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Part32:動き過ぎて先走るのは良くない

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 そうしてまた勇者ちゃんは与えられている部屋のベッドに寝かされている訳で。勇者ちゃんがローラちゃんに掛けた状態異常回復魔法、エスエスナースは銀髪シルバー姉妹シスターズが暮らす家全体に効果が及び、その場にいたローラちゃん、ラミィちゃん、イルスちゃんだけでなく自室で臥せっていたスノォちゃんの症状をも正常に回復させてしまいました。
 何故そうなったのか見当はつくのですが、事前に検証しておくべきでした。何事も想像だけでなくちゃんと確かめておかないといけませんね。反省。
 でもまぁ、こういうのは事前に書かれた筋書き通りに進むよりも、ドキュメンタリーちっくな方が笑いや感動を生むってもんですよ。多分。

 それは良いとして勇者ちゃんのお話ですね。勇者ちゃんはエスエスナースを唱えてすぐに意識を失ってしまいました。あの様子から察するに、恐らく魔力の枯渇で気絶してしまったようです。
せいぜい身体に起こった異常を何とかする程度の魔法なのですが、その効果が家全体に及び、そしてそれ相応の魔力が消費されたのだと推測します。
 で、気絶した後についてはローラちゃんが勇者ちゃんをお姫様抱っこして、このベッドに寝かされた、と。お姫様に抱っこされるタイプのお姫様抱っこですね。おっと……。

「ふふふっ、もうお婿さんに来て下さるお方が見つけられませんわ……♪」

 勇者ちゃんの寝顔を眺めながらニヤニヤしているローラちゃん。気絶した勇者ちゃんの顔や手がローラちゃんのあんな所やこんな所に触れてしまっていた事を思い出しているようです。ちなみにお婿さんに来てくれるうんぬんは、もうお嫁に行けない! の、この世界バージョンですね。

 この世界の貞操観念について少しだけ触れると、男性の性的感覚はかなりの潔癖で、かつ消極的です。自分以外の男に触れた事のある女を忌避します。男女逆転世界とはいえ、子を宿すのは女の身体。男は種を渡す事しか出来ません。
 DNA鑑定などない世界。男としては本当に自分の子供か科学的に確認する方法がない以上、相手が他の男に触れたというだけで疑いを持ってしまう訳です。
 逆に、女は誰の種であろうが自分の子供である事は間違いない事実です。そして男とそういう関係になる機会自体が少ない。この2つの事柄から、姉妹などの身内で結束して、1人の男を皆で共有する事で種の保存を図っているのです。

 さて、もうかれこれ1時間以上気を失ったままの勇者ちゃん。ラミィちゃんとイリスちゃんもローラちゃんと同じく勇者ちゃんのエスエスナースにより異常から回復しております。
 回復してすぐ、ラミィちゃんとイリスちゃんは今回起こった原因不明の体調不良に対する対処法として、状態異常回復薬を服薬するか魔法を掛ける事で一時的に回復させる事が出来る事を関係各所へ伝えに向かいました。
 スノォちゃんはまだ幼いので自室で養生中。勇者ちゃんの様子を見に行きたくて堪らないスノォちゃんですが、ローラちゃんが「せっかくゼノン様が助けて下さったのにまた体調が悪くなったら合わせる顔がないわよ?」と説得していました。
 ローラちゃんの本心は別として、スノォちゃんは言い付けを守ってベッドで過ごしているようです。勇者ちゃんに嫌われたくないものね、可愛い♪
 実況者である神ちゃんとしてはもっと動いて搔き乱してほしいところではあるけれど、一人のスタンドブレイで物語が詰んでしまったら意味がないもの。
 今のところは良しとしておきましょう(超絶上から目線)
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