抱き起こしてみるとかなり高熱で、リンパの腫れも酷い。
もう長く無いだろう。
俺は彼女の時間を少しだけ巻き戻して症状を軽くした後、隔離空間に連れて行くことにした。
後は特効薬で治ってくれればいいのだが。
探索と収納を繰り返して、全ての菌やネズミがいなくなったところで、隔離している空間に移動し、ノアさんに作ってもらった特効薬を配って飲んでもらった。
残念ながら、全員を救うことは出来なかったけど、8割くらいは救えたと思う。
スペルさんに連絡して隔離出来ていない人がいないか確認。
恐らく大丈夫だろうとのことだった。
俺はそのまま、下水道に急ぐ。
ミーアが最後の入り口を結界で封鎖するところだった。
俺は下水道に入り込んで、消毒薬の散布と熱風による消毒を行なった。
同時に収納していたペスト菌と媒介となったネズミを処分しておいた。
下水道の中を飛び回り、菌がいないことを確認してから外に出る。
念のため、ミーアと俺も殺菌しておいた。
上空に上がり、ペスト菌を探索する。
全くいなくなったことが確認出来たので、皆んなのところへ戻った。
「ミーア、頑張ってくれてありがとう。」
「ヒロシもお疲れ様。」
俺は協力してくれた皆んなにもお礼を言ってからクルステさんに病気の原因と対処法を説明する。
ペストは不衛生な下水道などで発生したペスト菌をネズミとか害獣が媒介して人間の間にばら撒くのが大きな原因だ。
恐らく下水道の清掃をしていなかったため、ペスト菌の発生とネズミの大繁殖が起きたのだろう。
定期的な下水道の清掃と消毒、ネズミの駆除を徹底するのが予防策になるのだ。
一応特効薬の製法も伝えておいた。
これで巫女を通してクルステさんが王族や外の人達に情報を流してくれるだろう。
とりあえず今回のペストはひと段落着いた。
ただ、この世界は医療技術が全く遅れていることが分かった。
早急医者の育成が必要だ。
俺はまた1/100倍の時空間を作って、医者や衛生技術者を養成した。
彼等が外の世界へ戻って予防と対処をしてくれると思う。
「ヒロシ様、お疲れ様でした。」
「ヒロシ~、お疲れ~。」
「ああ、お疲れ様。
今回は本当に疲れたよ。」
モニター越しに外の世界を見ると幾つかの病院と医療専門学校が出来つつあった。
後は向こうの人達に任せよう。
それ以降、伝染病がゼロになることは無いけど、下水道の清掃を始めとした衛生管理と、医療技術の進歩により、確実に伝染病の被害は小さくなっている。
後日聞いた話しだが、『赤毛の聖女』と呼ばれる女性が地方における医療の普及に大きく寄与したと言う。
彼女の献身的な看護と、的確な医療知識は医療の普及しにくい地方において、まるで女神のようだったと伝えられている。
彼女は亡くなる前に自分のことを語っている。
「わたしは神に命を救われた。
薄れゆく意識の中、神はわたしの痛みを和らげただけでなく、病を治してくれた。
わたしはこの奇跡を少しでも多くの人に分け与えたかったのだ。」と。
各地の教会や王族から被害報告が多数入っています。」
「伝染病は20年おきくらいに発生していますが、今回のはかなり酷そうですね。」
クルステさんの報告を聞いていたハリス王子も心配そうだな。
「どんな症状なのですか?」
「始めは倦怠感と寒気があるらしいんですけど、そのうちに高熱が出て、身体に拳大の腫れが出来たら数日で死んでしまうらしいのです。」
「ノアさん、何か症状から分かることはある?」
「実際に見てみないとなんとも言えないですが、症状だけを聞くとペストではないかと推測されます。」
ペスト!
聞いたことあるよ。中世ヨーロッパで度々発生して大量死した病気だよね。
たしかネズミが菌をばら撒くんじゃなかったっけ。
「ヒロシ様、その通りです。
人口の1/4が減ったとの情報もあります。」
不味いじゃないか!!
