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ようこそ異世界へ
ミーアも冒険者の仲間入りです。
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「いったい君は何者なんだ?」
ホールドさんが真っすぐに俺を見つめている。
その目には畏怖も読み取れるけど、そんなことよりも興味深々ってとこだ。
これも気配察知能力のおかげ。
でもホールドさんって冒険者ギルドのトップでスタイロンさん達と一緒にドラゴンスレイヤーって呼ばれている人だよね。
俺なんかつい最近どころか数日前まで普通の中学生だったんだから、そんなに大したことは無いと思うんだけど。
あっ、もしかしたら俺って無自覚で無双なの?やっぱりラノベの定番の勇者なの?
俺が黙っていると、目の前に剣が突き出され、慌てて後ろに下がる。
俺もこれまでの戦闘で運ポイントがかなり上がっているから、高速演算能力の持続時間も、だいぶ伸びている。
「やっぱり見えているんだな。『稲妻の剣』と呼ばれた俺の剣撃が。」
『稲妻の剣』って厨二病じゃあるまいしって思うけど。
ただ、ホールドさんは本気だ。
俺に対する疑念が増えているみたいだよ。
ラノベの主人公だったらどうする?
正直に言うべきか、ごまかすべきか。
これまで読んだラノベの主人公達を思い浮かべながら俺は決断する。
正直に言おう。きっとその方が良いはずだ。
俺は正直に話すことにした。
「実は俺はこの世界の人間じゃないんです。元の世界の学校内で歩いていたら、狐の神様にこの世界に飛ばされて。」
「「「はあー?」」」
ホールドさん、ミルクさんはともかく、ミーアの頭にさえ?マークがついている。
ミーア、お前には王都までの途中で説明しただろう。
ミーアに突っ込むのは置いといて、ともかく説明をするのが先だ。
「俺、元の世界では榎木広志って名前でした。地球って星の日本っていう国に住む15歳の男です。
何故か突然ミケツカミって名前の狐の神様にこの世界に呼び出されたのです。
理由は教えてもらえなかったんですが、100年この世界で生きるようにって。
信じてもらえないかも知れませんが、これが俺達の世界の文字です。」
俺は、こちらの世界に来る時に持っていた説明会の案内書とノートを収納してあったカバンから取り出してホールドさん達に見せた。
「...ミケツカミ様、この文字...本当に?まさか。
ヒロシ君、君の話しは理解した。その会ったというミケツカミの姿をここに書いてみてくれないか?」
「わかりました。」
俺はミケツカミの絵を、差し出された紙のようなものに持っていた鉛筆で書いた。
2本足の狐が岩の上に立っている絵だ。
絵心はそんなに無いのだが、まずまずの出来か。
「こんな感じです。」
ホールドさんは懐から取り出した木板のようなものと俺の絵を見比べて驚いている。
「なぜ、君がこの絵を!そうか、君の話しが本当だとすれば確かに合点がいく。」
ミルクさんは、ホールドさんの反応を不思議そうに見ている。
「ギルマス、どうされたのですか?」
「ミルク君、このギルマス連絡板を見てくれ。ここに書いてある絵とヒロシ君が描いた絵が似ていないか。」
「ええ、ヒロシさんの絵の方が精緻だと思いますが。これが何か?」
「この絵は、昨日スワリング教国で見つかった壁画の絵だ。あの地方に伝わる伝説では、創造神ミケツカミ様がこの世界に降臨された地と言われている場所で発見されたそうだ。
昼前にこの情報が届いたばかりだから、君が知らなくても無理はない。」
「これがミケツカミ様のお姿なのですか!確かにヒロシさんの絵とよく似ています。えっ、ということはヒロシさんの言ってることは正しいってことですか?」
