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第十三章:三ノ宮伊吹
人工知能開発会社
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伊吹が伊吹ではなく、前世の一般人男性へと戻ってしまい少々取り乱した翌日。
改めて大会議室にイリヤを招き、今後についての話し合いが行われる。
「昨日はすみませんでした。お恥ずかしい限りです」
伊吹が大会議室に集まった面々に頭を下げる。謝る際に顔を隠していては誠意が伝わらないという判断から、今日はドット絵のお面を付けていない。
男性様が頭を下げた事に対して動揺し、慌ててメアリーとイリヤが立ち上がった。
「どうか頭をお上げください!
あの後にイリヤさんと話したのですが、私とイリヤさんの話の進め方に問題があったと思うのです」
「すみませんでした!」
伊吹よりも深く、メアリーとイリヤが頭を下げる。
その姿を見て、伊吹が笑顔を見せる。
「気を使わせてすみません。もう一度、ゆっくり話し合いたいと思い集まってもらいました。
とりあえずは、お掛け下さい」
英語で何やら言っているイリヤをマチルダが落ち着かせ、その場を藍子が引き継いで話を進める。
「宮坂家から譲り受ける人工知能開発会社の責任者を、イリヤさんにお願いしようと思います」
藍子は福乃と個別に話し、宮坂AI研究所のAI開発が上手く進んでおらず、宮坂財閥系列内でもお荷物的な扱いを受けているという事情を聞かされた。
宮坂AI研究所は年々予算が減らされている為、事務所は賃貸ビルのワンフロアを借りている状況なので、比較的簡単に藍吹伊通り一丁目へ引っ越しが可能である。
福乃はあくまで藍子だけに言うが、と前置きした上で、もしイリヤの管理下でも成果が出ない場合、宮坂AI研究所は潰しても問題ないと聞かされている。
宮坂財閥内では上手く活用出来なかった企業である。もし芽が出れば儲けもの。誰も期待していないので、ダメでも全く問題ないのだ。
(俺のアフターフォローまで考えてくれてるのか)
藍子は伊吹に隠し事はしたくなかった為、正直にその裏話を伝えた。
伊吹としては、裏事情を聞かされている方が、より信頼感が増す。無償の奉仕よりも明確な理由があった方が、その行動に納得が出来るからだ。
(まぁ、福乃さんは藍子が俺に伝える事まで想定済みかも知れないけど)
伊吹がそんな事を考えている間も、藍子がイリヤへの説明を続けていた。
「一からの開発ではなく、宮坂AI研究所の人員と設備や研究資料などが手に入る為、開発費がどれだけ必要になるかの精査から始めてほしいと思っています。
その上で十年間で十億ドル必要なのであれば、こちらも予算確保に動きます。
また、現在VividColorsへ送られて来ている面接希望者の履歴書を元に、有用そうな人材を選んで下さい。優先的にイリヤさんの元へ配属させます」
メアリーの通訳を経て、イリヤが大きく頷いて見せた。
宮坂AI研究所を受け入れるビルの選定は智枝とイリヤと現宮坂AI研究所社長で話し合う事となり、新しい代表取締役としては藍子が、執行役員社長としてイリヤが選ばれる予定である。
その他役員については、現取締役との面談を経て、藍子とイリヤが改めて決定する事となる。
往々にして、財閥系列内の役員というものはお飾りが座っていたりするものである。
「AIやら人工知能やらの開発って何したらええか分からんし、イブイブが取り乱したんもしゃあないと思うわ」
ある程度の話がついたところで、マチルダが独り言のように話す。
伊吹はバツが悪い為、話を変えるべくマチルダへ話を振る。
「マチルダはAIと言えば何を思い浮かべる?」
改めて大会議室にイリヤを招き、今後についての話し合いが行われる。
「昨日はすみませんでした。お恥ずかしい限りです」
伊吹が大会議室に集まった面々に頭を下げる。謝る際に顔を隠していては誠意が伝わらないという判断から、今日はドット絵のお面を付けていない。
男性様が頭を下げた事に対して動揺し、慌ててメアリーとイリヤが立ち上がった。
「どうか頭をお上げください!
あの後にイリヤさんと話したのですが、私とイリヤさんの話の進め方に問題があったと思うのです」
「すみませんでした!」
伊吹よりも深く、メアリーとイリヤが頭を下げる。
その姿を見て、伊吹が笑顔を見せる。
「気を使わせてすみません。もう一度、ゆっくり話し合いたいと思い集まってもらいました。
とりあえずは、お掛け下さい」
英語で何やら言っているイリヤをマチルダが落ち着かせ、その場を藍子が引き継いで話を進める。
「宮坂家から譲り受ける人工知能開発会社の責任者を、イリヤさんにお願いしようと思います」
藍子は福乃と個別に話し、宮坂AI研究所のAI開発が上手く進んでおらず、宮坂財閥系列内でもお荷物的な扱いを受けているという事情を聞かされた。
宮坂AI研究所は年々予算が減らされている為、事務所は賃貸ビルのワンフロアを借りている状況なので、比較的簡単に藍吹伊通り一丁目へ引っ越しが可能である。
福乃はあくまで藍子だけに言うが、と前置きした上で、もしイリヤの管理下でも成果が出ない場合、宮坂AI研究所は潰しても問題ないと聞かされている。
宮坂財閥内では上手く活用出来なかった企業である。もし芽が出れば儲けもの。誰も期待していないので、ダメでも全く問題ないのだ。
(俺のアフターフォローまで考えてくれてるのか)
藍子は伊吹に隠し事はしたくなかった為、正直にその裏話を伝えた。
伊吹としては、裏事情を聞かされている方が、より信頼感が増す。無償の奉仕よりも明確な理由があった方が、その行動に納得が出来るからだ。
(まぁ、福乃さんは藍子が俺に伝える事まで想定済みかも知れないけど)
伊吹がそんな事を考えている間も、藍子がイリヤへの説明を続けていた。
「一からの開発ではなく、宮坂AI研究所の人員と設備や研究資料などが手に入る為、開発費がどれだけ必要になるかの精査から始めてほしいと思っています。
その上で十年間で十億ドル必要なのであれば、こちらも予算確保に動きます。
また、現在VividColorsへ送られて来ている面接希望者の履歴書を元に、有用そうな人材を選んで下さい。優先的にイリヤさんの元へ配属させます」
メアリーの通訳を経て、イリヤが大きく頷いて見せた。
宮坂AI研究所を受け入れるビルの選定は智枝とイリヤと現宮坂AI研究所社長で話し合う事となり、新しい代表取締役としては藍子が、執行役員社長としてイリヤが選ばれる予定である。
その他役員については、現取締役との面談を経て、藍子とイリヤが改めて決定する事となる。
往々にして、財閥系列内の役員というものはお飾りが座っていたりするものである。
「AIやら人工知能やらの開発って何したらええか分からんし、イブイブが取り乱したんもしゃあないと思うわ」
ある程度の話がついたところで、マチルダが独り言のように話す。
伊吹はバツが悪い為、話を変えるべくマチルダへ話を振る。
「マチルダはAIと言えば何を思い浮かべる?」
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