「クルステさん、先ずは患者を隔離しなきゃ。
俺が隔離用の密閉空間を作るから、倦怠感や寒気、熱のある人をそちらに誘導して下さい。
それからミーア、空の上から下水道の入り口に結界を張ってくれるかい。
必ず空の上からだよ。
それと自分に結界を張るのを忘れずにね。
降りたら感染するかもしれないからね。」
「分かったよ。」
「後の皆んなは隔離し忘れている人がいないか監視をお願いします。」
「ヒロシ殿は?」
「俺は今から向こうに行って原因となる菌を収納してきます。」
「それって危険じゃないのですか?」
「結界を張って行くから大丈夫だよ。
さっさと菌を処分して、感染している皆さんを治してくるよ。
ノアさん、特効薬の作成よろしくね。」
「ヒロシ様、了解しました。お気をつけて。」
「ありがとう。行ってくるよ。」
俺はムーン大陸中を飛び回り、片っ端からネズミとペスト菌を収納してまわった。
途中で道に倒れている少女を見つけた。
この世界では珍しい赤毛の女の子だ。
抱き起こしてみるとかなり高熱で、リンパの腫れも酷い。
もう長く無いだろう。
俺は彼女の時間を少しだけ巻き戻して症状を軽くした後、隔離空間に連れて行くことにした。
後は特効薬で治ってくれればいいのだが。
探索と収納を繰り返して、全ての菌やネズミがいなくなったところで、隔離している空間に移動し、ノアさんに作ってもらった特効薬を配って飲んでもらった。
残念ながら、全員を救うことは出来なかったけど、8割くらいは救えたと思う。
スペルさんに連絡して隔離出来ていない人がいないか確認。
恐らく大丈夫だろうとのことだった。
俺はそのまま、下水道に急ぐ。
ミーアが最後の入り口を結界で封鎖するところだった。
俺は下水道に入り込んで、消毒薬の散布と熱風による消毒を行なった。
同時に収納していたペスト菌と媒介となったネズミを処分しておいた。
下水道の中を飛び回り、菌がいないことを確認してから外に出る。
念のため、ミーアと俺も殺菌しておいた。
上空に上がり、ペスト菌を探索する。
全くいなくなったことが確認出来たので、皆んなのところへ戻った。
「ミーア、頑張ってくれてありがとう。」
「ヒロシもお疲れ様。」
俺は協力してくれた皆んなにもお礼を言ってからクルステさんに病気の原因と対処法を説明する。
ペストは不衛生な下水道などで発生したペスト菌をネズミとか害獣が媒介して人間の間にばら撒くのが大きな原因だ。
恐らく下水道の清掃をしていなかったため、ペスト菌の発生とネズミの大繁殖が起きたのだろう。
定期的な下水道の清掃と消毒、ネズミの駆除を徹底するのが予防策になるのだ。
一応特効薬の製法も伝えておいた。
これで巫女を通してクルステさんが王族や外の人達に情報を流してくれるだろう。
とりあえず今回のペストはひと段落着いた。
ただ、この世界は医療技術が全く遅れていることが分かった。
早急医者の育成が必要だ。
俺はまた1/100倍の時空間を作って、医者や衛生技術者を養成した。
彼等が外の世界へ戻って予防と対処をしてくれると思う。
「ヒロシ様、お疲れ様でした。」
「ヒロシ~、お疲れ~。」
「ああ、お疲れ様。
今回は本当に疲れたよ。」
モニター越しに外の世界を見ると幾つかの病院と医療専門学校が出来つつあった。
後は向こうの人達に任せよう。
それ以降、伝染病がゼロになることは無いけど、下水道の清掃を始めとした衛生管理と、医療技術の進歩により、確実に伝染病の被害は小さくなっている。
後日聞いた話しだが、『赤毛の聖女』と呼ばれる女性が地方における医療の普及に大きく寄与したと言う。
彼女の献身的な看護と、的確な医療知識は医療の普及しにくい地方において、まるで女神のようだったと伝えられている。
彼女は亡くなる前に自分のことを語っている。
「わたしは神に命を救われた。
薄れゆく意識の中、神はわたしの痛みを和らげただけでなく、病を治してくれた。
わたしはこの奇跡を少しでも多くの人に分け与えたかったのだ。」と。
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