「そうだな、この情報は冒険者ギルドのギルマスでも各国1人づつくらいしか知らないはずだ。
それを知っていて、且つ、これだけ精緻に描けるということは。
それともう一つ。彼の持っている筆を見てみるのだ。
あんな筆は見たこともない。炭もつけずに描けるだけでなく、こんなに整った線を描ける筆を私は初めて見た。
ヒロシ君、それは君の世界の筆記具かい?」
「あっ、つい使っちゃった。そうです、私の世界で使われている鉛筆っていうものです。」
「ミルク君、ミケツカミ様の絵といい、この鉛筆という筆といい、これはヒロシ君の話しを信用するしかあるまい。」
「ええ、そうですね。それにギルマスがそうおっしゃるのであれば...」
「ヒロシ君、君の話しはあまりにも私達の常識を逸しているので完全に信じ切れているわけでは無いが、それでも私はこの世界で君が生きていくためのフォローをするつもりだ。
スタイロンやラスク同様、私も頼ってくれ。それとミルク君を君達の専属受付とする。
彼女はウチの副ギルマスなので、私同様信用してくれて大丈夫だ。
ただ、この国の人間は猜疑心が強く、悪意を持った者も多いので、気を付けるようにな。」
「はい、この世界に来てすぐに荒又の旦那とかいう奴に代官殺しの冤罪で処刑されましたから、身を持って知っていますよ。
ミケツカミ様に生き返らせて頂きましたが。」
「そうだったのか。もしかして数日前のことか?」
「そうです。ここから吸血蚊のたくさんいた草原を越えた向こう側ですね。」
「ミルク君、すぐに手配してくれるか!少しおかしいと思っていたんだ。
ヒロシ君、君のおかげで、カワス町代官殺害事件の真相が解けそうだ。ありがとう。」
ミルクさんが慌てて部屋を出ていった。
「ところで、ミーア君と言ったか。君は魔人なのにどうしてこの国へ?」
「お父様の大切な花瓶を割ったら、『武者修行に行ってシルベスタ兄様より強くなって帰って来い』と言われて、森の中にいたんだけど、ヒロシが来て、ちょっと寂しかったから、一緒に...」
「俺がラスクさんの依頼で森に採取に行ったとき、ミーアと知り合ったんです。」
緊張してか尻切れトンボになるミーアの言葉を補足する。
「シルベスタって、まさかあのシルベスタ・シュナウザーか!」
「兄様をご存じなんですか?」
「魔人、いやこの世界で最強と言われる剣士ではないか。とすると君のおばあ様はレーサ様では。」
「そうです。僕のおばあ様です。よくご存じですね。」
「レーサ様は我が祖国インデアナ神国の王女様で、はるか昔ポルトー王家に嫁がれた伝説の方なのだ。」
「そう言えば、前に母様に聞いたことがあるような。」
「シュナウザー家といえばポルトー魔国の公爵家だったな。全く、君らは。」
あきれ顔のホールドさんに俺は尋ねる。
「あのー、ところでミーアの冒険者登録はしてもらえますか?」
ホールドさんが真っすぐに俺を見つめている。
その目には畏怖も読み取れるけど、そんなことよりも興味深々ってとこだ。
これも気配察知能力のおかげ。
でもホールドさんって冒険者ギルドのトップでスタイロンさん達と一緒にドラゴンスレイヤーって呼ばれている人だよね。
俺なんかつい最近どころか数日前まで普通の中学生だったんだから、そんなに大したことは無いと思うんだけど。
あっ、もしかしたら俺って無自覚で無双なの?やっぱりラノベの定番の勇者なの?
俺が黙っていると、目の前に剣が突き出され、慌てて後ろに下がる。
俺もこれまでの戦闘で運ポイントがかなり上がっているから、高速演算能力の持続時間も、だいぶ伸びている。
「やっぱり見えているんだな。『稲妻の剣』と呼ばれた俺の剣撃が。」
『稲妻の剣』って厨二病じゃあるまいしって思うけど。
ただ、ホールドさんは本気だ。
俺に対する疑念が増えているみたいだよ。
ラノベの主人公だったらどうする?
