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ムーン大陸でも国造り

イリヤとミーアに再会しました

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ようやく、イリヤとミーアの元へ帰ってきた。

俺にしがみつき泣いているイリヤとミーアを立ったまましばらく抱きしめていた。

やがて落ち着きを取り戻したふたりは、少し恥ずかしそうに俺から離れた。

俺達3人は手をつないだままソファーに移動する。

俺を挟んで座るイリヤとミーア。

机の上に置いてあるポットからイリヤがお茶を入れてくれる。

ミーアとこの家に住み始めた時に作った魔石保温型のポットだ。

イリヤの好きだった香りの強い紅茶を楽しむ。

「こちらの世界に移動する時に少しだけ持って来てたの。ちょっとづつ飲んでたんだけどなくなってきちゃって。
なんかヒロシさんがいなくなったことと重なって悲しくなっていたら、ミーアが同じ香りの葉を探してきてくれたの。」

「森に生えていた木から同じ匂いがしたから取ってきたんだ。イリヤが元気になってくれて良かったよ。

そうだヒロシ、ご飯にしよう。泣きつかれたらお腹減って来ちゃったよ。

僕もご飯作るの上手くなったんだよ。昨日もハンバーグ作ったし。」

ミーアが冷蔵庫から焼く前のハンバーグを持ってきて俺に見せてくれた。

前に一緒に作った時は全然丸くならなくて指の型がいっぱいだったのに、目の前にあるハンバーグはまん丸になっている。

「上手くなったね。ミーア。」

俺の褒めた声を聞いてミーアが感極まり泣き始めた。

優しく抱いてやると、涙をいっぱい溜めた目を上げて俺に微笑んだ。

「よし、今日は久しぶりに俺が料理を作ってやるよ。」

「お手伝いします!」

「じゃあ僕は食器を並べるね。」

俺達は仲良く台所で晩御飯の支度を始めたんだ。



久しぶりに3人で食べる食事を終えて、お互いにあの後の話しをした。


あの後、続々と転移してくる人達を振り分けて土地を与えていくことに各国の王族はてんてこまいになっていたみたい。

特に魔人と人間の確執には苦労したみたいだ。

シルベスタさんとハンス王子、デニス王が一緒になって説得したって。

人間の中でもシルベスタさんの武勇伝を崇拝する者達も説得活動に大活躍して、何とか落ち着いたらしい。

クルステさんが迅速に地域を振り分けてそれぞれの国に割り当ててくれたおかげで、転移の騒動も早いうちに収まったみたいだ。

まぁここの圧倒的な科学力を見せられたら、いつもは偉そうにしている人達も萎縮しちゃうよね。

土地の広さも前の2倍近くあるしほとんど平地だったから、土地の奪い合いも起らなかったみたいだ。

大陸の中央にある旧島部分に統一政府が作られて、各国から代表者が派遣されることになったらしい。

この統一政府の件、国がリセットされて新しくなったらパワーバランスが崩れるかもしれないから、国に関係なく大陸運営する組織の構築を事前に提案しておいたんだ。

クルステさん、エレクトス王国からはフランシス王子、インディアナ神国からはスぺルさん、ジーポン王国からはハリス王子、ボルトー魔国からはシルベスタさんの5人による合議制になったみたい。

ボルトー魔国は王太子がいなくて王女様とシルベスタさんが婚約していたみたいだからシルベスタさんが実質王太子みたいなものか。

各国の現首脳はそれぞれの国の立て直しに専念するみたいで、将来的な統一国家に向けて若い力を集めようということになったようだ。

スペルさんはちょっと年上だし、シルベスタさんにいたっては400歳を越えているはずなんだけど。

まあ、見た目や国民の支持率から考えたら順当なところかと。

統一政府の長には俺が付くことになっていたみたいで、現在も不在になっているらしい。


ただ困った事態が起きていた。

そう、旧島とその外では時間の流れが違うってこと。

あれから120年経って、完全に統一政府が治める国になっているんだけど、旧島ではまだ1年半しか経っていないから、初期の統一政府メンバーがそのまま残っているとのこと。

「それでね、わたしとミーアもアルマニ領の再生に戻ろうかって話しをしてたんだけど、時間の流れが違うことが分かったから、わたし達2人はこっちに残ってヒロシさんを待つようにって、お母様が言ってくれたの。」

そうだったのか、デニス王やマリヤ様、スマル様に会えないのは残念だけど、フランシス王子やハリス王子、スマルさんがいるのは嬉しいな。

統一政府も気になるし、明日の朝にでも顔を出してみるとするかな。

その晩は、俺が真ん中でイリヤとミーアが隣に川の字で寝たんだ。

もちろん深夜まで話しは尽きなかったよ。




翌日統一政府本部に向かう。

この3年、いや外では200年の年月が経っているが、その間にずいぶんと内政の体制は進んでいるようだ。

クルステさんの塔、今では政府塔と呼ぶらしいが、その16階にある統一政府事務局に向かう。

エレベータで16階に上がる。

エレベータの扉が開くとすぐに広い部屋になっていて、いくつかの机とソファーセット、大きな会議机が置かれている。

「ヒロシ殿久しぶりだな。」

懐かしい声、スペルさんの声だ。

声のする方を見るとスペルさん、フランシス王子、ハリス王子、シルベスタさん、そしてクルステさんが俺を迎えてくれた。

「ヒロシ君、君を待っていたんだよ。さあ、向こうに行こう。」

シルベスタさんに促され、皆んなで会議机に移動する。

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