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第七章:安藤さん家の四兄弟チャンネル始動
#安藤乃絵流
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「お休み、みんな。
夢で会おうねっ」
「配信を終了しました。お疲れ様です」
藍子の声を聞き、伊吹ふぅーっと大きく息を吐く。
Vtunerデビューしてから二回目の配信を終えて、緊張感から開放されて力を抜く。
藍子の他に、燈子と美哉と橘香、そして智枝が配信部屋で伊吹の様子を見守っていた。
「タグの名前って前から考えてたの?」
「いや、あの場で思い付いた。
でも良い感じのタグが出来て良かったよ」
台本を用意して生配信に臨んでいたが、イラストの話題になったのは視聴者からのコメントを拾ったからであり、用意されていた流れではない。
「出来過ぎでしょう……」
燈子が感心しているが、前世知識を持ち越している伊吹の語彙量は、この世界の人間ではなかなか追いつけるものではない。
「さっそくYoungNatterでタグ付け投稿されていますね」
伊吹が目にするよりも先に、智枝がスマートフォンを操作して流れて来るイラストを確認している。
万が一にも伊吹が嫌な思いをしないよう、執事として事前確認しているのだ。
「元々描いて投稿していたものを、タグ付けして再度投稿している人が多いんじゃないな。ほとんどが英知のイラストだし」
藍子も自らのスマートフォンでYoungNatterを確認している。伊吹も配信用パソコンを操作してYoungNatterを立ち上げた。
「へぇ、みんな上手だなぁ」
伊吹がタグ付けされたイラストを眺めていると、どんどん『好き』の数が増えて行っている。
・投げ銭設定ボタンと矢印で書かれたボタンに手を乗せて「どうしよっかなぁー?」と視聴者の反応を楽しむ意地悪な表情の英知
・安藤にした代を受け取って戸惑っている英知
・笑いながら目に涙を溜めている英知
・パソコンを操作して配信内容に関係のない悪質なコメントを無表情でブロックする英知
・視聴者の悪ノリに対して腹を抱えて床を転げ回っている英知
・バイノーラルマイクに口を近付けて囁く英知
・受験勉強している妹へコーヒーを煎れてやる英知
・女性を椅子に縛り付けてその前に立ち、口元は笑っているのに目が全く笑っていない表情を見せる英知
・パソコンを操作しながらタグを考えている旭
「全部保存しておきたいね」
「お任せ下さい」
思わず零した伊吹の独り言を聞いて、智枝が返事をする。
ちなみに配信用パソコンで使うYoungNatterアカウントは、あくまで配信時にYoungNatterを確認する事もあるだろうと用意された閲覧用アカウントである。
公式アカウントは藍子と燈子が管理しており、直接安藤四兄弟が呟く事はないとプロフィール欄にて宣言してある。
「配信を見てもらう事ももちろん嬉しいし、投げ銭を頂けるのも嬉しいけど、こういう目に見える形で反応が貰えるのってすごく嬉しいね。
一緒に楽しんでいるっていうか、自分が何かをやった事に対して、誰かが投げ返してくれるというか。
一緒に盛り上げようとしてくれてるんだ、って思うと、やって良かったって心底思えるよ」
自分を元にしたイラストを眺めて感激している伊吹を、みなが微笑ましい表情で見守っている。
「あーちゃん、僕がみんなのイラストを見て滅茶苦茶喜んでるって呟いといてくれる?
あ、ちょっと待って。バイノーラルマイクで声を録音するから、それを呟きに乗せて投稿してもらおう」
夢で会おうねっ」
「配信を終了しました。お疲れ様です」
藍子の声を聞き、伊吹ふぅーっと大きく息を吐く。
Vtunerデビューしてから二回目の配信を終えて、緊張感から開放されて力を抜く。
藍子の他に、燈子と美哉と橘香、そして智枝が配信部屋で伊吹の様子を見守っていた。
「タグの名前って前から考えてたの?」
「いや、あの場で思い付いた。
でも良い感じのタグが出来て良かったよ」
台本を用意して生配信に臨んでいたが、イラストの話題になったのは視聴者からのコメントを拾ったからであり、用意されていた流れではない。
「出来過ぎでしょう……」
燈子が感心しているが、前世知識を持ち越している伊吹の語彙量は、この世界の人間ではなかなか追いつけるものではない。
「さっそくYoungNatterでタグ付け投稿されていますね」
伊吹が目にするよりも先に、智枝がスマートフォンを操作して流れて来るイラストを確認している。
万が一にも伊吹が嫌な思いをしないよう、執事として事前確認しているのだ。
「元々描いて投稿していたものを、タグ付けして再度投稿している人が多いんじゃないな。ほとんどが英知のイラストだし」
藍子も自らのスマートフォンでYoungNatterを確認している。伊吹も配信用パソコンを操作してYoungNatterを立ち上げた。
「へぇ、みんな上手だなぁ」
伊吹がタグ付けされたイラストを眺めていると、どんどん『好き』の数が増えて行っている。
・投げ銭設定ボタンと矢印で書かれたボタンに手を乗せて「どうしよっかなぁー?」と視聴者の反応を楽しむ意地悪な表情の英知
・安藤にした代を受け取って戸惑っている英知
・笑いながら目に涙を溜めている英知
・パソコンを操作して配信内容に関係のない悪質なコメントを無表情でブロックする英知
・視聴者の悪ノリに対して腹を抱えて床を転げ回っている英知
・バイノーラルマイクに口を近付けて囁く英知
・受験勉強している妹へコーヒーを煎れてやる英知
・女性を椅子に縛り付けてその前に立ち、口元は笑っているのに目が全く笑っていない表情を見せる英知
・パソコンを操作しながらタグを考えている旭
「全部保存しておきたいね」
「お任せ下さい」
思わず零した伊吹の独り言を聞いて、智枝が返事をする。
ちなみに配信用パソコンで使うYoungNatterアカウントは、あくまで配信時にYoungNatterを確認する事もあるだろうと用意された閲覧用アカウントである。
公式アカウントは藍子と燈子が管理しており、直接安藤四兄弟が呟く事はないとプロフィール欄にて宣言してある。
「配信を見てもらう事ももちろん嬉しいし、投げ銭を頂けるのも嬉しいけど、こういう目に見える形で反応が貰えるのってすごく嬉しいね。
一緒に楽しんでいるっていうか、自分が何かをやった事に対して、誰かが投げ返してくれるというか。
一緒に盛り上げようとしてくれてるんだ、って思うと、やって良かったって心底思えるよ」
自分を元にしたイラストを眺めて感激している伊吹を、みなが微笑ましい表情で見守っている。
「あーちゃん、僕がみんなのイラストを見て滅茶苦茶喜んでるって呟いといてくれる?
あ、ちょっと待って。バイノーラルマイクで声を録音するから、それを呟きに乗せて投稿してもらおう」
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