89 / 132
ムーン大陸でも国造り
イリヤとミーアに再会しました
しおりを挟む
ようやく、イリヤとミーアの元へ帰ってきた。
俺にしがみつき泣いているイリヤとミーアを立ったまましばらく抱きしめていた。
やがて落ち着きを取り戻したふたりは、少し恥ずかしそうに俺から離れた。
俺達3人は手をつないだままソファーに移動する。
俺を挟んで座るイリヤとミーア。
机の上に置いてあるポットからイリヤがお茶を入れてくれる。
ミーアとこの家に住み始めた時に作った魔石保温型のポットだ。
イリヤの好きだった香りの強い紅茶を楽しむ。
「こちらの世界に移動する時に少しだけ持って来てたの。ちょっとづつ飲んでたんだけどなくなってきちゃって。
なんかヒロシさんがいなくなったことと重なって悲しくなっていたら、ミーアが同じ香りの葉を探してきてくれたの。」
「森に生えていた木から同じ匂いがしたから取ってきたんだ。イリヤが元気になってくれて良かったよ。
そうだヒロシ、ご飯にしよう。泣きつかれたらお腹減って来ちゃったよ。
僕もご飯作るの上手くなったんだよ。昨日もハンバーグ作ったし。」
ミーアが冷蔵庫から焼く前のハンバーグを持ってきて俺に見せてくれた。
前に一緒に作った時は全然丸くならなくて指の型がいっぱいだったのに、目の前にあるハンバーグはまん丸になっている。
「上手くなったね。ミーア。」
俺の褒めた声を聞いてミーアが感極まり泣き始めた。
優しく抱いてやると、涙をいっぱい溜めた目を上げて俺に微笑んだ。
「よし、今日は久しぶりに俺が料理を作ってやるよ。」
「お手伝いします!」
「じゃあ僕は食器を並べるね。」
俺達は仲良く台所で晩御飯の支度を始めたんだ。
久しぶりに3人で食べる食事を終えて、お互いにあの後の話しをした。
あの後、続々と転移してくる人達を振り分けて土地を与えていくことに各国の王族はてんてこまいになっていたみたい。
特に魔人と人間の確執には苦労したみたいだ。
シルベスタさんとハンス王子、デニス王が一緒になって説得したって。
人間の中でもシルベスタさんの武勇伝を崇拝する者達も説得活動に大活躍して、何とか落ち着いたらしい。
クルステさんが迅速に地域を振り分けてそれぞれの国に割り当ててくれたおかげで、転移の騒動も早いうちに収まったみたいだ。
まぁここの圧倒的な科学力を見せられたら、いつもは偉そうにしている人達も萎縮しちゃうよね。
土地の広さも前の2倍近くあるしほとんど平地だったから、土地の奪い合いも起らなかったみたいだ。
大陸の中央にある旧島部分に統一政府が作られて、各国から代表者が派遣されることになったらしい。
この統一政府の件、国がリセットされて新しくなったらパワーバランスが崩れるかもしれないから、国に関係なく大陸運営する組織の構築を事前に提案しておいたんだ。
クルステさん、エレクトス王国からはフランシス王子、インディアナ神国からはスぺルさん、ジーポン王国からはハリス王子、ボルトー魔国からはシルベスタさんの5人による合議制になったみたい。
ボルトー魔国は王太子がいなくて王女様とシルベスタさんが婚約していたみたいだからシルベスタさんが実質王太子みたいなものか。
各国の現首脳はそれぞれの国の立て直しに専念するみたいで、将来的な統一国家に向けて若い力を集めようということになったようだ。
スペルさんはちょっと年上だし、シルベスタさんにいたっては400歳を越えているはずなんだけど。
まあ、見た目や国民の支持率から考えたら順当なところかと。
統一政府の長には俺が付くことになっていたみたいで、現在も不在になっているらしい。
ただ困った事態が起きていた。
そう、旧島とその外では時間の流れが違うってこと。
あれから120年経って、完全に統一政府が治める国になっているんだけど、旧島ではまだ1年半しか経っていないから、初期の統一政府メンバーがそのまま残っているとのこと。
「それでね、わたしとミーアもアルマニ領の再生に戻ろうかって話しをしてたんだけど、時間の流れが違うことが分かったから、わたし達2人はこっちに残ってヒロシさんを待つようにって、お母様が言ってくれたの。」
そうだったのか、デニス王やマリヤ様、スマル様に会えないのは残念だけど、フランシス王子やハリス王子、スマルさんがいるのは嬉しいな。
統一政府も気になるし、明日の朝にでも顔を出してみるとするかな。
その晩は、俺が真ん中でイリヤとミーアが隣に川の字で寝たんだ。
もちろん深夜まで話しは尽きなかったよ。
翌日統一政府本部に向かう。
この3年、いや外では200年の年月が経っているが、その間にずいぶんと内政の体制は進んでいるようだ。
クルステさんの塔、今では政府塔と呼ぶらしいが、その16階にある統一政府事務局に向かう。
エレベータで16階に上がる。
エレベータの扉が開くとすぐに広い部屋になっていて、いくつかの机とソファーセット、大きな会議机が置かれている。
「ヒロシ殿久しぶりだな。」
懐かしい声、スペルさんの声だ。
声のする方を見るとスペルさん、フランシス王子、ハリス王子、シルベスタさん、そしてクルステさんが俺を迎えてくれた。
「ヒロシ君、君を待っていたんだよ。さあ、向こうに行こう。」
シルベスタさんに促され、皆んなで会議机に移動する。
