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ムーン大陸で大冒険

たまには休んでゆっくりするのもいいんじゃない

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島の探索を始めて20日くらい経った。

昨日島の東半分の探索を終えたので、今日は家でまったりしている。

俺は即席で作ったリクライニングチェアでぼーっとしているし、ミーアは何故かタマの姿で俺の腹の上で丸まっている。

結構タマの姿が気に入っているらしい。

ほら猫って体が柔らかいじゃない。
肩が凝らないんだって。
そのうえ全身が体毛に覆われているから暖かいらしい。

確かにここって寒いからね。
俺もタマが腹の上にいると暖かくて気持ちがいいから大歓迎だ。

テレビもパソコンもスマホも無い生活。
何かに時間を追われることもなく、口うるさい人もいないし、もっと言えばミーア以外誰もいない世界。

こんな緩やかな時間をまったりと過ごすのって理想だよね。

ラノベでよくスローライフって書いているけど、結構忙しく動いているじゃない。全然スローライフじゃないし。

『せっかく異世界に来たんだから、こんな時間をもっと過ごしたいなぁ』と思いながら1日を過ごした。


翌日、昨日と同じようにまったりしようと思っていたんだけど、現代人の俺にとっては無理だった。

暇で暇でしようがない。

魔人は長命だから、時間の間隔が俺とは全然違うみたいで今日もミーアはタマの姿で絶賛日向ぼっこ中だけど。

確かに武者修行っていって森で10年間も人間を待っていたんだから、2日や3日なんて何でもないんだろうけどね。

でも現代日本人で日々時間に追われていた俺にとって、2日間もじっとしているなんて耐えられないよ。

結局俺にはスローライフなんて無理なんだよな。

「ミーア、畑の様子でも見てくるよ。」

ミーアは器用にタマの尻尾を振って、「いってらっしゃい」って。

畑は家のすぐ横にあるから、外に出るだけなんだけど。

自分用の野菜を作るだけの畑仕事なんて、これこそスローライフって感じだけど、実は何も植えて無かったのを忘れてた。

この前植えた時は、光魔法初級の促成を使って、即収獲したんだった。

仕方がないから種蒔きと水まきをする。

小さな畑だからすぐに終わった。

さて促成を使って…うん?すぐ終わっちゃうじゃん。

使わなかったら作業終了。

仕方がないからまた促成ですぐに成長させる。

そして収獲してから収納っと。

収納だけでもいいんだけど、すぐに終わるからね。

収獲くらいは自分の手でやりたいじゃないか。

とはいえ、種蒔きから収納まで1時間も掛かっていない。
まだ昼前だし。

そうだ、狩りでもしようっと。

俺は巨大な森に転移して狩りを楽しむことにした。

動物は少ないけど魔物はそれなりにいたし。

「たしかこの辺りだったよな。」

森で狩りをしながら歩いていると、あの廃墟に着いた。

「ちょっと調べてみますかね。」

この前来た時も調べたんだけど、あの時は探索の途中だったからあまり深く調べてなかった。

時間もあるし、今調べておこう。



明らかにオフィスビルだったであろう鉄筋コンクリート製の廃墟が5棟。
そのいちばん手前から見ていく。

窓の位置から考えて3階の途中で倒れたみたいだ。

少し宙に浮くとちょうどその辺りの床が見えている。

カビだらけの床に苔や雑草が生えているが、それに混じって見慣れたものがある。

スチール製の椅子だ。

上にあったであろう布なんかは風化したのだろう、アルミやステンレスだけが残っているんだが、こんなもの見間違うはずがない。

机も同じく、ところどころ亜鉛メッキが剥げていないところだけが元の形を連想させる。

剥き出しのフロアに降り立ち少し歩くと階段があった。

その近くにはエレベーターの跡らしき竪穴もあるから、恐らく非常階段だ。

鉄製の階段は腐食が激しく降りられそうにないから、エレベーターの竪穴を降りていく。

いちばん下まで降りると広いフロアになっている。
完全に土の下に埋もれているから暗くてよく見えない。

火魔法で明かりをとって奥の方を見ると大量の土が雪崩れこんでいる。

ビルの玄関にあるガラス扉が割れて入り込んだのだろう。

右手には受付カウンターぽい残骸もあり、オフィスビルであったことを裏付けている。

その他には簡素な椅子や机の残骸も多数あったが、その他には目に留まる者も無いため2階に移動することにした。

2階のエレベータホールに出るとよく似た大きさの部屋が横並びに5つある。

向かって右側の一番奥にはステンレスらしき光沢のある四角の台。真ん中がへこんでいるところから推測すると恐らくミニキッチンだったに違いない。

前に同級生の柴田の父親が経営している会社の見学に行った時に見た光景を思い出したけど、そのビルと同じ感じだ。

ミニキッチンのある小部屋からすぐ横にある比較的大きな部屋に入る。

表から見えていた場所のように机や椅子の残骸が大量に転がっている部屋の中には、壁沿いにキャビネットのようなものがあり、その中にはボロボロになった木の皮の残骸のような粉が大量に積もっており、その隙間から朽ちてはいるが本のようなものが少し見えたのだった。




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