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Main story
ビデオチャット参加者の内3/4が同じ部屋にいる状況
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ビデオチャットを繋いだままベッドから学習机へ移動し、勉強を再開。
美紀から質問が飛んで来たら答え、それ以外ではお互い無言。
小学生の時に一度だけ会った事がある俺達だが、無言でいても気まずい雰囲気にはならず、変な気を遣わなくてもいい相手だと感じている。
こういうのはどちらかが主導して雰囲気を作るといった事ではなく、何となくお互い意識しなくてもこの空気にいなる、というのがとても心地良い。
友達としてなのか、それとも男女としてなのか、恋愛経験なんぞない俺にとっては分からないが、美紀と一緒にいる事が苦痛にはならないのは確かだ。
これが気が合うというやつか……?
『なぁイチロー』
「ん? 何だ?」
『呼んでみただけやでー』
……ちょっとウザイけど。
「っかー! 恋人同士みたいな空気出しちゃって!!」
「うわっ!? 入って来るんならノックくらいしろよ!!」
音を立てないように窓を開けたらしく、窓から半身をヌッと出した羽那子にビックリさせられる。
『どしたん? あー、はなちゃんお帰りー』
美紀からは俺の受けた驚きが伝わらなかったらしい。ビデオチャットでも共有出来ないものがあった。
「ただいまー、今チャット入るー」
「いや自分の部屋でやれよ」
畳んであったテーブルを広げて、その上に教科書やノートを置いて行く羽那子。自分の正面にスマホを立て、先ほど送られていたのであろう招待からビデオチャットに参加する。
『おー、イチローの横顔が見えてるわ』
「サービスしとくよ」
何だそのサービス。お前何も損してねぇじゃねぇか。
ここで部屋に帰れとやいやい言ったとしても、ただ時間が無駄になるだけな気がするのでスルーする。
「あー! やってんねぇ。私もここでしよっと」
それが間違いだったのかもしれない。伊千香が自分の部屋から宿題を持って参加して来た。
「じゃあ招待送るねー」
「ほいほーい」
ほいほーいじゃねぇよ。ビデオチャット参加者四人の内三人が同じ部屋にいるってどうなの?
ハウリングしたりしないの? いやそういう問題じゃないな。
「お兄ちゃんのスマホで音量大きくして、私とはなちゃんのスマホをミュートにすればハウリングしないよ」
何でそんなに慣れてんだ!?
「という事はみっきーが少し大きめの声で喋ってくれればいいんだね! なるほどー」
『えっ!? こ、これくらいの声でええかな!?』
「デカい! 声がデカくて集中出来ん!!」
「みっきー、十分聞こえてるから普通の声でいいやー」
『りょー』
あーーーイライラして来た。気分を変えよう。
「ちょっと飲み物取って来る」
「あたしのもお願い、お茶で!」
「私も」
『ほなうちも』
「美紀は自分で取ってこような!!!」
お茶の入ったボトルとコップを三つ持って階段を上る。
部屋から三人の話し声が聞こえて来た。
「そうなんだよ、間接キッスでも自分がするのとされるのとでは全然ハードルが違うでしょ?」
「人が口をつけたペットボトルで飲むって結構ハードル高いよね」
『ちょ、止めてや! うちかてめちゃくちゃ恥ずかしかったんやからな……』
ガールズトークが始まっとる。何となく戻り辛い雰囲気。
「で、お兄ちゃんの反応はどうだったの?」
「うーん、何の意識してない感じだったかな」
『なー、うちらだけドキドキしてアホみたいやった』
それは悪かったな。
ってかこれ以上聞いてたらヤバイ気がする。わざと足音大きめに鳴らして部屋へ戻る。
「それでいっくん、間接キッスの感想はどうだった?」
聞いていたのがバレていたようだ。
「勘弁してくれ」
美紀から質問が飛んで来たら答え、それ以外ではお互い無言。
小学生の時に一度だけ会った事がある俺達だが、無言でいても気まずい雰囲気にはならず、変な気を遣わなくてもいい相手だと感じている。
こういうのはどちらかが主導して雰囲気を作るといった事ではなく、何となくお互い意識しなくてもこの空気にいなる、というのがとても心地良い。
友達としてなのか、それとも男女としてなのか、恋愛経験なんぞない俺にとっては分からないが、美紀と一緒にいる事が苦痛にはならないのは確かだ。
これが気が合うというやつか……?
『なぁイチロー』
「ん? 何だ?」
『呼んでみただけやでー』
……ちょっとウザイけど。
「っかー! 恋人同士みたいな空気出しちゃって!!」
「うわっ!? 入って来るんならノックくらいしろよ!!」
音を立てないように窓を開けたらしく、窓から半身をヌッと出した羽那子にビックリさせられる。
『どしたん? あー、はなちゃんお帰りー』
美紀からは俺の受けた驚きが伝わらなかったらしい。ビデオチャットでも共有出来ないものがあった。
「ただいまー、今チャット入るー」
「いや自分の部屋でやれよ」
畳んであったテーブルを広げて、その上に教科書やノートを置いて行く羽那子。自分の正面にスマホを立て、先ほど送られていたのであろう招待からビデオチャットに参加する。
『おー、イチローの横顔が見えてるわ』
「サービスしとくよ」
何だそのサービス。お前何も損してねぇじゃねぇか。
ここで部屋に帰れとやいやい言ったとしても、ただ時間が無駄になるだけな気がするのでスルーする。
「あー! やってんねぇ。私もここでしよっと」
それが間違いだったのかもしれない。伊千香が自分の部屋から宿題を持って参加して来た。
「じゃあ招待送るねー」
「ほいほーい」
ほいほーいじゃねぇよ。ビデオチャット参加者四人の内三人が同じ部屋にいるってどうなの?
ハウリングしたりしないの? いやそういう問題じゃないな。
「お兄ちゃんのスマホで音量大きくして、私とはなちゃんのスマホをミュートにすればハウリングしないよ」
何でそんなに慣れてんだ!?
「という事はみっきーが少し大きめの声で喋ってくれればいいんだね! なるほどー」
『えっ!? こ、これくらいの声でええかな!?』
「デカい! 声がデカくて集中出来ん!!」
「みっきー、十分聞こえてるから普通の声でいいやー」
『りょー』
あーーーイライラして来た。気分を変えよう。
「ちょっと飲み物取って来る」
「あたしのもお願い、お茶で!」
「私も」
『ほなうちも』
「美紀は自分で取ってこような!!!」
お茶の入ったボトルとコップを三つ持って階段を上る。
部屋から三人の話し声が聞こえて来た。
「そうなんだよ、間接キッスでも自分がするのとされるのとでは全然ハードルが違うでしょ?」
「人が口をつけたペットボトルで飲むって結構ハードル高いよね」
『ちょ、止めてや! うちかてめちゃくちゃ恥ずかしかったんやからな……』
ガールズトークが始まっとる。何となく戻り辛い雰囲気。
「で、お兄ちゃんの反応はどうだったの?」
「うーん、何の意識してない感じだったかな」
『なー、うちらだけドキドキしてアホみたいやった』
それは悪かったな。
ってかこれ以上聞いてたらヤバイ気がする。わざと足音大きめに鳴らして部屋へ戻る。
「それでいっくん、間接キッスの感想はどうだった?」
聞いていたのがバレていたようだ。
「勘弁してくれ」
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