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第九章:事業拡大
副社長の生配信:VC副社長がまたミラー配信をするようです(前)
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◇配信準備中です、もうしばらくお待ち下さい◇
◇配信開始致しましたらYoungNatterでもお知らせ致します◇
「玲実ちゃんの方の同接が五万人。伊吹さんの方が五百万人ですね」
VividColors側の新人Vtuner、中の人を務めるのは元一期生の伊地藤玲夢こと、落合玲実。
現在彼女はビルの四階に与えられている配信部屋で、VCスタジオの技術者と共に配信準備中である。
伊吹はビルの二階にあるVCスタジオにて、玲実が行う生配信を見るミラー配信を行う予定だ。
「準備が出来たと連絡があったので、予定時間通りにカウントダウンを開始するね」
「了解」
藍子の確認を受け、伊吹がドット絵のお面を付ける。今日の衣装も昨日と同じ、狩衣姿だ。
伊吹側の配信は昨日に引き続き投げ銭設定はオフ。そして玲実側のチャンネルは収益化の条件を達成していないので、そもそも設定が出来ない。
「皆さんこんばんは。VividColors副社長です。
今日も皆さんと一緒に新人Vtunerのデビューを見守りたいと思います。
今夜はVividColors側の新人ですので、パソコンとスマホと同時に見れる方は二枠表示させてお楽しみ頂ければと思います。
私の方は声だけ聞いてもらえればいいので、新人Vtunerの方に集中してもらえればいいかなと思います」
≪あのシルエットがどんなキャラなのか楽しみ≫
≪何となく和風な印象を受けたけど≫
≪髪の毛長いっぽいから女性キャラかな≫
≪男性系Vtunerじゃないの?≫
≪楽しみだにゃぁ≫
≪お、来た≫
『お許し下さい! 何卒お許し下さい!!』
『じゃかぁしぃわこのキンカ頭め!
人を自害に追い込んでおいて何を許せと申すかこのたわけが!!』
ざんばら髪を振り乱しながら、平伏して許しを乞う男性の姿。そしてその男性を思いきり蹴飛ばすもう一人の男性。
≪えっこの声って……≫
≪いやでも副社長はこちらに映っておられるし≫
≪あちらの声も……≫
≪出て良い人だっけ??≫
≪生きとったんかいワレーーー!≫
≪誰だか全く分からん有名な人?≫
蹴飛ばされ、倒れ込むもすぐに起き上がり、そして再び平伏する。
その男性の首からは『私は謀反に失敗して竹槍で討ち取られました』という札が下げられている。
≪光秀www≫
≪イタズラした猫じゃないんだからwww≫
≪あぁ伊地藤玲夢イコール明智光秀なのかwww≫
≪じゃあ信長は藍子社長じゃないとでしょw≫
≪現代の本能寺の変とか言われてたもんねw≫
≪髪の毛の動き細かいな、あとてっぺんはピカッてるw≫
「アバターの動きが滑らかでいいなぁ。
口の動きと声に違和感がないね」
≪副社長が生配信していて信長様の声が副社長と同じ声で??≫
≪なるほど副社長は二人いるのにゃ!!≫
≪昨日の合成音声技術の完成版って事?≫
≪それってどういう事? 混乱して意味が分からないよ≫
≪副社長が複数いるなら人は争わなくて済むねにっこり≫
≪一家にお一人副社長!!≫
『私は騙されておったのです!
本能寺に敵がおるとの虚偽の伝令に騙されたです!』
『その伝令はどこの手のものだと言うんじゃ!?』
『えっ!? それはその……、
打ち合わせでそんな話してなかったじゃないですか……』
『じゃかーしぃわ!
こういうのはその場の勢いで適当に乗り切るんじゃこのたわけが!』
またも蹴られて床へ打ち付けられる光秀。
信長は怒りが収まらぬ様子で、腕を組みながら光秀の周りをぐるぐると歩いている。
≪そんな無茶なw≫
≪何という茶番劇www≫
≪これって中の人がいないアバターが動いているって事?≫
≪ちょっと何言ってんのか分かんない≫
≪怒ってるお声も素敵だにゃあ≫
≪にゃーゴロゴロ(腹見せ服従)≫
『まぁ良い、主君を討ってでも天下に号令をかける。
これぞ日ノ本の武士というもの。
しかし、しかしじゃ!
ただの農民に討ち取られるとは何とも情けない!