俺にしがみつき泣いているイリヤとミーアを立ったまましばらく抱きしめていた。
やがて落ち着きを取り戻したふたりは、少し恥ずかしそうに俺から離れた。
俺達3人は手をつないだままソファーに移動する。
俺を挟んで座るイリヤとミーア。
机の上に置いてあるポットからイリヤがお茶を入れてくれる。
ミーアとこの家に住み始めた時に作った魔石保温型のポットだ。
イリヤの好きだった香りの強い紅茶を楽しむ。
「こちらの世界に移動する時に少しだけ持って来てたの。ちょっとづつ飲んでたんだけどなくなってきちゃって。
なんかヒロシさんがいなくなったことと重なって悲しくなっていたら、ミーアが同じ香りの葉を探してきてくれたの。」
「森に生えていた木から同じ匂いがしたから取ってきたんだ。イリヤが元気になってくれて良かったよ。
そうだヒロシ、ご飯にしよう。泣きつかれたらお腹減って来ちゃったよ。
僕もご飯作るの上手くなったんだよ。昨日もハンバーグ作ったし。」
ミーアが冷蔵庫から焼く前のハンバーグを持ってきて俺に見せてくれた。
前に一緒に作った時は全然丸くならなくて指の型がいっぱいだったのに、目の前にあるハンバーグはまん丸になっている。
「上手くなったね。ミーア。」
俺の褒めた声を聞いてミーアが感極まり泣き始めた。
優しく抱いてやると、涙をいっぱい溜めた目を上げて俺に微笑んだ。
「よし、今日は久しぶりに俺が料理を作ってやるよ。」
「お手伝いします!」
「じゃあ僕は食器を並べるね。」
俺達は仲良く台所で晩御飯の支度を始めたんだ。
久しぶりに3人で食べる食事を終えて、お互いにあの後の話しをした。
あの後、続々と転移してくる人達を振り分けて土地を与えていくことに各国の王族はてんてこまいになっていたみたい。
特に魔人と人間の確執には苦労したみたいだ。
シルベスタさんとハンス王子、デニス王が一緒になって説得したって。
人間の中でもシルベスタさんの武勇伝を崇拝する者達も説得活動に大活躍して、何とか落ち着いたらしい。
クルステさんが迅速に地域を振り分けてそれぞれの国に割り当ててくれたおかげで、転移の騒動も早いうちに収まったみたいだ。
まぁここの圧倒的な科学力を見せられたら、いつもは偉そうにしている人達も萎縮しちゃうよね。
土地の広さも前の2倍近くあるしほとんど平地だったから、土地の奪い合いも起らなかったみたいだ。
大陸の中央にある旧島部分に統一政府が作られて、各国から代表者が派遣されることになったらしい。
この統一政府の件、国がリセットされて新しくなったらパワーバランスが崩れるかもしれないから、国に関係なく大陸運営する組織の構築を事前に提案しておいたんだ。
クルステさん、エレクトス王国からはフランシス王子、インディアナ神国からはスぺルさん、ジーポン王国からはハリス王子、ボルトー魔国からはシルベスタさんの5人による合議制になったみたい。
ボルトー魔国は王太子がいなくて王女様とシルベスタさんが婚約していたみたいだからシルベスタさんが実質王太子みたいなものか。
各国の現首脳はそれぞれの国の立て直しに専念するみたいで、将来的な統一国家に向けて若い力を集めようということになったようだ。
スペルさんはちょっと年上だし、シルベスタさんにいたっては400歳を越えているはずなんだけど。
まあ、見た目や国民の支持率から考えたら順当なところかと。
統一政府の長には俺が付くことになっていたみたいで、現在も不在になっているらしい。
ただ困った事態が起きていた。
そう、旧島とその外では時間の流れが違うってこと。
あれから120年経って、完全に統一政府が治める国になっているんだけど、旧島ではまだ1年半しか経っていないから、初期の統一政府メンバーがそのまま残っているとのこと。
「それでね、わたしとミーアもアルマニ領の再生に戻ろうかって話しをしてたんだけど、時間の流れが違うことが分かったから、わたし達2人はこっちに残ってヒロシさんを待つようにって、お母様が言ってくれたの。」
そうだったのか、デニス王やマリヤ様、スマル様に会えないのは残念だけど、フランシス王子やハリス王子、スマルさんがいるのは嬉しいな。
統一政府も気になるし、明日の朝にでも顔を出してみるとするかな。
その晩は、俺が真ん中でイリヤとミーアが隣に川の字で寝たんだ。
もちろん深夜まで話しは尽きなかったよ。
翌日統一政府本部に向かう。
この3年、いや外では200年の年月が経っているが、その間にずいぶんと内政の体制は進んでいるようだ。
クルステさんの塔、今では政府塔と呼ぶらしいが、その16階にある統一政府事務局に向かう。
エレベータで16階に上がる。
エレベータの扉が開くとすぐに広い部屋になっていて、いくつかの机とソファーセット、大きな会議机が置かれている。
「ヒロシ殿久しぶりだな。」
懐かしい声、スペルさんの声だ。
声のする方を見るとスペルさん、フランシス王子、ハリス王子、シルベスタさん、そしてクルステさんが俺を迎えてくれた。
「ヒロシ君、君を待っていたんだよ。さあ、向こうに行こう。」
シルベスタさんに促され、皆んなで会議机に移動する。
1
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる