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第七章:安藤さん家の四兄弟チャンネル始動
音声合成技術
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今日からこのビル内に、生配信した後の見逃し動画から切り抜き動画を作成し、安藤さん家の四兄弟チャンネルへと投稿する部署が発足する。
部署とは言っても、実際は子会社化したVCスタジオに設置される部署だ。
そして編集者は正社員ではなくフリーの編集者となる。編集者はネット環境のある自宅や自分の職場で編集し、VCスタジオへ納品してもらう形となる。
納品された切り抜き動画をVCスタジオ内で確認し、実際に投稿する。
一本あたりに報酬が設定され、加えて投稿から一定期間内の再生回数に応じて追加報酬が発生する方法を取る。
自分の編集した切り抜き動画の再生回数で報酬が増える為、編集の質を追求するだろうという判断だ。
切り抜き動画を確認する関係上、生配信の際のアバターの動きなどを何度も目にするので、気になる点やもっとこうした方が良いのではという提案をすぐにCGクリエイターに投げる事が出来る。
「それで、VCスタジオの人達は僕が言ってた人材に心当たりがある人はいた?」
「いえ、やっぱり全く分野の違う技術だから心当たりはないって言ってたわ。
キャラの声も声優さんを雇ってたって言ってたし」
伊吹は藍子に対し、とある技術を持つクリエイターを探してほしいと伝えていた。
残念ながらまだ見つける事が出来ないが、伊吹にとってはどうしても欲しい技術だ。
「そうだ、とこちゃん美大生でしょ?
知り合いに人工音声を研究してる学生とかいないの?」
「聞いたことないのよねぇ。もう企業に問い合わせて、出資するなり依頼するなりで研究してもらったら?」
伊吹が探しているのは音声合成技術だ。
いわゆるVOCALOIDやVOICEROIDのように、キーボードで打ち込んだ文章を、さも人間が歌ったり喋ったりしているかのように、合成された音声を出力する技術を指す。
この技術があれば、安藤家の生配信の幅が大きく広がる。
「で、お兄さんはそれを使って何をしたいの?」
「僕の声を元に合成音声にしたら、何が出来るようになると思う?」
「伊吹さんの声を元に……?」
伊吹の声を元に、音声合成技術を使って人工音声を作成すると。
「四つ子が生配信で同時に出れる?」
「むしろ伊吹様が生配信に出る必要がなくなる」
「美哉と橘香、正解」
伊吹が生配信に出る必要がない、というのは言い過ぎにしても、四兄弟のキャラや言いそうな事を把握している人物がキーボードを打てば、ある程度会話が成立するはずだ。
「え、それって人として大丈夫? すごく不気味ね……」
燈子が心底嫌そうな表情をするが、伊吹は共感出来なかった。
「そもそも安藤家四兄弟は人間じゃなく二次元の向こう側にいる存在だからね。
中の人などいない、いいね?」
藍子は頷いているが、燈子はイマイチまだ安藤家というキャラクター像を捉え切れていないようだ。
伊吹という中の人の顔を知っていて、一緒に開発を進めているのだから当然である。
そもそも安藤家のキャラ絵を描き上げたのは燈子だ。
「それより、今日の生配信の事は伝えてくれた?」
「ええ、伊吹さんがお願いしてるからって言ったら来てくれる事になったわ。
生配信の二時間前にはこのビルに来てほしいって伝えてあるわ。
事前に顔合わせする時間は取れるから」
「了解、よろしく」
部署とは言っても、実際は子会社化したVCスタジオに設置される部署だ。
そして編集者は正社員ではなくフリーの編集者となる。編集者はネット環境のある自宅や自分の職場で編集し、VCスタジオへ納品してもらう形となる。
納品された切り抜き動画をVCスタジオ内で確認し、実際に投稿する。
一本あたりに報酬が設定され、加えて投稿から一定期間内の再生回数に応じて追加報酬が発生する方法を取る。
自分の編集した切り抜き動画の再生回数で報酬が増える為、編集の質を追求するだろうという判断だ。
切り抜き動画を確認する関係上、生配信の際のアバターの動きなどを何度も目にするので、気になる点やもっとこうした方が良いのではという提案をすぐにCGクリエイターに投げる事が出来る。
「それで、VCスタジオの人達は僕が言ってた人材に心当たりがある人はいた?」
「いえ、やっぱり全く分野の違う技術だから心当たりはないって言ってたわ。
キャラの声も声優さんを雇ってたって言ってたし」
伊吹は藍子に対し、とある技術を持つクリエイターを探してほしいと伝えていた。
残念ながらまだ見つける事が出来ないが、伊吹にとってはどうしても欲しい技術だ。
「そうだ、とこちゃん美大生でしょ?
知り合いに人工音声を研究してる学生とかいないの?」
「聞いたことないのよねぇ。もう企業に問い合わせて、出資するなり依頼するなりで研究してもらったら?」
伊吹が探しているのは音声合成技術だ。
いわゆるVOCALOIDやVOICEROIDのように、キーボードで打ち込んだ文章を、さも人間が歌ったり喋ったりしているかのように、合成された音声を出力する技術を指す。
この技術があれば、安藤家の生配信の幅が大きく広がる。
「で、お兄さんはそれを使って何をしたいの?」
「僕の声を元に合成音声にしたら、何が出来るようになると思う?」
「伊吹さんの声を元に……?」
伊吹の声を元に、音声合成技術を使って人工音声を作成すると。
「四つ子が生配信で同時に出れる?」
「むしろ伊吹様が生配信に出る必要がなくなる」
「美哉と橘香、正解」
伊吹が生配信に出る必要がない、というのは言い過ぎにしても、四兄弟のキャラや言いそうな事を把握している人物がキーボードを打てば、ある程度会話が成立するはずだ。
「え、それって人として大丈夫? すごく不気味ね……」
燈子が心底嫌そうな表情をするが、伊吹は共感出来なかった。
「そもそも安藤家四兄弟は人間じゃなく二次元の向こう側にいる存在だからね。
中の人などいない、いいね?」
藍子は頷いているが、燈子はイマイチまだ安藤家というキャラクター像を捉え切れていないようだ。
伊吹という中の人の顔を知っていて、一緒に開発を進めているのだから当然である。
そもそも安藤家のキャラ絵を描き上げたのは燈子だ。
「それより、今日の生配信の事は伝えてくれた?」
「ええ、伊吹さんがお願いしてるからって言ったら来てくれる事になったわ。
生配信の二時間前にはこのビルに来てほしいって伝えてあるわ。
事前に顔合わせする時間は取れるから」
「了解、よろしく」
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