これではワシが浮かばれんではないか!!』
信長は持っていた扇で光秀の頭頂部をバシバシと打ち付ける。
光秀の頭から☆が飛び出て来る。
≪芸が細かいwww≫
≪それ実装するのにどれだけの時間と手間と金が掛かってるんだw≫
≪特殊効果すげぇな≫
≪圧倒的発想と圧倒的技術力と圧倒的実行力≫
≪小手先の人真似では到底追い付けない≫
≪詳しくは分からんけどすごいって事は分かる≫
『お許しを! どうかお許しを!!』
『もう遅い! ワシも倅も死んでしもぉた!
貴様には地獄の果てまで行ってきゅーっ! と言わせてやるわ!!
と言いたいところじゃが、ワシは行かねばならんところがある。
新九郎もそなたと同じように蹴飛ばしてやらにゃならんのでな!!』
『お待ち下さい!
せめてこの配信で何をすれば良いかだけでもお聞かせ下さい!』
≪すごい言うじゃんwww≫
≪配信で何するか分からずデビューした方が悪いw≫
≪それでも元一期生か?www≫
≪下剋上する行動力はあるのに配信で何すれば良いか聞くなよwww≫
『興が削がれるような事を申すな!
しかし、そうじゃな。このぶいちゅうなぁとやらで天下を取って見せよ。
さすらば許してやらん事もない』
『いやいやそんなの絶対無理じゃん!
副社長が引退してくれない限り不可能じゃん!!』
≪副社長って言っちゃったw≫
≪玲夢まさか副社長にお会いした事はないよね??≫
≪本能寺の変おかわりwww≫
≪ちょっと本能寺に火ぃ付けて来るガタッ≫
≪通報しました≫
≪今も本能寺はあるんだから発言には気を付けよ?≫
『また寝所に火を付けるつもりかこのたわけが!
無理を無理と申して何が成せる!
しかとこの世に轟かせてみよ、己はここにおる、とな!』
再び光秀は蹴飛ばされ、画面の外へと転がり出てしまう。
信長はカメラ目線でニヤリと笑みを浮かべ、扇を広げて敦盛を舞いながら画面外へとはけていく。
≪そして誰もいなくなった≫
≪長政逃げてーーー≫
≪ってか浅井長政も豊臣秀吉も徳川家康も全員連れて来て!≫
≪信長と蘭丸とイチャイチャ配信はありますか??≫
≪歴女には堪らないチャンネルになる予感≫
≪確かに安藤家ではないけどさぁwww≫
そして床を這うようにしながら画面に戻ってきた光秀。
カメラの前で正座し、身嗜みを整えた後、口を開く。
『んんっ!
私は惟任日向守光秀と申す。
そなたらは何ぞや、名を名乗れ!』
≪名wをw名w乗wれwww≫
≪向こうのコメント欄も困惑してる≫
≪吾輩は安藤子猫にゃ!≫
≪明智さんだと思ったら明智さんじゃなかった≫
≪鮒寿司ぶつけんぞ!w≫
≪明智って自ら名乗った事がないらしいわ今調べた≫
◇配信開始致しましたらYoungNatterでもお知らせ致します◇
「玲実ちゃんの方の同接が五万人。伊吹さんの方が五百万人ですね」
VividColors側の新人Vtuner、中の人を務めるのは元一期生の伊地藤玲夢こと、落合玲実。
現在彼女はビルの四階に与えられている配信部屋で、VCスタジオの技術者と共に配信準備中である。
伊吹はビルの二階にあるVCスタジオにて、玲実が行う生配信を見るミラー配信を行う予定だ。
「準備が出来たと連絡があったので、予定時間通りにカウントダウンを開始するね」
「了解」
藍子の確認を受け、伊吹がドット絵のお面を付ける。今日の衣装も昨日と同じ、狩衣姿だ。
伊吹側の配信は昨日に引き続き投げ銭設定はオフ。そして玲実側のチャンネルは収益化の条件を達成していないので、そもそも設定が出来ない。
「皆さんこんばんは。VividColors副社長です。
今日も皆さんと一緒に新人Vtunerのデビューを見守りたいと思います。
今夜はVividColors側の新人ですので、パソコンとスマホと同時に見れる方は二枠表示させてお楽しみ頂ければと思います。
私の方は声だけ聞いてもらえればいいので、新人Vtunerの方に集中してもらえればいいかなと思います」
≪あのシルエットがどんなキャラなのか楽しみ≫
≪何となく和風な印象を受けたけど≫
≪髪の毛長いっぽいから女性キャラかな≫
≪男性系Vtunerじゃないの?≫
≪楽しみだにゃぁ≫
≪お、来た≫
『お許し下さい! 何卒お許し下さい!!』
『じゃかぁしぃわこのキンカ頭め!
人を自害に追い込んでおいて何を許せと申すかこのたわけが!!』
ざんばら髪を振り乱しながら、平伏して許しを乞う男性の姿。そしてその男性を思いきり蹴飛ばすもう一人の男性。
≪えっこの声って……≫
≪いやでも副社長はこちらに映っておられるし≫
≪あちらの声も……≫
≪出て良い人だっけ??≫
≪生きとったんかいワレーーー!≫
≪誰だか全く分からん有名な人?≫
蹴飛ばされ、倒れ込むもすぐに起き上がり、そして再び平伏する。
その男性の首からは『私は謀反に失敗して竹槍で討ち取られました』という札が下げられている。
≪光秀www≫
≪イタズラした猫じゃないんだからwww≫
≪あぁ伊地藤玲夢イコール明智光秀なのかwww≫
≪じゃあ信長は藍子社長じゃないとでしょw≫
≪現代の本能寺の変とか言われてたもんねw≫
≪髪の毛の動き細かいな、あとてっぺんはピカッてるw≫
「アバターの動きが滑らかでいいなぁ。
口の動きと声に違和感がないね」
≪副社長が生配信していて信長様の声が副社長と同じ声で??≫
≪なるほど副社長は二人いるのにゃ!!≫
≪昨日の合成音声技術の完成版って事?≫
≪それってどういう事? 混乱して意味が分からないよ≫
≪副社長が複数いるなら人は争わなくて済むねにっこり≫
≪一家にお一人副社長!!≫
『私は騙されておったのです!
本能寺に敵がおるとの虚偽の伝令に騙されたです!』
『その伝令はどこの手のものだと言うんじゃ!?』
『えっ!? それはその……、
打ち合わせでそんな話してなかったじゃないですか……』
『じゃかーしぃわ!
こういうのはその場の勢いで適当に乗り切るんじゃこのたわけが!』
またも蹴られて床へ打ち付けられる光秀。
信長は怒りが収まらぬ様子で、腕を組みながら光秀の周りをぐるぐると歩いている。
≪そんな無茶なw≫
≪何という茶番劇www≫
≪これって中の人がいないアバターが動いているって事?≫
≪ちょっと何言ってんのか分かんない≫
≪怒ってるお声も素敵だにゃあ≫
≪にゃーゴロゴロ(腹見せ服従)≫
『まぁ良い、主君を討ってでも天下に号令をかける。
これぞ日ノ本の武士というもの。
しかし、しかしじゃ!
ただの農民に討ち取られるとは何とも情けない!
これではワシが浮かばれんではないか!!』
信長は持っていた扇で光秀の頭頂部をバシバシと打ち付ける。
光秀の頭から☆が飛び出て来る。
≪芸が細かいwww≫
≪それ実装するのにどれだけの時間と手間と金が掛かってるんだw≫
≪特殊効果すげぇな≫
≪圧倒的発想と圧倒的技術力と圧倒的実行力≫
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≪詳しくは分からんけどすごいって事は分かる≫
『お許しを! どうかお許しを!!』
『もう遅い! ワシも倅も死んでしもぉた!
貴様には地獄の果てまで行ってきゅーっ! と言わせてやるわ!!
と言いたいところじゃが、ワシは行かねばならんところがある。
新九郎もそなたと同じように蹴飛ばしてやらにゃならんのでな!!』
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せめてこの配信で何をすれば良いかだけでもお聞かせ下さい!』
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≪それでも元一期生か?www≫
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副社長が引退してくれない限り不可能じゃん!!』
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≪玲夢まさか副社長にお会いした事はないよね??≫
≪本能寺の変おかわりwww≫
≪ちょっと本能寺に火ぃ付けて来るガタッ≫
≪通報しました≫
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『また寝所に火を付けるつもりかこのたわけが!
無理を無理と申して何が成せる!
しかとこの世に轟かせてみよ、己はここにおる、とな!』
再び光秀は蹴飛ばされ、画面の外へと転がり出てしまう。
信長はカメラ目線でニヤリと笑みを浮かべ、扇を広げて敦盛を舞いながら画面外へとはけていく。
≪そして誰もいなくなった≫
≪長政逃げてーーー≫
≪ってか浅井長政も豊臣秀吉も徳川家康も全員連れて来て!≫
≪信長と蘭丸とイチャイチャ配信はありますか??≫
≪歴女には堪らないチャンネルになる予感≫
≪確かに安藤家ではないけどさぁwww≫
そして床を這うようにしながら画面に戻ってきた光秀。
カメラの前で正座し、身嗜みを整えた後、口を開く。
『んんっ!
私は惟任日向守光秀と申す。
そなたらは何ぞや、名を名乗れ!』
≪名wをw名w乗wれwww≫
≪向こうのコメント欄も困惑してる≫
≪吾輩は安藤子猫にゃ!≫
≪明智さんだと思ったら明智さんじゃなかった≫
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