正直に言うべきか、ごまかすべきか。
これまで読んだラノベの主人公達を思い浮かべながら俺は決断する。
正直に言おう。きっとその方が良いはずだ。
俺は正直に話すことにした。
「実は俺はこの世界の人間じゃないんです。元の世界の学校内で歩いていたら、狐の神様にこの世界に飛ばされて。」
「「「はあー?」」」
ホールドさん、ミルクさんはともかく、ミーアの頭にさえ?マークがついている。
ミーア、お前には王都までの途中で説明しただろう。
ミーアに突っ込むのは置いといて、ともかく説明をするのが先だ。
「俺、元の世界では榎木広志って名前でした。地球って星の日本っていう国に住む15歳の男です。
何故か突然ミケツカミって名前の狐の神様にこの世界に呼び出されたのです。
理由は教えてもらえなかったんですが、100年この世界で生きるようにって。
信じてもらえないかも知れませんが、これが俺達の世界の文字です。」
俺は、こちらの世界に来る時に持っていた説明会の案内書とノートを収納してあったカバンから取り出してホールドさん達に見せた。
「...ミケツカミ様、この文字...本当に?まさか。
ヒロシ君、君の話しは理解した。その会ったというミケツカミの姿をここに書いてみてくれないか?」
「わかりました。」
俺はミケツカミの絵を、差し出された紙のようなものに持っていた鉛筆で書いた。
2本足の狐が岩の上に立っている絵だ。
絵心はそんなに無いのだが、まずまずの出来か。
「こんな感じです。」
ホールドさんは懐から取り出した木板のようなものと俺の絵を見比べて驚いている。
「なぜ、君がこの絵を!そうか、君の話しが本当だとすれば確かに合点がいく。」
ミルクさんは、ホールドさんの反応を不思議そうに見ている。
「ギルマス、どうされたのですか?」
「ミルク君、このギルマス連絡板を見てくれ。ここに書いてある絵とヒロシ君が描いた絵が似ていないか。」
「ええ、ヒロシさんの絵の方が精緻だと思いますが。これが何か?」
「この絵は、昨日スワリング教国で見つかった壁画の絵だ。あの地方に伝わる伝説では、創造神ミケツカミ様がこの世界に降臨された地と言われている場所で発見されたそうだ。
昼前にこの情報が届いたばかりだから、君が知らなくても無理はない。」
「これがミケツカミ様のお姿なのですか!確かにヒロシさんの絵とよく似ています。えっ、ということはヒロシさんの言ってることは正しいってことですか?」
「そうだな、この情報は冒険者ギルドのギルマスでも各国1人づつくらいしか知らないはずだ。
それを知っていて、且つ、これだけ精緻に描けるということは。
それともう一つ。彼の持っている筆を見てみるのだ。
あんな筆は見たこともない。炭もつけずに描けるだけでなく、こんなに整った線を描ける筆を私は初めて見た。
ヒロシ君、それは君の世界の筆記具かい?」
「あっ、つい使っちゃった。そうです、私の世界で使われている鉛筆っていうものです。」
「ミルク君、ミケツカミ様の絵といい、この鉛筆という筆といい、これはヒロシ君の話しを信用するしかあるまい。」
「ええ、そうですね。それにギルマスがそうおっしゃるのであれば...」
「ヒロシ君、君の話しはあまりにも私達の常識を逸しているので完全に信じ切れているわけでは無いが、それでも私はこの世界で君が生きていくためのフォローをするつもりだ。
スタイロンやラスク同様、私も頼ってくれ。それとミルク君を君達の専属受付とする。
彼女はウチの副ギルマスなので、私同様信用してくれて大丈夫だ。
ただ、この国の人間は猜疑心が強く、悪意を持った者も多いので、気を付けるようにな。」
「はい、この世界に来てすぐに荒又の旦那とかいう奴に代官殺しの冤罪で処刑されましたから、身を持って知っていますよ。
ミケツカミ様に生き返らせて頂きましたが。」
「そうだったのか。もしかして数日前のことか?」
「そうです。ここから吸血蚊のたくさんいた草原を越えた向こう側ですね。」
「ミルク君、すぐに手配してくれるか!少しおかしいと思っていたんだ。
ヒロシ君、君のおかげで、カワス町代官殺害事件の真相が解けそうだ。ありがとう。」
ミルクさんが慌てて部屋を出ていった。
「ところで、ミーア君と言ったか。君は魔人なのにどうしてこの国へ?」
「お父様の大切な花瓶を割ったら、『武者修行に行ってシルベスタ兄様より強くなって帰って来い』と言われて、森の中にいたんだけど、ヒロシが来て、ちょっと寂しかったから、一緒に...」
「俺がラスクさんの依頼で森に採取に行ったとき、ミーアと知り合ったんです。」
緊張してか尻切れトンボになるミーアの言葉を補足する。
「シルベスタって、まさかあのシルベスタ・シュナウザーか!」
「兄様をご存じなんですか?」
「魔人、いやこの世界で最強と言われる剣士ではないか。とすると君のおばあ様はレーサ様では。」
「そうです。僕のおばあ様です。よくご存じですね。」
「レーサ様は我が祖国インデアナ神国の王女様で、はるか昔ポルトー王家に嫁がれた伝説の方なのだ。」
「そう言えば、前に母様に聞いたことがあるような。」
「シュナウザー家といえばポルトー魔国の公爵家だったな。全く、君らは。」
あきれ顔のホールドさんに俺は尋ねる。
「あのー、ところでミーアの冒険者登録はしてもらえますか?」
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